孤独のグルメ聖地巡礼でセルフ讃岐うどんを食べてきましたが、せっかく初めて香川まで来たなら他にも讃岐うどんの名店をいろいろ巡ってみようということで、讃岐うどん巡りの旅に出てきました。
しかしここは地方、うどんの名店は公共交通機関では行きづらい立地にあることが多い。というわけでレンタカーを使って移動します。松山で借りてそのまま香川へ移動し、乗り捨て返却する形を取りました。
まず向かったのは善通寺市にあるこちらのお店。
ここは県内でもけっこうな有名店のようですね。大きめの店舗で駐車場も広い。
普段ならばお昼時には店外に行列ができるらしいですが、この日はあいにくの悪天候もあって並ばずに入店できました。
うどん小 300 円、大 400 円。最大 9 玉分に相当する「たらい」まであるという安さと量バリエーションの多さに驚きます。見渡すと実際にたらいで食べてるお客さんも少なくないのが更に驚き。
先払いで注文を済ませたら番号札を受け取って空いている席に座ります。
店内、だいぶ広い。にも関わらずお客さんでいっぱい。
ファミレス並みの席数があっても埋まってしまうのがうどん県ならではという感じ。
席に座って待っている間にもどんどん後続のお客さんが入ってきて、正午過ぎには行列ができていました。さっき並ばずには入れたのは単に運が良かっただけだったか。
厨房では次から次へとうどんが釜あげられていっています。この勢いで生産しても追いつかないほど客の回転が速いということか。
ちなみに麺の釜あげは手作業で行われているのですが、計量を一切せずに取り分けているのに驚きました。もはや分量を腕と指先が憶えているのでしょう。まさに職人技。
うどんの前にまずはだしとねぎ・しょうがが運ばれてきました。
だしはなんと徳利入り。しかもかなり大きい。口がワイヤーで結ばれているのは、この徳利がかなり熱いから。
しばらく待って釜あげうどんが出来上がってきました。
シンプルだからすぐに出てくるのかと思ったら、けっこう待つんですね。
サイズは大(1.5 玉)にしました。
だしにねぎとしょうがを投入したら、さっそくいただきます。
麺は少しだけ芯があるもののコシが強いというよりは柔らかめ。表面に少しとろみを感じるくらいで、一般的な讃岐うどんのイメージとはちょっと違う。でも香りと味濃いめのだしがこの麺によく浸みて、なかなかうまい。確かにこれは今まで食べたことのない食感のうどん。
ただ、最初に調子に乗ってだしを入れすぎたようで、うどんを浸すとだしが溢れそうになる事故発生(汗。だしを注ぐ量は器の半分くらいで充分だったか。
ちなみにサイドメニューとして炊き込みご飯やいなり寿司、巻き寿司などが用意されています。
讃岐うどんっていうと天ぷらセルフサービスのイメージだったけど、この店ではうどんをおかずに米を食べるのか。
でもまあ、こういうところで食べるいなりってなんかおいしいよね。
うどんを半分ほど食べたところで、テーブルに置かれていたすり胡麻と一味をだしに入れて味変。
そうすると風味が変わってまた新たな食欲が湧いてきます。個人的には、最初から胡麻入りでも良かったかなというほど胡麻が気に入りました。
食べ終わってお店を出たところで、駐車場にうどんタクシーが駐まっているのに遭遇!
