「両国で食う飯といったら、ちゃんこだ。今日はもう、その一点張りでいこう」
『孤独のグルメ Season2』聖地巡礼ツアー、第 8 話に登場したちゃんこ料理店「大内」にやってきました。
サブタイトルに「一人ちゃんこ鍋」と入っていたら一人で来ないわけにはいかないじゃないか!というわけで(ぉ)、今回は一人での訪店。いや、Season1 の聖地巡礼はけっこう一人で行ってたんですが、Season2 になってからゴローちゃんの食べる量が半端なくなってきているので(笑)甘味パート以外は基本的に誰かを誘って行っているんですけどね。今回ばかりは一人で行かざるを得ない。
この浮わついていない構え。よし、取組はこの店に決めた。
「すいません、一人なんですけど」
店に入るなり、つい無意識にドラマと同じ台詞が口をついて出てきます。だって、店内を見渡す限りほとんどが新年会の団体客のようだし、ちゃんこ鍋なんて普通一人で食べないじゃないですか。だから、一人で入るならつい断りをいれたくなるのが人情というもの。そしたら、私の前にも一人で食べに来ている先客がいて、私と入れ替わりで退店していきました。おかみさん曰く「以前は一人で食べにいらっしゃる方なんて年に一人、二人くらいだったんですけど、ドラマで紹介されてからすごく増えて」とのこと。まあ、ああやって紹介されなければ、普通一人でちゃんこ食べようなんて発想にはならないよなあ(笑。
とりあえずメニューを見せてもらいましょうか。
へええ、こんなに種類があるのか。業師だなあ~っ。
取組前に、なんか軽ーく入れておくか。
まあまずはビールでしょう。生ビールはないようなので、瓶ビール。生もいいけど、お座敷に座って飲む瓶ビールってなんかいいんだよなあ。
お通しはいかの塩辛。こういうチョイスが嬉しいじゃないの。
ビールをちびりちびりと飲りつつ、料理を注文したところで、一息。
落ち着いて店内を見回すと、ああ、両国なんだなあ、というのがしみじみと伝わってきます。
そういえば、ちゃんこ屋なんて、学生時代になぜか大学の裏手にあった(近くに相撲部屋もないのに)店に行って以来だから、15 年ぶりくらいか。そういえば、あそこもうまかったよなあ。
というわけで、まずは山芋の千切りで、鍋ができあがるのを待ちます。
ほー、卵がついているのか。しかも、ちゃんと白身は取ってある。山芋に、この卵と、山葵と醤油をかけて、ぐるぐる混ぜていただきます。
しゃきしゃき、ねばねば。すごく粘りけのある山芋だ。ビールにも合う。
うん、山芋の卵乗せ、正解。身体が欲してた味。こういうものが必要だったんだ。
本命の土俵入り。
おおー、野菜たっぷり、具だくさん。
頼んだちゃんこは、もちろん「鳥そっぷ」。「そっぷ」とはオランダ語の「sob」(=スープ)からきた相撲用語とのことで、骨張った痩せ形の力士を指すことから連想するに、鶏ガラでよく出汁をとったスープのちゃんこ鍋、ということなんでしょう。これはうまくないはずがない。
見るからに二人前以上ありそうな量だけど、これで一人前。いくらなんでもこんなに食べきれるんだろうか(汗
若干不安になりつつも、山芋とビールをいただきながら、煮えるのを待ちます。
煮えてきました。
おぉ~。ちゃんこだ、ちゃんこだ!
ようし、がっぷり四つでいこうじゃないか。
まずは前半戦、できあがり。いただきます。
染み入るなぁ~っ。
この、奇をてらってない醤油味。やっぱり、ここに帰ってくるんだ、日本人は。
落ち着くよ。
鍋の横綱といったら普通は白菜だけど、ここでは白菜の代わりにキャベツ。このキャベツが効いていて、白菜とは違った甘みが出てる。
野菜の甘みがやさしい。これはいい…。
こうなってくると、日本酒に移行せずにはいられないわけです。
最近、健康のためにビールや日本酒を自ら禁じているのに、こどグルのお店に来るとどうしてもビールや日本酒を飲まずにはいられなくて生きていくのがつらい(ぉ
前半戦を食べ終わったので、中日を越えて、後半戦、いきます。
一回目で一度煮立てたスープだから、いろんなものが凝縮されていて、見るからに二回目のほうが濃い。同じちゃんこでも一段深い。
しみてる、味、しみてる。
つみれもいいじゃないか。磐石だ。横綱相撲のうまさ。
つみれとモモ肉のぶつかり稽古もまたよし。なんだか、嬉しくなってくるな。
いろんな味を出してくるなー。技のデパートだ。
ああ、堪えられない。
さあ、結びの一番。〆のうどん、いっちゃいましょうか。
うどんに行く前に、鍋の中に少しだけ具を残しておくのがミソ。鍋は醤油味だけどな(ぉ
最初にちゃんこの具を見せられたときには食べきれるかと思ったけど、野菜は煮ると縮むからか?それとも、あっさりめの味付けのせいか?あるいは、これを見越して昼食を少なめにしておいたからか?(ぉ)いずれにしても、あれだけの量を食べきって、しかもうどんが普通に食べられてしまいそうだぞ。
うほほほっ、なんなんだ。この薬味、いい。
あれだけちゃんこを食ったのに、いくらでも入っちゃうぞ、こいつは。
汁に全てのエキスが溶けてるから、とんでもないごちそうだ。この鳥そっぷ汁、素晴らしい。
今まで、鍋の〆のうどんとかおじやって、あくまでお腹の空白を埋めるもの程度の認識しか持ってなかったけど、こんなにうまい〆のうどんは初めて。煮詰まったスープがうどんに染みこんでいるのはもちろんのこと、薬味の天かすがスープの複雑な味を凝縮して楽しませてくれるから、それがたまらない。これはおかわりしたくなるレベル。
ふー、大一番だった。まいりました。
国技館に座布団が飛び交っているところだ。
伝統、伝承、稽古。心技体、すべてが充実した鍋だった。ごっつぁんです。
いやあ、気合い、入れてもらったなあ。ちゃんこ正解、三好正解入道(ぉ。
一人新年会のつもりで来てみたけど、これは毎年の新年会の定番にしたいくらいかも。
おかげで、今年もがんばれそうです。
ごちそうさまでした。
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