F1ブラジルGP決勝:F1史に残る乱戦。レッドブル・ホンダのフェルスタッペン優勝、トロロッソのガスリー2位でホンダPU勢ワンツー!
おめでとうレッドブル&トロロッソ・ホンダ、おめでとうフェルスタッペン&ガスリー!
第四期ホンダ F1 として初めての 1-2 フィニッシュですよ。しかもセナ没後 25 周年のブラジル GP で、1991 年マクラーレン・ホンダのセナ&ベルガー以来となるホンダ勢の 1-2。さらには故・本田宗一郎氏の誕生日というおまけまでついて、まるでこれは FIA が用意したシナリオだったのではないかというくらいに出来過ぎたメモリアルレースになりました。
フェルスタッペンは予選から他を圧倒して文句なしの PP 獲得。自身二度目、ペナルティで抹消されたメキシコを加えれば三度目の予選トップタイム。この時点からマシンと PU のセットアップがサーキットにバッチリ合い、期待ができそうな感触はありました。そして決勝は珍しく(?)スタートの失敗もなく、序盤から後続のハミルトンに対してリードを築いていきます。途中ピットインの際にハミルトンの後ろに回ってしまう場面が二度あったものの、二度とも実力でオーバーテイクして首位奪回。今回のレッドブル・ホンダには真っ向勝負でメルセデスに勝てるだけの強さがありました。また、タイヤ戦略でも「メルセデスが逆転するには自分たちの逆の戦略しか採れないことを逆手にとって自分たちが有利になる戦略を選ぶ」臨機応変さとしたたかさもありました。結果、最後のセーフティカー導入時にソフトタイヤに換えてギャンブルに出たハミルトンから逃げ切り、フェルスタッペンが完勝。
チームメイトのアルボンも優勝争いには絡めないまでも力強い走りで上位陣とバトルを繰り広げ、ボッタスとフェラーリの脱落もあって終盤には 2 番手を走行していました。が、ラスト 2 周でハミルトンの猛攻を防ごうとした際に接触。悪くても初めての 3 位表彰台をほぼ確実にしていたところでのクラッシュは悔やみきれないでしょうが、こういう走りを続けられればきっと遠くないうちにまたチャンスは訪れるはず。またこのアルボンの走りがフェルスタッペンの優勝をアシストしたのは事実でしょうし、ガスリーの 2 位にも繋がりました(笑。
トロロッソに戻って以降はレッドブル時代よりも「乗れている」感覚があったガスリーは、今回予選から良い走りを見せて「ベスト・オブ・レスト」の予選 7 位(ルクレールのペナルティ降格に伴い 6 番グリッド獲得)。決勝でも中団のトップを維持し続け、終盤にトップチームがあれよあれよと脱落していった結果の表彰台。しかしただのラッキーではなく、トップチームにしっかりついていったからこその結果だし、ファイナルラップはハミルトンと最終ストレートで競り勝っての 2 位ですよ。ガスリーの今季最も力強いレースだっただけでなく、レッドブルとトロロッソが揃って表彰台を獲得したことでホンダ PU の進歩も証明されたと言えます。
本当は、最後のセーフティカーが撤収せずにそのままチェッカーだったらレッドブル&トロロッソ・ホンダの 1-2-3 フィニッシュという可能性も見えていたからちょっと残念ではありましたが、今季苦労してきたガスリーがようやく結果を掴んだことと、トロロッソが(手負いとはいえ)メルセデスにガチンコ勝負で勝ったことが何より嬉しい。なにげにレッドブルの今季三勝のうち二回がトロロッソと一緒に表彰台に上がっているというのが素晴らしいじゃないですか。レッドブルに一年先立ってホンダと苦労を共にしてきてくれたトロロッソには、その資格があると思います。これでレッドブル勢で今季表彰台を経験していないのがアルボンだけ、というのはちょっとかわいそうでもありますが…。
…でもって、フェラーリですよ。
残り 5 周で 4~5 番手争いをしている局面でチームメイト同士のクラッシュ。フェラーリ的にはほぼ趨勢が決してあとはチェッカーを受けるだけというタイミングでチームメイトに仕掛けたルクレールと、一旦抜かれた後に抜き返して不用意にリヤを被せに行ったヴェッテル。個人的には両者共にアカンと思いますが、それ以上にダメなのはドライバーを制御できていないチーム側でしょう。シーズン序盤からずっと起きているドライバー間の確執をいつまで放置しておくのか…。来季もこのままのドライバーラインアップで望むようですが、チーム側がドライバー間の競争について厳格なルールを決めない限り、いくらマシンが速くてもチャンピオンはないだろうなあ。こういうドライバーの扱いだけでなく、タイヤ戦略においても今回のレッドブルのような「敵の動きを見ながら瞬時に最適な判断を下していく」ことができないのもフェラーリの弱いところです。選手権をつまらなくしているのは強すぎるメルセデスではなくフェラーリの自滅だと私は思っています。
今シーズンもついにあとアブダビ GP を残すだけとなりました。レッドブル・ホンダには今季三勝くらいしてほしいと思っていましたが、ついにそれが実現。近年はシーズン終盤に速かったチーム/ドライバーが翌シーズンの序盤もその勢いを維持することが多いだけに、レッドブル・ホンダにはアブダビも勝利を狙いに行ってほしいといころです。
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