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忘れ物防止タグ「TrackR pixel」

遅ればせながら、先日忘れ物防止タグ「TrackR(トラッカール)」の日本正式上陸記念ブロガーミートアップに参加してきました。

TrackR(トラッカール)|もう失くさない、すぐに見つかる

Bluetooth LE を利用した忘れ物防止タグというと、国内では「MAMORIO」あたりが家電量販店での展開等も含め先行している印象があります。TrackR は日本でこそ正式には今回が初上陸ということになりますが、海外では既に実績のあるブランドで、ワールドワイドで 500 万個以上を販売しているとか。忘れ物防止タグという製品の性質上、世の中にどれだけ同製品のユーザーがたくさんいるかが「見つけられるか」に繋がるため、特に海外渡航の多い人なら既にその恩恵を受けられるでしょうし、国内でも今後の普及次第、という部分です。

【関係性の明示】
本エントリーの執筆にあたり、製品の開発元である TrackR よりレビュー用製品(2 個)の提供、およびブロガーミートアップにおける飲食の提供を受けています。ただしそれ以外の報酬はなく、記事内容への関与も一切ありません。事実誤認があった場合は、修正部分を明示した形で訂正を行います(誤字脱字の修正を除く)。

今回はイベントを通じて製品の説明を受け、レビュー用の実機もいただいてきたので、解説と使用感を含めたレビューを書いていきたいと思います。
ちなみに同イベントで偶然居合わせたもうひとつのモノローグによるレビュー記事はこちらです

「TrackR pixel」は見ての通りの小さな丸いタグです。これは海外でも最近発売されたばかりの新型で、少し前までは一回り大きい「TrackR bravo」というモデルだったようです。
価格は一個 ¥2,980。高いとみるか、安いとみるか。これをつける、失くしては困るモノの価値次第ですが、財布や鍵だとすると決して高くないはず。ちなみに bravo は海外でまとめ買いすると 40% 引きになるという大胆な販売方式を採っていたので、今後国内でも同じような売り方がなされる可能性はあります。

なお TrackR では他者とのコラボレーションも積極的に行っているようで、こちらは CROSS のピアレス 125 ボールペンに TrackR モジュールを内蔵したモデル。確かに高級ボールペンは失くすとダメージが大きいので内蔵するメリットはありますし、ペン単体だけでなく「ペンが入った鞄ごと置き忘れる/盗まれる」ことにも対応できます。
またペンに内蔵できるということは、電池の収納場所さえ確保できればかなり小さなものにでも内蔵することが可能だということになります。これは今後の展開も期待できますね。


さらに国内の大手バッグメーカー、エースの「プロテカ」ブランドでも TrackR を内蔵したスーツケースが発売されています。これはスーツケース自体に基板を内蔵しているわけではなく、あくまでスーツケース内に TrackR 用のポケットを備え、TrackR を同梱しているもののようです。スーツケースも特に海外では盗難やロストバゲージのリスクに晒されるものなので、この安心感はありがたい。ま、スーツケースくらいの大きさならばわざわざ専用ポケットがなくても TrackR をどこかに忍ばせておけば済む話ですが、このコラボによって象徴的なユースケースになっていると思います。

日本発売に合わせて来日した TrackR 社の二人のファウンダー、Chris 氏(写真左)と Christian 氏(同右)。Chris 氏はかつて東北大学に留学していた経験があり、奥様も日本人とのことで、日本語も随分お上手。TrackR が日本正式上陸を発表し、このイベントが開催された 10 月 4 日は NTT が定めた「探し物の日」であり、かつ Chris 氏のお誕生日でもあるとのこと。まさに TrackR を作るために生まれてきたかのような偶然が素敵です。

私も直接話をさせていただいたのですが、自分たちの技術と製品で人々の生活を良くしたいという純粋な思いが伝わってきました。もちろんベンチャーキャピタルから投資を受けるのに並大抵ではない苦労もしているはずですが、こういう純粋さが投資に繋がってポジティブに回っていく環境で働けるというのは本当に羨ましい。
また彼らのビジネスモデルについても質問してみたところ「当面は TrackR はデバイスの販売から利益を得ていく。しかし自分たちが価値だと考えているのはデータベースであり、将来的にはデータベースの B2B 利用から収益を上げていくモデルを作っていきたい」とのことでした。

というわけで製品のレビュー。

TrackR pixel は 10 円玉よりもちょっと大きいくらいの円盤状のデバイスで、ストラップや両面テープで失くしたくないモノに取り付けます。
付属のストラップがちゃんと本体同色に合わせてあるのが細かいけど嬉しいこだわり。

