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仙台銘菓「萩の月」と類似品を食べ比べてみた

年明けに仙台銘菓「萩の月」をいただく機会がありました。数年ぶりに食べたけどやっぱりおいしいですね。
でも富山県人としては萩の月を食べるといつも思い出すのが富山の銘菓「甘金丹(かんこんたん)」。スポンジケーキの中にカスタードクリームが入ったお菓子という点では萩の月によく似ています。でも似てるけど食べてみると実はけっこう違う。

そう考えていたら直接食べ比べてみたくなってきました。こんなことなら先日富山に行ったときに甘金丹を買ってくれば良かった…と思ったのですが、調べてみたら都内にある富山のアンテナショップでも買えるらしい。この際だから他の「萩の月の類似品」と言われるお菓子も買ってきてまとめて食べ比べてみようと思い、実行に移してみました(笑。

下段左から順に甘金丹、萩の月、さらに鹿児島銘菓「かすたどん」。
甘金丹は有楽町交通会館の地下にあるいきいき富山館、かすたどんは日比谷駅近くのかごしま遊楽館で購入。ちなみに萩の月は池袋東口の宮城ふるさとプラザで不定期に販売しているようです。

なおそれぞれの歴史を調べてみたところ萩の月が 1979 年、甘金丹が 1989 年、かすたどんが 1995 年頃に誕生したようです。パクリとは言いませんが、萩の月の影響を後発の二つが受けている可能性はありますね。

上段はシャトレーゼの「ふんわりムーンカスタード」とセブンイレブンの「コクうまたまごのふわころ」。ふわころの方は数年前に「ジェネリック萩の月」と話題になっていたやつですね。チェーン店で買えるこれらの商品が萩の月や甘金丹に近いと感じられるなら、ある日突然萩の月や甘金丹が食べたくなっても欲求が満たせることになります。というわけでこの五品を食べ比べてみます。

まずは甘金丹。富山人としては萩の月よりもこちらがファーストコンタクトなわけです。今でも帰省すると鱒寿司と昆布巻き、甘金丹を必ずお土産に買って帰るくらい我が家では大定番。
富山の老舗洋菓子店「リブラン」が昔から作っているお菓子で、駅や空港で土産物として売ってるけど普通に店舗でも売っていて、子どもの頃からよく食べていました。リブランは富山県内に多店舗展開する洋菓子店で、私が人生で最も食べたケーキはここのチーズケーキだと思います。というくらい、富山県内では定番のお店。

「甘金丹」は富山の伝統的胃腸薬「反魂丹」をもじったネーミングだと思われます。
ちなみに隣にある「富也萬」は同じくリブランの餡子をパイ生地で包んだお菓子で、大抵甘金丹と一緒に売られています。これもおいしい。

これが甘金丹。丸くて黄色いスポンジケーキに白い紙が敷かれているのがケーキ店っぽい。
でも見た目だけだと(特に写真では)敷紙以外は萩の月と同じように見えますね。

断面はこんな感じ。

分厚めでしっかりしたスポンジケーキの中に、オーソドックスなカスタードクリームが詰められています。
カスタードは甘めで、味も食感もいかにもケーキ屋さんが作ったお菓子という感じ。個人的にはこの味が基準です。

続いてかすたどん。
鹿児島のお菓子ということで、存在自体は知っていましたが鹿児島のお土産をもらう機会自体が少ないから私は食べたことがありませんでした。

かごしま遊楽館、かすたどん以外にもサツマイモ系のお菓子とか黒豚製品とかさつま揚げとか、おいしそうなものがいろいろと売ってて危なかったですね…。

かすたどんは透明のフィルムで包まれていました。

一見して分かるのは甘金丹より明らかに黄色みが強い。見た目から卵のおいしさが伝わってきます。

見た目は、黄色みが強いこと以外断面も含め甘金丹に似ています。
でもスポンジケーキもカスタードも甘金丹よりやわらかめ。

味は甘金丹よりも甘みがあって、見た目どおり卵らしい風味が強くておいしい。さすがは畜産の県。
分類するならば萩の月よりは甘金丹寄りだけど、目指してる方向が違う感じ。それぞれ違う個性があります。

そして元祖萩の月。
こちらもビニールの個包装の中身がさらに透明フィルムで包まれています。

包みを取り払ってすぐに気づくのが、先の二つに比べるとスポンジケーキのしっとり感が強いこと。
フィルムを外して皿に置くと、スポンジの表面が皿にひっつくくらい繊細です。

切ってみると、先の二つよりも皮が薄いことが分かります。
またクリームはカスタード系なんだけど、細かく泡立っているようなフワフワ感があっていわゆるカスタードクリームとはちょっと違う。微妙にスフレっぽくもあります。

味は卵とミルクの香りを感じつつも全体的に上品。食感も相まって洋菓子よりも和菓子的な繊細さがあり、甘金丹やかすたどんとは全然別物であることがよく分かりました。

というわけで全国流通系のお菓子に移っていきます。まずはセブンイレブンのふわころ。
セブンイレブンと言えばこれ以外にもマルセイバターサンド(北海道)とか博多通りもん(福岡)とかの類似品、いわゆる「ジェネリック銘菓」をいろいろと発売しています。商魂たくましいと思うけど、地方の銘菓欲を近所のコンビニで手軽に満たせるという意味ではありがたい存在でもあります。

包装には深めのプラスチックトレイが使われていて、流通時や陳列時に中身が潰れてしまわない工夫がされているあたりがコンビニらしい。

断面を見てみると萩の月よりは甘金丹に似ています。

スポンジケーキは甘金丹より密度高め。他のに比べてしまうと、ふわころというネーミングの割にはフワ感が弱いかな。カスタードは甘さ控えめだけどコンビニで買える日々のおやつという意味ではこれくらいの甘さがちょうど良い感じ。

洋菓子系の作りで、ジェネリック萩の月というよりは「ジェネリック甘金丹」と呼んだ方が実態に近いですね。富山人としては近所のコンビニで甘金丹成分が摂取できるのは捗ります。

最後はシャトレーゼのふんわりムーン。
もう「月」由来のネーミングな時点で萩の月を意識していることが伝わってきます。と思ったらこれ、以前は「富士の名月」という名前だったらしいですね…それはさすがにあからさますぎたのでは(笑

セブンイレブンよりは浅いプラスチックトレイ。
スポンジケーキは萩の月に比べて繊細さに少し欠けるけど、しっとり感は萩の月っぽさがあります。

クリームは単純なカスタードではなく、餡っぽい繊細さが萩の月に寄せてきている印象。
味も香りも萩の月よりはちょっと濃いめ。卵とミルクに加えてバニラっぽさを感じると思ったら、クリームの中の黒いツブツブはたぶんバニラビーンズですね。

萩の月とそっくりとは言わないけど、今回試した類似品の中では最も萩の月に方向性が近いと思いました。これはセブンイレブン以上に「ジェネリック萩の月」と言って良いのでは。近所に店舗があるし、他の洋菓子と一緒にたまに買おうと思いました。

というわけで、実際に食べ比べてみると類似品とはいってもそれぞれに特徴があることがよく分かりました。私は甘金丹は心のふるさとという感じだけど、萩の月もかすたどんも別物として好きですね。池袋や有楽町に用事があるときにアンテナショップに在庫があったら買って帰ろうと思いました。
しかし一度に五種類も食べるとさすがに胸焼けしますね。いくらおいしくても、一度に食べるのは二つで十分ですよ…。

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