イギリスGP決勝:ハミルトンが母国GPを制す!バリチェロが3位表彰台! (GPUpdate.net)
クルサードが今季限りでの引退を発表したイギリス GP は、雨で大荒れの展開に。まずは予選からいつもとは違う展開で、フロントロウにコヴァライネン-ウェバーが並ぶというだけでも珍しいですが、決勝も雨が降ったり止んだりでレースを大きくかき回してくれました。中盤はちょっと目まぐるしく状況が変わりすぎ、実際に誰と誰がレースをしているのか分からなくなって、観る方も大変でしたね。
こういうレースで必ずと言って良いほど強いのがハミルトン。彼はこういうレースではほぼ間違いなく「何も天候やアクシデントの影響を受けない」走りで悠々勝ちをさらっていく展開を得意としていますが、今回も序盤で簡単にコヴァライネンからトップを奪ってからは、途中でエクストリームウェザーを履いてペースの上がったバリチェロに一時的に抜かれた以外、全く危なげのない走りで母国初優勝を手にしました。
チームメイトのコヴァライネンはせっかくの初ポールをフイに。Q3 のタイムが一人だけ別世界だったので、軽タンスタートで逃げ切る戦略かと思いきや、スタートで出遅れてあとはズルズル。5 位フィニッシュはしたものの、勝ったハミルトンとは対照的にいかにもしまらないレースでした。
ライコネンは・・・というかフェラーリは今回のタイヤ戦略を完全に失敗。初回ピットでタイヤ交換なしで出したところ、その直後から雨脚が強くなってきて裏目に。細かいミスもあって 4 位が精一杯だったという感じですが、今回は完全にチーム側のミスでしょうね。今季のフェラーリにはミハエル時代には考えられなかったような戦略のまずさが見え隠れし、それがマシン的には優位なはずのシーズンを難しくしている気がします。
で、いっぽうのマッサですが・・・何回回ったか分からないくらいスピンし、最後尾からフォースインディアでさえもオーバーテイクに苦労する有様で、完走中最下位となる 13 位。あまりにも不甲斐ないレースで、仮にもレーススタート時点でのポイントリーダーがするような走りじゃないね(´д`)。自身初のドライバーズランクトップを獲って自信をつけたかと思った矢先、私の中でのマッサ株はまた大暴落しました。
今回の金星と言えるのはやはりホンダ。大幅なアップデートを持ち込んできた結果は(予選を見る限りでは)あまりなかったようですが、バリチェロに執ったタイヤ戦略が天候にピッタリはまって、今季初・チームとしても 1 年半ぶりとなるポディウムを獲得。ほとんどのクルマがスタンダードウェットで走る中、エクストリームウェザーで一人異次元のタイムを出し続けた今回のホンダほど痛快だったレースはいつぶりでしょうか。まあ、その戦略も「失うものがない」中でのギャンブルがたまたま当たったに過ぎませんが、それでもチームにとっては明るい材料と言えるわけで。
ただ、相変わらずバトンはパッとしない状態が続いていますし、アップデートが施されたマシンについても、正直イマイチとしか。RA108 はフロントノーズが象の鼻のように細長く垂れ下がった形に変更されましたが、正直どんどん醜いマシンになっていっているのが残念でならない・・・。これで速くなっていればいいけど、全然効果が出ているように見えない(実際には速くなっているんだろうけど、他チームの向上度合いを上回れていないので、結果的にテールエンダーから脱出できない)のは、状況の深刻さを物語っていますね。今回の表彰台獲得も、昨年のウェットレースで比較的成績が残せたのと同様に、ウェット故に空力性能の差が比較的顕在化せずに済んだ結果でしかないのだと思います。
中嶋一貴についても、今回は「中嶋家らしい」粘りの走りで 8 位 1 ポイントゲット。終盤はアロンソを捉えて 6 位に上がれる可能性も見えていただけに、ファイナルラップでトゥルーリに捕まって 1 ポイントを失ったのは残念でしたが、こういう荒れたレースできっちり結果を残していけば、周囲からも認められていくというものです。特に FW30 と相性が良くないと思われるシルバーストンでのポイント獲得、そして結果的にチームメイトのロズベルグとドライバーズポイントで同点に並ぶリザルトは立派。親父さんの前でちゃんと結果を見せられたことも、個人的には嬉しかったり(^^;
さておき、これでドライバーズチャンピオンシップはハミルトン-マッサ-ライコネンが 48 点で並び、さらに 2 点差でクビサが追うという昨年以上に熾烈な争いとなりました。しかも、前戦終了時点での 1・2 位が今回揃ってノーポイントなのだから、やはりレースというのは分からないものです。
このイギリス GP ですが、2010 年からのグランプリ開催権のドニントンへの移転が決まったとか。シルバーストンサーキットの運営団体である BRDC は長年の資金難にあえいでおり、いつかはこうなるだろうことは想像に難くなかったのですが、シルバーストンはけっこう好きなサーキットでもあり、またクラシックサーキットでの開催がどんどんなくなっていくのは、寂しい限りです。
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