ここ最近は PC に接続するだけで Web カメラとして使えることで注目が集まっているシグマのフルサイズミラーレスカメラ「fp」ですが、COVID-19 流行に伴う在宅ワークが一般化する前まではそれよりも独自のカラーフィルタ「ティールアンドオレンジ(T&O)」による色表現が話題になっていました。
どれくらい話題かというと、当初 fp 専用だったはずの T&O フィルタが正式に sd/dp Quattro シリーズと SIGMA Photo Pro(RAW 現像ソフト)向けにも追加提供されたほど。デジタルカメラでこういったカラーモードがもてはやされたのって、フジが X シリーズでかつての銀塩フィルムの色合いを再現した「フィルムシミュレーション」以来ではないでしょうか。
T&O がもたらす印象的な色合いに興味はあるけど、かといってそのためにカメラを一台マウントを増やしてまで買うほどではないよなあ、何かお手軽に試せるといいんだけど…と思っていたところ、クマデジさんが EOS で T&O やフィルムシミュレーションに近い色合いを出せるピクチャースタイルを公開されていました。
EOSで Teal & Orange / Velvia / ETERNA | クマデジタル
やっぱり考えることは同じだよね、でも基本的に JPEG 撮って出しはせず RAW 現像派の私としてはピクチャースタイルよりも Lightroom 用のプリセットが欲しい。ここは自分でちょっと作り込んでみるか…と思っていたら、上記エントリー内で Lightroom 用の T&O 風プリセットが追加配布されているじゃないですか。そうこれだよこれ!!
Lightroom用も作るのです…と言われた気がしたので、Lightroom用のTeal & Orangeも作ってみました。こちらは暗部に青色を付けられるので、EOSピクチャースタイルよりは多少SIGMAっぽくできたと思います。
せっかくだからこれを試せる写真を撮りに行きたいところですが、あいにく外出が制限されている中ではちょうど良いシチュエーションを見つけるのも難しい。ということで、過去に撮った写真から T&O が映えそうなカットにこのプリセットを適用して現像してみました。(各画像はクリックで拡大します)
ストレート現像 | Teal & Orange |
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なるほど。ブルー系はグリーン寄りに、イエロー系はオレンジ寄りにカラーバランスをシフトしつつ、暗部の階調をグッと圧縮した感じになるんですね。かといって暗部は沈めきらないで若干の黒浮きにブルーが乗っかっています。コントラスト的には銀塩フィルムっぽく、色合いは映画でよく見られるカラーグレーディングが施されたような印象になりますね。
ティールアンドオレンジとは直訳すると「青緑と橙」で、いわゆる補色にあたる関係の色が同一画面内に共存することによってインパクトを強める技法として主に映画でよく使われるカラーグレーディングパターンです。確かにパンチのある画になるため静止画に適用しても印象が強まりますが、確かに写真というよりは映画のフィルムから切り出してきたようにも見えます。
ストレート現像 | Teal & Orange |
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明るめのサンプルでも試してみました。春先の朝に撮った写真が一気に秋の午後になってしまった(笑
こういう比較をすると、T&O が写真現像用フィルタというよりはカラーグレーディングの一種であるというのが解ります。本来はシグマ fp での動画撮影時に適用することを想定したカラーモードですからね。
これをベースに、写真として自分が現像するならこうするかな…と少しいじってみたのがこちら。
空が白飛びしてしまっていたので、ハイライトを抑えて青みを出し、葉っぱのオレンジ(本来は黄緑色なんですけどね)との対比を強調してみました。こうしたほうが T&O らしいかな。
もう一つ、T&O ならば夕暮れの空のグラデーションに効くんじゃないかと思いついて、夕景の写真にも適用してみました。
ストレート現像 | Teal & Orange |
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思った通り、夕焼けのグラデーションが映画っぽい雰囲気になってきました。が、夜景の暗部が潰れてしまい、これでは何が何だかよく分かりません。
これにさらに自分で調整してみたのがこちら。
暗部階調を補整したことで街並みが立ち上がってきました。完全な夜景ならばもっと煌びやかに調整しても良いところですが、夕焼けと共存させるならばこれくらいのほうが私好み。また暗部に青が乗っていることで、夕焼けや街灯のオレンジ色とイイ感じにマッチしています。
想像していた通り、これはなかなか面白いじゃないですか。でも写真にインパクトが出る分、安易にこればかり使ってしまってワンパターンになりそうなのがちょっと怖い。あまり T&O に頼りすぎない程度に、これがハマりそうな写真では思い切って使っていくことにしようと思います。
コメント
[…] 作成でも、と思っていたら腹黒い三連星のもう1機、b’s mono-logさんがLightroom用のTeal & Orangeプリセットを使って先行してしまったので、そのプリセットをLUTとして書きだして、Final C […]