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「OBS Studio」でソニー α を Web カメラ化する

最近にわかに注目が高まっている「品薄な Web カメラを他のデバイスで代替する」話。実用レベルでいえばスマホの Web カメラ化で十分だと思うし、先日キヤノンが EOS を Web カメラ化する公式ユーティリティを公開したことで(EOS ユーザーであれば)スマホ以上の画質を求めるニーズも満たせるようになりました。個人的にもここまでできるようになったことで満足していたんですが、α をどうにかして使うことができなかったのだけが心残りでした。

が、サイカ先生が一眼レフ/ミラーレスを Mac で Web カメラ化する汎用手順を確立したエントリーを読んで、これなら同様のソフトウェアを探してくれば Windows 環境でも同じことができるんじゃね?と思い至りました。ここまできたらもはや実用するかどうかは関係ない、単なる技術的興味でやり方を編み出してみたくなりました。

このやり方は、PC のデスクトップをキャプチャして仮想カメラに映像出力できるソフトウェアを利用して、カメラのテザー撮影用ソフトのプレビュー画面を食わせ、VC ソフトウェアに出力するというものです。Windows 用の仮想カメラツールとしては OBS Studio、ManyCam、Snap Camera 等があり、私が試してみた範囲では無料でも制限がなく多機能だった OBS Studio が最も理想的でした。

Open Broadcaster Software | OBS

α を Web カメラ化する場合は公式のテザー撮影アプリである Imaging Edge Remote(α ユーザー向けに無償配布されている Imaging Edge Desktop に含まれています)を使います。このソフトウェアのプレビュー画面を OBS Studio でリアルタイムキャプチャし、仮想カメラとして Zoom や Teams などの VC ソフトに流し込む仕掛け。

なお、OBS Studio は本来は YouTube や Twitch などへの映像配信ツールであり単体では仮想カメラ機能は入っていないので、OBS Studio 本体に加えて OBS-VirtualCam プラグインをインストールする必要があります。

これを使う場合は、α 側の USB 接続モードを「PC リモート」に切り替えておく必要があります。通常はオートかマスストレージ、MTP のいずれかで使っている人が多いと思うので、忘れずに変更しておきます。

USB ケーブルで α を PC に接続し、α の電源を入れた上で Imaging Edge Remote を起動し、表示されるリストの中から使用するカメラを選択します。なお Web カメラとして使えるのは対応機器リストの中で「ライブビュー表示」に対応している機種のみ。PC 側にライブビュー映像を送出できる機能があるモデルでしか使用できません。私が持っているカメラだと α6000 はアウト、α7 III は対応していました。

Imaging Edge Remote から α7 III が認識され、PC 上でライブビューが可能になりました。テザー撮影用のアプリなのでこの状態で撮影設定をいじることができます。EOS Webcam Utility(ベータ版)ではカメラを接続すると設定変更が一切できなくなってしまったので、そういう不便さがないのは良い。
なお α 側の撮影モードをムービーモードに切り替えておくと、常時 AF が有効になって VC 中に自分が動いてもちゃんと追随してくれます。

ここまできたら OBS Studio を起動。画面左下にある「ソース」ペインの中から「+(追加)」ボタンをクリックします。

そして表示されるサブメニューの一番上にある「ウィンドウキャプチャ」をクリック。

するとポップアップ画面が表示されるため、「ウィンドウ」プルダウンメニューの中に表示されている「Remote.exe」(これが Imaging Edge Remote のプロセス名)を選択します。そうすると画面上のプレビューウィンドウ内に Imaging Edge Remote のウィンドウが表示されます。
ここでは単にカメラの映像をスルーしたいだけなので「カーソルをキャプチャ」のチェックボックスはオフにしておいた方が良いでしょう。

ここまでできたら、画面右下の「OK」をクリックしてポップアップ画面を抜けます。

OBS Studio のメイン画面に戻ってくると、プレビューウィンドウ内に Imaging Edge Remote が表示されています。が、Imaging Edge Remote の UI までキャプチャされてしまっているので、プレビューウィンドウの赤い枠をドラッグして拡大してやります(2020/5/1 追記)[Alt] キーを押しながらドラッグし、動画エリアだけを選択します。

Imaging Edge Remote のライブビュー画面が OBS Studio のプレビューと同じくらいのサイズになるまで拡大します。このプレビューウィンドウに見えているものがそのまま VC の相手に見える映像になるので、余計なものを画面外に消してしまうわけです。(2020/5/1 追記)すると選択したエリア(緑枠で囲まれている部分)がクロップされて、動画エリアだけが仮想カメラとして VC ソフトウェアに送られることになります。

プレビューウィンドウの調整ができたら「ツール」メニューの「VirtualCam」をクリックして仮想カメラの設定に映ります。
もし「VirtualCam」のメニューが表示されていなければ OBS-VirtualCam プラグインが導入されていないはずなので、プラグインのインストールからやり直してください。

VirtualCam の設定は特に変更する必要はなく、「Start」をクリックすればその瞬間から α がライブビューしている映像が仮想カメラに送り出されます。この画面内の「Target Camera」にセットされている名前が仮想カメラのデバイス名になります。