裏蓋を開いてみると、中にはシンプルな基板 1 枚とボタン電池のみ。基板上の配線も簡素なもので、このデバイスのサイズや形状が内蔵チップではなく電池の大きさの制約によって決まっていることがよく解ります。
またボタン電池は比較的入手性の良い CR2016。電池切れの際にもコンビニ等で手に入れやすいのはありがたい。逆に言えば、本体をもっと小型化しようと思ったら特殊な電池を使うことになり、入手性とのトレードオフが発生するということです。そういう意味では実に合理的な大きさと形をしていると言えます。

使用にはスマートフォンとのペアリングが必須。スマホ(iPhone/Android)に TrackR アプリをインストールし、TrackR とペアリングを行います。
国内では pixel しか正式販売されていませんが、旧製品の bravo のほか、スティッカーやウォレット(財布向けデバイス)なども海外では販売されている模様。また Amazon Alexa に話しかけてスマホの在処を探すという機能もあるようで、なにげにこれも便利そう。まあ Alexa 対応デバイスはまだ国内発売されていませんが。
ペアリングも画面上の手順に従っていくだけであっという間に完了。問題があるとすれば、手順がシンプルすぎて、自分の近くで他にも TrackR のペアリングをしようとしている人がいた場合、間違えて他人の TrackR とペアリングされてしまうことがあるというレアケースくらいでしょうか。

TrackR でできることは四つ。

  • TrackR をつけたモノを失くした場合、それがスマホの Bluetooth 圏内にあれば TrackR 本体が音と光で所在を知らせる
  • スマホを失くした場合、それが TrackR の Bluetooth 圏内にあれば TrackR からスマホのアラームを鳴らして所在を知らせる
  • TrackR をつけたモノを失くした場合、スマホの Bluetooth 圏外に出ても「最後に Bluetooth コネクションが切れた場所」を地図上に表示
  • TrackR をつけたモノを失くした場合、もしその近くを他の TrackR ユーザーが通りかかった場合、TrackR アプリが「自動的に」「匿名で」持ち主に発見した場所を通知

最初の二つはシンプルにスマホとの Bluetooth 接続で実現した機能、後の二つは地図データベースと組み合わせたいわゆる「IoT」としての機能になります。最も重要な価値はクラウド上に載せつつ、それをシンプルなハードウェアで分かりやすく提供する IoT のお手本のようなデバイスだと思います。

TrackR pixel をつけたモノを紛失した際は、スマホの TrackR アプリから探したい pixel を選んで(当然複数個の同時ペアリングに対応)、画面上の Beep アイコンをタップすると、

TrackR pixel がスマホとの Bluetooth 圏内にあれば、このように LED とビープ音で自分の在処を主張します。

逆にスマホが行方不明になったときは、TrackR pixel 上のボタンを押すとスマホのアラームが鳴って発見できます。
スマホをサイレントモードにしていてもちゃんとスピーカからアラーム音を鳴らしてくれるのが秀逸です。

TrackR pixel を Bluetooth 接続圏外に置いてきてしまった場合は、こうして地図上に最後に TrackR が見つかった地点と日時を示してくれます。誰かに持ち去られていなければそこに戻れば見つかるでしょうし、日本国内でどこかの施設内に置き忘れた場合は遺失物として届けられていることも少なくないので、行き先を辿ることはさほど難しくないでしょう。もし日本全国の遺失物係に TrackR アプリをインストールしたスマホが置いてあれば、TrackR ユーザーはさらに利便性が高まるんでしょうが(笑

最後の「他のユーザーによる通知」については、まだ自分で失くしたケースがないので様子が分かりませんが、都心で生活していると 2~3 日に一度スマホの TrackR アプリが「誰かの探し物を見つけました」という通知を出してくるので、既に役に立てている場面は何度かあるようです。自分は何もしていないんだけど、知らないうちに誰かにいいことをした感覚があって、気分が良いですね(笑

あと問題があるとすれば、そもそも私はあまり外で忘れ物をしない、ということでしょうか(笑)。自宅に財布を置き忘れるということはよくありますが、外で何かを失くすことが滅多にない。スマホの置き忘れや無意識にポケットから落ちてて…ということは稀にありますが、それくらいですかね。何につけようかなあ…。
まあ、そう言っている人ほどいざというときに大事なものを失くしがちなものなので、とりあえず財布とキーケースに一つずつつけるようにしようかと思います。

TrackR / TrackR pixel

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