ポルトガル国内開催としては 24 年ぶり、アルガルヴェサーキットとしては初開催となった F1 ポルトガル GP。高低差があり、狭くて抜きにくく、かつ風向きと天候が頻繁に変わることで非常に攻略が難しいサーキットという印象ですが、それだけにレースは面白いものになりました。
予選こそいつものハミルトン-ボッタス-フェルスタッペンというオーダーでしたが、スタートから波乱。ちょいウェットの路面にメルセデスとレッドブルのマシンは合っておらず、逆にそこで速さを見せたのがマクラーレンの二台とアルファロメオのライコネン。まるで下位カテゴリのマシンを相手にするようにスルスルと順位を上げ、序盤はサインツがラップリーダーを務めます。ライコネンも 16 番手スタートから面白いほどのオーバーテイクショーを見せ、一気に 10 台抜きで 6 番手に。マクラーレンもアルファロメオも路面状況の改善に伴いペースを落としていきましたが、間違いなくこのレースのハイライトの一つでした。
路面が乾き始めてからはいつも通りメルセデスのターン。19 周目まではスタートで先行したボッタスが首位を走りますが、相手はハミルトン。毎ラップ着実にマージンを削られ、抜くときは一発で仕留める。20 周目にトップが入れ替わってからは、今季の他のレースと同じでした。これでハミルトンは歴代単独トップとなる 92 勝目を記録。すごい記録だけど、あまりにも圧倒的すぎて正直感動が薄い…ミハエル・シューマッハーの最強時代もこんな気持ちだったような。
ボッタスは最後のタイヤ交換でハミルトンとは異なるタイヤ選択を要望しますが、チームがそれを認めず。もはやコンストラクターズチャンピオンは確定的で、ドライバーズも自チームの二人に事実上絞られてる状況なんだから勝負させてあげようよ…と個人的には思いますが、例外を認めないのがメルセデスのメルセデスたる所以でもあります。
フェルスタッペンは今回も前後に競争相手の居ない状態で 3 位。もう今季は絶対的三番手(誉めてるんだか貶してるんだか)という感じで、メルセデスがいなければ独走でチャンピオンなんですよね…。
今回のレースで光ったのはアルファタウリのピエール・ガスリーの走りです。ソフトタイヤスタート勢では誰よりも長いスティントを走りながらもペースの衰えを見せず、ミディアムタイヤへの交換後もレース全体を見渡したペース配分で走り、終盤までリカルド、ペレス、サインツをオーバーテイクしての 5 位入賞。今シーズンのガスリーの成長には目を見張るものがありますが、特にイタリアで初優勝したレース以降はアルファタウリ AT01・ホンダのマシンとピレリタイヤを完璧に自分のものにした印象があります。ドライバーズポイントでももうすぐアルボンやノリスを抜いて 7 位に浮上する可能性もあり、一気にトップドライバーの仲間入りをしてきました。かといって今後レッドブルに再昇格してうまくいくかは別の話だと思うから、個人的にはこのままアルファタウリに残留して来季も何度か表彰台に乗る活躍を見せてほしいところです。
対照的に空気だったのがアルボンとクビアト。特にアルボンはレッドブルに乗っていながらここで二戦連続ノーポイントですからね。クビアトは来シーズン角田にシートを奪われることが半ば既定路線化していますが、このままではアルボンも来季のシートはないでしょうね。
そんな感じで優勝争いは全く面白くない今シーズンの F1 ですが、中団勢は入れ替わりが激しくて面白い。そんな中でガスリーが F1 ドライバーとして一人前になりつつあることを嬉しく思います。
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