HG RX-78-2 ガンダム [BEYOND GLOBAL]

先日購入した HG ガンダム [BEYOND GLOBAL]、サクッと仕上げました。

HG 1/144 RX-78-2 ガンダム [BEYOND GLOBAL]

完全に素組み＋スミ入れ＋半光沢トップコートのみ。キット自体にデカールが付属せず、デュアルアイセンサ部のホイルシールのみ貼り付けました。何かのデカールを流用してそれっぽく貼ってみようかとも思ったのですが、これ自体がリアリティよりもキャラクターモデルとしての佇まいや遊びやすさを重視していると感じたので、あえてデカールなしで完成。

組み立て中から感じていたんですが、一見 RX-78-2 ガンダムなのによく見ていくと全然ガンダムじゃない。プロポーション的には相当のアレンジを加えられているにも関わらず、全体の印象としてはちゃんとガンダム。なんとも不思議なバランス感覚でデザインされた立体です。
成型色はアニメ設定よりも随分淡い色合いで、ガンダムらしいとは言えないけどおもちゃっぽさの軽減には寄与しています。

おそらく HG ガンダム史上最も可動範囲が広い反面 HG らしく割り切るところは割り切って組み立てやすくした、メリハリの明確なキットです。見た目では複雑そうに感じるランドセルも、ビームサーベルを除けばたった 2 パーツの貼り合わせで構成されていて、バーニアノズルは当然のように非可動。前回書いたとおり内部フレームなどないに等しく、とにかくパーツをランナーから切り取って組み合わせていくだけでどんどん目の前にガンダムが形となって現れてきます。いつも MG や RG ばかり組んでいる身としては却って新鮮で、例えば仕事がなかなかうまくいかないときなんかにこの進捗の早さは精神の浄化に良いかもしれない、などと思いました。

[BEYOND GLOBAL] らしさが際立つのはこの角度。ゼータガンダムならいざ知らず、ここまで鳩胸な RX-78-2 ガンダムの立体化は今までにあったでしょうか。また胸部ダクトからコクピットハッチにかけてのラインが凸になっているのも珍しい。そしてコアブロクシステムなどなかったと言いたげなほどに絞り込まれた腰。なんだか RX-78-2 ガンダムというよりは『00』に登場した 0（オー）ガンダムのようにも見えてきます。

さらに [BEYOND GLOBAL] 最大の特長のひとつがこの腕関節。肘と手首の間、前腕部に引き出し式の関節が一つ追加されていて、これが手首のニュアンス的な表現の幅を広げるのに役立っています。人間には存在しない関節を追加することで、人間っぽい動きが表現できるという逆説的な事象。これは実に興味深い。

シールドのマウントも、この手首の隠し関節の溝を利用してマウントするという珍しいスタイル。これには驚きました。

内部フレームを持たないシンプルな機構なのに、肘も膝もほぼ 180° 可動。また膝アーマーはガンプラの定石に反して脛アーマーとは分離します。MG ガンダム THE ORIGIN 版も似たような構造でしたが、膝アーマーの可動については [BEYOND GLOBAL] のほうが自然に感じます。

パーツ点数が少ないだけあってどんなポーズを取らせてもバシッと決まる。最近の MG や RG は可動部が増えすぎたせいで自由度が高い反面意図しないところが動いてしまうことも多く、ポーズを取らせて写真を撮った後のレタッチ段階になって「あっ、腰アーマーがちょっと傾いてた！」と気づいて撮影からやり直すことも少なくありません(´д`)。誰でも簡単に作れて簡単にカッコイイポーズが取らせられるのはこのキット最大の美点と言えます。

アニメでは作画優先で描かれた、立体物ではキレイに決めるのが難しい劇中ポーズもこの通り。人間的な動きのあるポージングが可能です。

でも全体的なプロポーションがモビルスーツではなくアスリートっぽいので、ポージングは原作準拠よりももう少し実写寄りというか、特撮のスーツアクターや時代劇の殺陣を意識したアクションをさせた方が似合うように思います。本来のガンダムが目指すリアルロボットとはまた別種のリアリズム。

これがガンダムか？と問われるとガンダムではないという気がしつつも、普段作っているキットとは全然違って目から鱗を落としてくれるような良キットでした。組み立てやすさ、仕上がりの良さ、プレイバリュー、どれをとってもよくできていて、ガンプラ初心者の最初のキットにして良し、中級者以上が原点に立ち返るために組んで良し、だと思います。

まだまだ入手困難な状況が続いているようですが、入手機会があれば迷わず手に取ってみることをオススメします。