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F1 イタリア GP 2018

F1イタリアGP決勝:フェラーリ聖地でハミルトンが逆転優勝。ライコネン2位

前戦ベルギーでフェラーリの逆襲があり、勢い的には久々の母国勝利があり得るんじゃないかと思われたイタリア GP。蓋を開けてみれば、メルセデスが見事なチームプレイで逆転勝利を飾りました。

結果論ですが、フェラーリの負けは予選の戦略から決まっていたのかもしれません。Q3 ではメルセデスもフェラーリも他車のトウ(スリップストリーム)を利用してタイムを稼ぐ戦術を使用。メルセデスはハミルトンにボッタスのトウを使わせたのに対して、フェラーリはヴェッテルがハミルトンの、ライコネンがヴェッテルのトウを使います。その結果、ヴェッテルの微ミスもあってライコネンが PP、ヴェッテルがそれに続くグリッドを手にします。母国でフロントロウ独占というのはこの上ない予選結果に見えますが、ここで最初からヴェッテルに PP を獲らせる戦略を採っていれば決勝もフェラーリが完勝していたかもしれません。フェラーリによると予選のアタック順は一戦ごとの交代制にしているとのことですが、チャンピオンシップを考えたときにそれで正しかったのか。

決勝のスタートは激しいポジション争いが繰り広げられた結果、ライコネンが首位を堅守。しかしその後ろでヴェッテルとハミルトンが接触、ヴェッテルはスピンを喫して最後尾までポジションを落とします。それでも最終的に 4 位まで戻って来れてしまうのが今季の F1 なわけですが、この時点でヴェッテル優勝の目は消えました。
その後ライコネンは快調に飛ばすものの、ハミルトンもほぼ同じペースで追走。しかしメルセデスには追いつけるほどの速さはなく、レースは膠着状態に入ったかに見えました。

でもそこからのメルセデスの戦略が見事でした。ライコネンがハミルトンよりも先にピットインしてボッタスの後ろでコース復帰したのを見るや、ハミルトンにはタイヤ交換させつつボッタスをステイアウトさせてライコネンを抑え込ませます。ライコネンもファステストラップを刻んでハミルトンのアンダーカットを防いだまでは良かったものの、ボッタスの見事なブロックによりハミルトンがライコネンに追いつきます。ライコネンはボッタス攻略のためにタイヤライフを使ってしまい、遂に残り 8 周でハミルトンがライコネンをオーバーテイク。ここで勝負あり、となりました。

ハミルトンは単独ではライコネンを攻略できなかったことでしょう。しかしこういうときの勝ち方を知っているのがメルセデスであり、その戦略を完璧に実行できるのが今や立派な「ミスター・ナンバーツー」となったボッタスです(本人は否定するでしょうが)。メルセデスはロズベルグの引退後は完全にチーム・ハミルトンとして勝ちに行っているのに対して、フェラーリはこの期に及んでまだ二人のドライバーをイコールコンディションで走らせようとしている。残るレース数が限られ、かつハミルトンにポイント差をつけられている状況でフェラーリは今回のような戦い方をすべきだったかどうか?仮にヴェッテルが PP を獲っていれば 1 周目のアクシデントは起きなかったでしょうし、ライコネンに壁役をさせることもできたはず。個人的にはライコネンの 5 年ぶりの優勝を見たかった思いはありますが(笑)、チームとしてはそろそろヴェッテルに集中しないとメルセデスのチーム力に押し切られるのは目に見えています。チャンピオンシップ上はもう 30pt の差が開き、一回ヴェッテルが勝ってハミルトンがリタイアしても逆転しない状況になってしまいました。


また今回どうしても文句を言いたいのはフェルスタッペンです。終盤、ボッタスにオーバーテイクを仕掛けられたところで無理めのライン変更を行った挙げ句に軽く接触し、5 秒ペナルティを受けたところまではまあいいでしょう。しかしその後もボッタスをブロックし続け、ヴェッテルが 5 秒以内に迫ってきてもお構いなしに抑え続けた行為はチームプレイヤーとしてどうなのか。フェルスタッペンがアンフェアなライン変更をかけたのはこれが初めてではないし(あまつさえチームメイトと接触したこともある)、無理にボッタスを抑えず自分のペースを守っていればヴェッテルを抑えて 4 位に入れていた可能性だって高い。
レッドブルがフェルスタッペンと共にチャンピオン奪回を目指すのであれば、ああいう無茶な走りは控えさせるべきだし、もっとレース全体、シーズン全体を見た戦い方ができるよう育成していく必要があります。そういう意味では経験に勝り、レースを大局的に捉えることができるリカルドが来季のレッドブル・ホンダに残留してくれることを期待していたのですが…まあ決まってしまったものは仕方ない。フェルスタッペンの来季の成長に期待するか、いっそガスリーがフェルスタッペンを食ってしまうくらいの展開を期待しましょう。

そしてトロロッソは何とも残念でした。予選はシーズン随一のパワーサーキットでガスリーがまさかの Q3 に進出し、9 番グリッドを獲得。ハートレーは残念ながら Q1 敗退したもののタイム的には惜しかった。
決勝はスタート直後にハートレーがバンドーンとエリクソンに挟まれる格好になってクラッシュ、一周も走れずに戦線離脱。ガスリーはスタートで出遅れた上にコース上でアロンソやリカルドと接触し、マシンにダメージを負ったことでレースペースが伸びず、最終的にはバンドーンよりも後方の 14 位フィニッシュ。なんともツキがありませんでした。
とはいえここに来てチームのマシン理解とセットアップ力が高まってきているのは事実だし、ハンガリー GP 以降のガスリーは何か「覚醒」したような速さを発揮しつつあります。これは残りのシーズンや来季に向けて期待できる要素。特に次戦シンガポールはトロロッソ向きのサーキットと言え、そろそろダブル入賞を…と願っているところですが、果たして。

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