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武蔵小山 スペイン食堂 石井 その 8

「スペインの中にも、いろんな風がある」

もうすぐ F1 スペイングランプリが開催されることだし、プレビューがてらスペイン料理を食べに行こうということで「スペイン食堂 石井」へ。旗の台から武蔵小山に移転して以来二度目になります。

移転前よりも席数が増えているにも関わらず今回も予約だけで満席らしく、飛び込みのお客さんが何組も断られていました。以前から予約必須の店でしたが商店街が有名なエリアに移転してさらに人気が高まっているようですね。

スペイン食堂 石井

今回はカウンター席でした。以前の店舗ではカウンターに座ると厨房で調理しているマスターと雑談できるほどの距離感だったのが、今の店舗はカウンターが高くなってしまい厨房の様子が窺えないのがちょっと寂しい。
でも、お店が大きくなってスタッフもお客さんも増えて今後も末永くこのお店の料理が楽しめるであろうことは喜ばしい限りです。

『孤独のグルメ』に登場した料理は以前から「孤独のグルメメニュー」として別紙が用意されていましたが、なんと今はさらにコースメニュー化されているんですね。しかも LINE で友だち登録すると 15% オフ!これはお得感高い。久しぶりに五郎’s セレクション全制覇、いってみますか。

五郎さんメニューももちろんおいしいんだけど、個人的にはこの店の楽しみはこの黒板メニューにこそあると思っています。その時々でちょっとずつ変化するメニュー、今は何がおいしいのかな?と考えながら眺めるだけでも楽しい。
よし、今回は五郎さんメニューを主軸に据えつつ、黒板メニューからも気になるのをちょっとピックアップしていく方式でいこう。

とりあえずスパークリングワインと軽いつまみで立ち上がっていきますか。
こういうシンプルなオリーブの盛り合わせ、好きなんだよなあ。

それとチーズの盛り合わせ。
ハード系のチーズにオリーブオイルとローズマリーを落としただけ、ワインのお供にはこういうのでいいんですよ。

ではここからギヤを上げていきますか。というわけで、五郎さんメニューからにんじんサラダ。
千切りされたニンジンを酸味強めのドレッシングで和えたシンプルなサラダ。これ、単体でつまみにしても良いけど、他のスペイン料理の合間につまむピクルス的な役割としてもよく効く。鮨屋でいうガリみたいなポジション。

サルチチョンのレヴェルト(イベリコサラミのスクランブルエッグ)。
なんてことない料理に見えて、イベリコサラミと味濃いめのチーズ、それに黒胡椒が効いたパンチ力ある一皿。これもまたお酒が進む味付けで、ハーフとはいえ素面で平らげた五郎のすごさを改めて思い知ります。

ここでスペインビールの登場。ラ・サルベというブランドの「ムニッチ」というアンバーエールです。でもスペインビールなのに Munich(ミュンヘン)って…ドイツ風を意識した製法なんでしょうか。
濃色のビールだから重たいのかと思ったら、香りが良くふくよか・爽やかな味わいのビールでした。料理との相性もいいじゃないですか。

この店に来たら食べずには帰れない「長谷川さんのこだわりマッシュルームの鉄板焼き」。ドラマでサブタイトルになった料理ではないはずなのに、メイン料理以上にインパクトを残したのがこれ。
プリプリしたマッシュルームと、その中に詰められた生ハム+ニンニクのコンビネーション。噛むと中から肉汁とニンニクとオリーブオイルが渾然一体となったものが噴出してくる。本当にこれ、何度食べても飽きない。

タラのアリオリオーブン焼き。どんな味付けでも受け止める懐の広さをもつタラと、ガツンと来るアリオリソース=ニンニクマヨネーズの組み合わせ。アリオリソースの表面に軽く焦げ目がついているのがまた良い。

これ久しぶりに食べたけど、やっぱり超絶うまし。
武蔵小山に、アリオリはべりいまそかり。

そうなると次はワインが欲しくなるわけです。
スペイングランプリの予習を口実に食べに来たからにはサーキットのあるカタロニア(カタルーニャ)地方のワインを飲みたい、というわけでサン・ヴァレンティン・ガルナッチャ。

華やかな香りとフルーティーな味わいで、赤ワインながら魚介にも合う。

そんでもってサルスエラ(ブイヤベース)。これも何度食べてもおいしさに飛び上がりそうになるやつ。

エビ、カニ、アサリ、ムール貝、タラ…海のうまさのオールスターゲーム。
地中海のエキスが凝縮されている。日本の海とはまた違う、栄養滋養を感じる。

五郎さんメニューから少し離れて、ホワイトアスパラガスのグラティナード。
グラティナードって「グラタン」って意味だと思うけど、見た目はあまりグラタンっぽくない。でもホワイトソースでオーブン焼きにしたという意味ではグラタンっちゃあグラタンか。

食べてみると…おお、これアリオリソースだったのか!
甘くてフニフニした白アスパラにパワフルなアリオリソースの組み合わせ。意外とこれ、クセになりそうな味。

魚介系が続いたところに、豚ロースの低温調理ロースト。キタコレ!
「いかにも肉って肉」な豚ロースに、ここにもアリオリソース。マヨネーズって味がワンパターンになりそうな気がするでしょ?でもこのアリオリソース、組み合わせる食材や味付けによってキャラクターが違って感じる。豚肉とアリオリ、いい。そしてこの豚ロースそのものがうまい。

最後はイカ墨のパエリア。これまたアリオリソースだけど、イカスミやアサリと組み合わさると不思議と海の味に感じられる。

ほとんど真っ黒に見えるパエリアだけど、イカスミの真っ黒な海底に、様々なウマモノが潜んでいる。食べるほどにいろんなうまみが感じられて、スプーンを運ぶ手が止まらん。

赤ワインが空いたところでシェリー酒にスイッチ。スペイン料理でも食べに来ない限り飲む機会がないお酒だけど、逆にスペイン料理を食べに来たからには飲みたい。

ああ、うまい。
シェリー、俺は食べ続けて、こんなとこに辿り着いた。

デザートはバスクチーズケーキを。
普通のチーズケーキとは全然違う濃厚な味、好きなんですよね。チーズ好きとしてはたまらんわけです。

いやはや、今回も最初から最後までおいしかった。大満足でした。

やっぱりスペイン料理、好きだな。もう何回も来てる店だけど、これからも幾度となく来よう。
この店が今後も変わらず繁盛し続けることを願っています。

ごちそうさまでした。

『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート Season1~10&原作
ドラマ&漫画『孤独のグルメ』の聖地を実際に巡礼してきた本人によるまとめです。(※2017 年大晦日スペシャルの広島編、2019 年大晦日スペシャルの釜山編、2023 年大晦日スペシャルの台湾編、および原作の病院、パリのみ未巡礼)。 ドラマ...

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