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東京都世田谷区下北沢のラーチャン餃子

♪腹減った!オイオイオイ! 腹減った!オイオイオイ!

昨日の東京国際映画祭で『劇映画 孤独のグルメ』が先行公開されましたが、私はそれに合わせて下北沢の「聖地」を巡礼してきました。

『劇映画 孤独のグルメ』の主題歌はザ・クロマニヨンズが歌う『空腹と俺』。スクリーントーンズではないことに少し驚いたのですが(スクリーントーンズは Kan Sano と分担する形で劇伴を担当)、でも歌うのが全く無関係なアーティストではなくザ・クロマニヨンズということならば納得です。なぜならザ・クロマニヨンズのヴォーカルを務める甲本ヒロト(元 THE BLUE HEARTS)はかつて松重豊のバイト仲間であり、以来四十余年にわたって親友と言える間柄なわけです。その二人が同じ日にバイトを始めたのが下北沢のラーメン店「珉亭」。下北といえば昔から小劇場とライヴハウスの街、当時駆け出しだった二人がここで出会うのも運命だったのかもしれません。

甲本ヒロトと松重豊が元バイト先で記念撮影、映画「孤独のグルメ」主題歌はザ・クロマニヨンズに決定(動画あり / コメントあり)
2025年1月10日に公開される「劇映画 孤独のグルメ」の主題歌がザ・クロマニヨンズの新曲「空腹と俺」に決定した。

映画と主題歌のプロモーションのためにお店の前で撮影されたこの写真、服装といいポーズといい表情といい完璧じゃないですか。しかも 40 年前に松重さんが「俺が将来映画を撮ったら主題歌はヒロトに歌ってほしい」という「約束」をしていたというからさらに胸が熱くなります。
私は七年前に一度この店に食べに来たことがあるのですが、映画の完成を記念して改めて訪問。

中国麺家 珉亭

下北では今やロック界隈以外にもすっかり有名になったライヴハウス「SHELTER」からも徒歩 2 分くらいの場所にあります。お昼時には行列ができているのを見かけたことがあったので開店前に来てみたところ、15 分前の時点で既に開店待ちが一組。どうやら関西から遠征してきたクロマニヨンズのファンと思しき二人組でした(見た目が明らかにパンク系で分かりやすい)。調べたら同日に恵比寿でクロマニヨンズのライヴがあったようですね。松重豊のファンと甲本ヒロトのファンがそれぞれのイベント当日にこの店で出会うというのも何かの縁でしょう。

お互い譲り合いながらお店の写真を撮っていたら、あれよという間に人数が増え開店時刻には十人以上の行列ができていました。

私は一人だったのでカウンターに着席。複数人だと 2F に通されるようで、しかもそちらには松重豊・甲本ヒロトだけでなく有名人のサインが大量に飾られているらしく、一度見に行ってみたいところですが混んでたから控えておきました。

それにしても、この厨房で働いてるバイトさんたちももしかしたら将来の大スターなのかもしれないんだよなあ。

カウンターには巨大なボウルに大量の真っ赤な漬物が。これがこの店の有名な「赤いチャーハン」の元になるわけですね。
訪れるお客さんの大半がチャーハンを注文しているから、これくらい仕込んでないと間に合わないのだろう。

さて、何を食べようか。
前回来たときは普通にラーチャンセット+餃子だった記憶。名物のチャーハンは外せないし、松重さんが担当していたという餃子もこういう日だからこそ食べておきたい。ならば麺でちょっと冒険してみようか…おっ、おすすめという「江戸っ子ラーメン」が気になる。どの辺が江戸っ子?よく見たら「特製キムチのせラーメン」って書いてあるけどキムチ?江戸っ子なのに??

という謎を抱えつつも「江戸っ子ラーメンと半チャーハン、あと餃子で」と注文したら「それならラーチャンのメン大と同じものだから、セットの方がお得ですよ」と返され「じゃ、じゃあそれで」と流されるように返事。えっ、ラーチャンのラーメンって江戸っ子ラーメン相当なの?どこにも書いてないけど。

そんなわけで、町中華らしい手際の良さで私のラーチャンセット(メン大)が着丼。
流されるままに注文した結果、前回食べたのと全く同じものを注文してしまった。まあこういう流され具合も『孤独のグルメ』っぽいのかもしれない…。

ラーメンというより「中華そば」と呼びたくなる、昔ながらのラーメン。チャーシューのほかにほうれん草と海苔、ってのがいいじゃないですか。
このシンプルな澄んだスープが私の大好物。豚骨だ家系だといっても、結局最後にはここに帰ってくる味。

ああ、うまい。味覚だけでなく気持ちに染み渡る味。
普段はラーメンってそんなに頻繁に食べないけど、この味なら毎日でも食べられる。きっと若き日の松重豊や甲本ヒロト青年もこれを日々食べながら働き、ステージに立っていたんだなあ。

そして「セットの漬物です」と提供されるのがこのキムチ。
キムチというけど韓国のキムチとは味わいがずいぶん違う。辛さ控えめ、むしろほんのりと甘味を感じるキムチ。これならば味覚が韓国に引っ張られることもないし、この店のラーメンやチャーハンにも馴染む。どの辺が江戸っ子なのかは相変わらず不明だけれど(笑。

というわけでそのキムチをラーメンに投入して江戸っ子ラーメンにするわけです。江戸っ子ラーメン単品を注文したら、最初から丼にこのキムチが入ってくるということでいいのかな?
軽くピリッとした辛さと酸味、それに白菜の甘味がスープの味変効果あり。半分は普通のラーメンとして食べて、後半に江戸っ子ラーメンに味変して楽しむのが正解だろう。

こちらが半チャーハン。この真っ赤な見た目からして味は辛いか酸っぱいかのどちらかを舌が予想して身構えるのに、口に入れてみると超スタンダードな塩チャーハンの味、というギャップ。しかもその辺の中華料理屋で出てくるチャーハンよりもうまい。
ラーメンとチャーハンで無限に反復横跳びしていられそうなうまさ。

後追いで餃子。いかにも町中華らしい普通の餃子なところが逆にいい。
せっかくだから今日は孤独のグルメに敬意を表して酢胡椒で食べようか。昔ながらのラーメン屋だから自分で挽く黒胡椒じゃなくて粉末の白胡椒だけど、こういう店ならばそれはそれでアリ。

はー、お腹いっぱいになりました。
どれも普通なんだけど普通でありながらおいしい、というのが良い。十分以上においしいのに加えて下北沢の街やそれにまつわる人への思い入れが、さらにおいしく感じさせるのだろう。これを日々食べられる下北の人たちが羨ましい。

レジ横には『劇映画 孤独のグルメ』のポスターと、先日のプロモーション撮影時に書かれたと思われる松重・ヒロト両名のサインが飾られていました。このダブルネームのサイン色紙、相当レアでは。

下北に来る機会があればまた食べに来ようと思います。
ごちそうさまでした。

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