2015 年シーズンも終盤にさしかかった F1、最後のアメリカ大陸遠征ラウンド初戦でハミルトンがついに三度目のドライバーズチャンピオンを確定させました。
ハリケーンの上陸でフリー走行から荒れに荒れた、オースティンの天候。土曜日には予選が実施できず、日曜日の午前中に順延。その上 Q3 までもが中止され、Q2 でのタイム順でスターティンググリッドが決まる、というなかなかシビレる展開。そこで PP を射止めたのはロズベルグでしたが、スタート直後のデッドヒートでハミルトンにコース外に押し出され、ハミルトンが首位に。
その後はなかなか回復しない路面状況において、ダウンフォースとメカニカルグリップに優れるレッドブルの二台がレースを面白くします。濡れた路面での回頭性が明らかにメルセデスよりも高く、クビアトとリカルドが交互にハミルトンを攻め立てた結果、リカルドがトップに。しかし路面が乾き始めると形勢逆転し、あっという間にメルセデスが逆転。前半と後半で、まるで異なるレースを観ているかのようでした。結局ドライコンディションなら戦略もテクニックもなくパワーユニットの優劣でレースが決まってしまうのね、というのが如実に見えて、なんだかなあ、という。
中盤はロズベルグがレースを引っ張ったものの、自らのミスによってハミルトンに逆転を許してからは、完全にハミルトンのレース。その後は後続に影を踏ませることなく、いつものような余裕を持ってチェッカーを受けました。とはいえ、ハミルトンにとっては前半が苦しみに苦しんだレースであり、実力で勝ち取った勝利。やはり、今シーズンのチャンピオンは文句なしにハミルトンだと言えます。個人的にはこういう悪天候のレースならもっと順位にシャッフルがあってほしかったところですが、ポディウムに立った三人はいずれも今季の優勝経験者であり、結果として勝つべき人が勝ったレースでした。
マクラーレン・ホンダに関しては、まずは今季ベストリザルトとなる 6 位入賞おめでとう!と言いたいです。
この週末の戦い方としては、まずは前戦ロシアで動作チェックまで済ませた新スペックのエンジンをアロンソ車だけに本格投入。その成果もあってか、アロンソは今季予選ベストの 11 番グリッドを獲得。スタートもうまく決め、一気に順位を上げたかに見えましたが、ウェット路面が苦手なマッサ()にぶつけられてほぼ最後尾にまで後退。それでも何とか順位を上げて、一時は 5 位を走行したりもしましたが、最後はタイヤがもたずにポイント圏外の 11 位フィニッシュがやっと。とはいえ、終盤にセーフティカーが導入された際にアロンソとバトンで戦略を分け、アロンソをステイアウトさせた結果(、バトンが 6 位入賞できた)なのでこれはやむを得ません。
バトンに関しては、初優勝の 2006 年ハンガリー GP の例を出すまでもなく、現在の F1 界随一のウェットの達人。路面状況の変化に合わせていち早くドライタイヤを試し、半濡れの路面でコントロールしきったことが入賞を引き寄せたと言えます。新型パワーユニットのアロンソではなく旧型のバトンが入賞したことはちょっと皮肉ですが、予選・決勝ともに今季最高の結果を残せたことは、このシーズン終盤にあっては来季に向けた好材料でしょう。
コンストラクター・ドライバーの両タイトルが確定したことで、残り 3 レースは消化試合となってしまいましたが、逆に言えばここから 3 戦は来季に向けた先行テストを兼ねるわけで。来シーズンの勢力図の変化を占う意味では、引き続き見逃せないレースです。
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