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EOS R インプレッション(再)

発売を来週に控えて、量販店で EOS R の先行展示が始まっていますね。私もユーザーイベントではあまりじっくり触れなかったので、改めて触りに行ってきました。

キヤノン / EOS R

EOS R

直接のライバルということもあってニコン Z の近くに展示されていることも多く、つい見比べてしまいます。そこで感じるのはボディの差以上に標準ズームレンズの差。ニコンの 24-70/F4 に対してキヤノンは 24-105/F4 という違いはありますが、沈胴式にしたことも含めてコンパクトさを重視したニコンに対して EOS はかなりレンズの存在感がある。このあたりにフルサイズミラーレスで狙う当面のユーザー層の違いが透けて見えます。

さておき、今回は以前ショールームで撮影 NG だった UI 周りを中心にチェックしていきます。

EOS R

まずは新規追加になった露出モード「フレキシブル AE(Fv)」について。EOS R では専用のモードダイヤルが用意されておらず、MODE ボタン+サブ電子ダイヤルで露出モードを切り替えます。
で、意外だったのがメニューの露出モードの並び。Fv が A+(シーンインテリジェントオート)の真横に置かれています。普通に考えればオート寄りの機能として A+→P(プログラム AE)と並べそうなところが、P よりも前に Fv が並んでいる。まあ Fv モードは P/Tv/Av/M を包括する(シームレスに扱える)モードではありますが、これは完全にカメラ任せで撮る人以外は基本的に Fv 固定で使ってほしいという作り手のアピールなのではないでしょうか。そう考えれば、EOS Kiss M にすら存在したモードダイヤルが EOS R ではなくなっていることにも合点がいきます。

EOS R

Fv モードの操作はサブ電子ダイヤル(右手親指)でパラメータ(シャッタースピード/絞り値/露出補正値/ISO 感度)を選択してメイン電子ダイヤル(右手人差し指)でパラメータを上下させる、という手順。全てを具体値で指定すれば M モード相当として、全てを AUTO 指定すれば P モード相当として使えます。逆に例えばシャッタースピード・絞り値・露出補正値を指定した上で ISO オートでカメラに適正露出を取らせることもできる。フィルム時代は ISO 感度がフィルムによって固定されていてシャッタースピード・絞り値・露出補正値の三すくみだったのが、今や ISO 感度もパラメータの一つにすぎないというデジタル時代ならではの露出の考え方にようやく UI が追いついてきたと言えます。これに慣れると Tv や Av といったモードが古くさく感じてしまいそう。


EOS R

EOS R は操作性のカスタマイズの幅も広く、大半のボタンやダイヤルの機能アサインが変更可能。例えばダイヤルはメイン/サブ電子ダイヤルに加えてレンズ側についているコントロールリングもあり、デフォルトでは ISO 感度設定に割り振られているようです(展示機だから誰かがカスタマイズした状態だった可能性もありますが)。個人的にはレンズ側についているリングは絞り値であれば納得感がありますが(オールドレンズには絞り環があるレンズも珍しくないし)、シャッタースピードや ISO 感度を変更するのにレンズ側をいじるというのはどうにも違和感。
使い勝手なんて半分は慣れだから自分が使いやすいようにカスタマイズすればいいと思いますが、あまり特殊な設定にしてしまうと他のカメラが扱えなくなってしまうので、EOS R(およびその後継/派生機種)と心中するつもりでなければできるだけオーソドックスにしておいたほうが良さそうです。

EOS R

そして問題のマルチファンクションバー。プロの間でも賛否が分かれていると言われている新 UI ですが、これも自分好みにカスタマイズ可能。例えばホワイトバランスを細かく調整できるのは、主にムービーカメラとして EOS R を使うのであれば重宝しそうです。

EOS R

マルチファンクションバーに割り当てられる機能はいろいろありますが、前述の三つのダイヤルにこのマルチファンクションバーを入れると「パラメータを直接いじれるスイッチ」が四つあることになり、ここまで増えると逆に撮影時にこんがらがりそうな気もします。一瞬でも速くパラメーターを変更できないと死んでしまうプロならともかく、多くのユーザーは直接パラメータをいじれるダイヤルは二つくらいで、後の設定要素はボタン or メニュー+ダイヤル操作くらいで十分ではないかと思います。まあ、EOS R でもついているダイヤルを無理に全部使う必要もないわけで、「ついているにこしたことはない」だけかもしれませんが。

EOS R

マルチファンクションバーはボディを握ったときに右手親指にあたる位置に存在しているため、誤動作を防ぐためにデフォルトではオフになっています。オフ状態からバーを二秒長押しで有効化、さらには一秒の長押しで設定画面を表示させることができるなど誤動作防止には万全を期しているようですが、逆に長押し動作が入ることで撮影のテンポを悪化させることにも繋がるわけで、なかなか痛し痒し。そもそもダイヤル相当の機能が最初から三つついていることもあり、このバーはハマる人にはハマるけど駄目な人には全く使われない機能になってしまう可能性もあります。
個人的にはキヤノンらしいチャレンジだとも思いますが、今後ブラッシュアップされて定着化していくかは未知数という印象。

EOS R

店頭展示機ではマウントアダプタ経由で 70-200/F2.8L を試せる状態にもなっていたので、試してみました。まあマウントアダプタ経由での AF は EOS M5 の時点で十分実用的だと感じていたのと同様、少なくとも店頭で静物を撮ってみた限りでは十分使い物になる印象。連写性能があまり高くない(AF 追随時で 5.5 コマ/秒)ためガチのスポーツ撮影には厳しいですが、運動会レベルならそれなりにいけそうではあります。

まあこういうカメラは店頭で触っても把握しきれない部分が多く、現場で使ってみてナンボだと思うので、発売日以降に多くの方のレビューが出てきたら改めてチェックしてみようと思います。

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