県内のうどん店をツアー的に巡ってくれる予約制のタクシーです。やはりうどん巡りにはクルマが必須。私は今回レンタカーを利用しましたが、うどんタクシーという手もあったか。
うどんタクシーは車体にステッカーが貼られているだけでなく、
行灯がうどんになっています(笑。
しかも「うどん」の文字は麺だし、ちゃんと海老天が載ってるのもポイント高い。
さらには運転手さんのネクタイもうどん柄。
麺に小口ねぎが絡んでいるのがかわいい(笑
そしてこの濃茶色のベストはだしってことですよね…。
お客さんをこの店に連れてきて今は食事待ちということでしたが、サービス精神旺盛な運転手さんで乗客じゃない我々(タクシーの周りに人だかりができていた)にもいろいろとうどんやうどんタクシーについて説明、宣伝してくださいました。これは次回香川に来たらうどんタクシーを利用してうどん巡りしたくなりますね。
この後は高松に移動して松下製麺所を巡礼し、その後高松空港に向かう途中で三軒目としてこちらのお店に立ち寄りました。
空港のすぐ傍にあるこのお店。香川に降り立ってまずうどん、あるいは帰る間際のうどんという需要に応えるためにあると言っても過言ではない立地です。
こちらも先ほどの香の香同様に店舗も駐車場もけっこう広い。
店先には 1900 年頃にイギリスで製造されたモーターが展示されていました。かつてこの店の前身となった製粉工場で製粉機に使用されていたものだそうですが、うどん屋でこんな歴史的な工業製品が見られるとは。香川のうどんの歴史は伊達じゃないことを実感します。
広くて清潔感ある店内はうどん店というより和食レストラン風。ソーシャルディスタンスも十分に確保できるし、落ち着ける座敷席もあるし、家族連れでも安心して利用できそうです。
松山からうどん店をハシゴしながら長時間走り続けてきたので、ちょっと脚を物理的に伸ばしてリラックスするのにちょうど良い。
香川のうどん店は釜あげだけとか釜あげ+釜玉だけ、みたいなシンプルなメニュー構成であることが一般的かと思いますが、この店のうどんはバリエーション豊富。うどんの他に天丼やカツ丼、ちらし寿司なんかもあります。
ややはり他のうどん店とは雰囲気が違う、どちらかというと「うどんレストラン」という感じ。
注文を済ませて一息つきつつ店内を物色していたら、おでんコーナーを発見。この串に刺さったおでんって妙にうまそうですよね。
しかも食事を注文したら大根が無料とか。これはいただくしかありません。
よーく煮込まれた、柔らかくヒタヒタな大根。見た目通りおいしい。
しかしこれを食べてしまうとなんか日本酒とか飲みたくなってくるし、他のおでんも気になってきてしまう。…いやいやいや、これからうどんを食べるんだった。
そうこうするうちにうどんがやって来ました。
選択肢はたくさんあったけど、ここまでまだ食べていなかった釜玉うどんを最後に食べておきたかったんです。
釜玉うどんって、見た目からして幸せですよね。
まあ生卵の黄身が載っかってれば何でもうまそうに見える、というのは置いといて(笑
黄身を潰してうどんとよく混ぜ合わせ、薬味を盛り付けたらいただきます。
我ながらおいしそうにできた気がする。
この店のうどんはコシがしっかりしていて食べ応えがあるタイプ。いわゆる讃岐うどんとして想像していた、典型的な麺です。
だしと卵が絡んでうまみ強し。他の二店が想像とちょっと違ううどんだったから、ここまでイメージ通りだと逆にこれは讃岐うどんっぽくないんじゃないか?という疑念も湧いてきますが(笑)、おいしいものはおいしい。
そしてこちらは私が食べたものではありませんが、鍋焼きうどん。讃岐で鍋焼きって逆に珍しいのでは?
具材がたくさん入っていて、これもまた豪華でおいしそうでした。
店内には所狭しとさまざまな有名人のサインが飾られていました。
きっと仕事で香川に来て、忙しく働いた最後にせっかくだからうどんくらい食べて帰ろう…と立ち寄っていく人が多いということなのでしょう。
他のうどん店の多くが 14~15 時で閉店してしまう中、この店は 19 時までやっているというのもそういう「帰り際需要」には貴重な存在です。
それにしても半日で三軒、合計でうどん 4.5 玉。よく食べました。
本当は裏の畑からネギ取ってくるようなマニアックな店にも行ってみたかったけど、そういうところに限って店じまいが早いんですよね。今回は松山からの移動だったから行きやすいルート優先でしたが、次の機会があるならもっとディープな讃岐うどん道を極めたいところ。
おいしかったし、楽しかったです。
ごちそうさまでした。
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