『孤独のグルメ』原作者・久住昌之氏が関わったグルメマンガの新作単行本が発売されたので、すかさず読んでみました。
久住氏による同名のエッセイ集に基づいたコミカライズで、幻冬舎の Web サイトに連載されている作品 5 作+新規書き下ろし 4 作で構成されています。
『野武士のグルメ』試し読み第1話 九月の焼きそビール – 幻冬舎plus
Web で読んでいたから単行本はいいか…と思っていましたが、半分近くが書き下ろしとあっては、買わないわけにはいきません。電子版がないようなので、紙で購入。
原作のほうはエッセイなので久住さんご本人の話として書かれているようですが、漫画版は「香住武」という定年退職した 60 代男性が主人公。漫画版『孤独のグルメ』の井之頭五郎は個人事業主ということもあって自由人、どこかプレイボーイっぽさも漂わせたおじさんでしたが、香住武はあくまで普通の元サラリーマン。キャラの濃さはありませんが(笑)こちらのほうが、より身近に感じられます。
でも、台詞回しはやっぱり久住流。これこれ、これですよ!
でも、全体的にゴローよりもモノローグの口数が多い(笑。まあゴローも最近の作品ではだんだん口数が増えてきたので、ドラマを経てこれが最近の久住流、ということなのかもしれません。
そして『孤独のグルメ』と違って飲酒シーンが出てくるのも、いいところ。白い飯もいいけど、やっぱり酒飲みとしてはうまい肴にうまい酒。それを主人公と共感し合えるのがいい。料理の画も『孤独のグルメ』に負けず劣らず、うまそうです。
この飲みっぷりの良さときたら!「さぁ殺せ!!」ときましたよ(笑
でもうまい店ばかりじゃなくて、がっかりした話や失敗した話も少なくなく、やっぱりこれも『孤独のグルメ』と根っこが同じ話なんだなあ、と思います。
井之頭五郎はなかなか内面を見せない(まれに登場する小雪がらみのエピソードくらいか)うえに意外性のある言動が多いファンタジスタ(笑)ですが、香住武は「定年退職した初老オヤジの独白」という感じで内面をどんどん見せてくるので、読んでいて気持ちが入り込みやすいのが『孤独のグルメ』とは異なる『漫画版 野武士のグルメ』ならではの魅力だと思います。こどグル好きなら、一読して損はないのでは。
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