あとは Zoom などの VC ソフトウェア上で、先ほどの VirtualCam プラグインで指定した仮想カメラ名を選択すれば、無事 α を Web カメラとして使えるようになります。初回セットアップがちょっとだけ面倒ですが、OBS Studio は設定したプロファイルを記憶してくれるので、二回目以降はカメラを繋いで各ソフトウェアを起動するだけで使い始められます。なお例によってカメラの内蔵マイクは使えないため、デスクトップ PC の場合は外部マイクが必要になります。

私は α と EOS しか持っていないので他社のカメラでは試していませんが、おそらくこの手順の Imaging Edge Remote を各社のカメラに対応したテザー撮影アプリに読み替えればどのメーカーのカメラでも Web カメラ化は可能なはずです。サイカ先生の Mac 向け手順と合わせれば、EOS やシグマ fp を買わなくても手持ちのカメラを Win/Mac のどちらでも Web カメラとして使えるはず。今週末から始まる連休は、カメラ仲間で高画質な Zoom 飲み会でもやりますか!(笑

コメント

  1. 望月 より:

    LUMIX GH5 で できました。貴重な情報ありがとうございます。

    • B より:

      ご報告ありがとうございます!きっと他社製カメラでも同様にできるはずと思っていましたが、実際にご報告いただけると安心です。ご参考にしていただけて何よりです。

  2. […] 映像セッティングに関して、mono-log様の記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます。 […]

  3. 松田 より:

    同様の方法で、同じくα7RⅢでも問題なく動作しました、大変有用な情報をありがとうございました!

    需要のある情報だと思いますので、私どものサイトからこちらの記事へとリンクを張らせていただきたく思います、もしもご迷惑であれば仰ってください。

    • B より:

      ご報告ありがとうございます!!
      記事拝見しました。外部マイクまで使うともはやリモート会議というよりライブ配信レベルですね(笑。
      参考になりました!

  4. なお より:

    タイムリーな情報を発信してくれてありがとうございます。fpを購入する言い訳が一つ減ったのが残念ですが笑、とても参考になりました!

    • B より:

      コメントありがとうございます!
      私も fp を買うお金がない腹いせで試してみたようなものですが(笑
      ご参考になったようで何よりです。

  5. ばば より:

    PCの内蔵カメラが壊れて困っており、上記方法試したところ、α6400でできました。ありがとうございます!
    OBSプラグインですが、記事リンクからだと1つ古いバージョンのため動作できませんでした。新しいバージョン(https://obsproject.com/forum/resources/obs-virtualcam.949/)で実行したところできましたので、ご参考まで。

    • B より:

      コメントありがとうございます!α6400 いいですよね。私もサブ機に買おうかと思っています。
      プラグインのバージョンについてご指摘ありがとうございます。うっかり古い方へのリンクを張っていました。(自分では最新版を使っていた)
      記事中のリンク修正しました!

  6. […] いただいたのは下記の2つです。「OBS Studio」でソニー α を Web カメラ化するhttps://mono-log.jp/archives/2020/04/obs-studio.phpSonyのカメラをWebカメラとして使う方法【追加購入物無し!】https://note.com/t […]

  7. […] 映像セッティングに関して、mono-log様の記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます。 […]

  8. タックン より:

    α6400を持ってて、最近ノートパソコンを購入したので試しにWebカメラ化してみたいと思い、参考になります。

    ズームでWebカメラとして使用中と仮定してイメージングエッジリモートとOBSスタジオとズーム併用で立ち上げるとメモリどれぐらい使ってるのか気になります。

    • B より:

      ありがとうございます。
      手元の環境で試してみたところ、この三つのアプリを起動してミーティングを行うと 700MB くらいのメモリを追加で消費しました。
      設定等にもよって異なるでしょうが、ご参考まで。

  9. Hiro より:

    はじめまして。
    α6400をライブビュー用のカメラに使用する方法を探していて行き当たりました。
    Bさんの手順でやった後に、2380円くらいのUSB接続のHDMIキャプチャーボードにα6400を繋ぎ、
    Imaging Edge Remoteを介さずにOBSでWEBカメラ化出来ました。
    αのセットアップ4にある「4K映像の出力先」をHDMIのみに変更した状態でPCに接続しOBSでソースを映像キャプチャーデバイスのUSBカメラにしたところ、撮影用の情報の表示されないライブビュー映像で表示されました。
    この方法ですとImaging Edge Remoteのウィンドウキャプチャーのサイズ変更という手間が減らせるので情報共有させていただきました。
    既にご存じだったらすみません。

    • B より:

      はじめまして、コメントありがとうございます!
      お役に立てたようで何よりです。

      なおこの記事を書いたしばらく後にソニーから「Imaging Edge Webcam」というユーティリティが公開されていて、現在は OBS を経由しなくても直接 Webcam 化できるようになっています。
      https://mono-log.jp/archives/2020/08/imagingedge-webcam.php
      ただしこのソフトから出力される映像は 1,024×576 固定なので、より高画質で配信したければ Remote+OBS の方が良いのですが。
      ご参考にしていただけると幸いです!

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