「そうか…俺は赤ちょうちんが心に引っかかってたんだ。今日の俺は、珍しく赤ちょうちん気分だったんだ」
ドラマ『孤独のグルメ Season2』聖地巡礼の旅も佳境に入ってきました。今回は、第 10 話の舞台となった十条の居酒屋「田や(たや)」さんにやってきました。
この赤ちょうちんが期待をあおります。いいじゃないか…!
店内はドラマの雰囲気どおり、ごちゃっとして活気があるけど独特の秩序に包まれている感じ。
意外と女子、多いんだなあ。というか、お客さんの過半数が女性じゃないか?へええ、女性にも人気のお店ということか。確かに、ほっとしちゃう雰囲気。
メニュー、多いなあ~。あれ、あっちのメニューと少し違う。でも、同じものもあるし。メニューで神経衰弱ができそうだ。腰を据えてかからないと、いつまでも決まらないぞ。しかも、メニューの文字が達筆すぎていくつかは読めない(笑。
井之頭五郎ばりにさんざん迷った挙げ句、「みずこぶのしんこと、とんぶりしらすと…」まで言ったところで「ああ、それから鯖くんとももハムキムチ召し上がるのね」って、ドラマ観て来たのもろにバレてる(;´Д`)ヾ。そりゃあ、これだけたくさんメニューがある中から特定の品を決め打ちで注文するような客は一発で分かりますよね(笑。
しかも「ご注文は大きい声でお願いしますね、耳が遠い人が多いからね(笑」と(笑。確かに、店員さんみんな明らかに私の母親より年上(^^;;。…とまあ、こんな感じの近い距離感で店員さんとのやりとりも弾みます。
まずは生ビールどーん!で乾杯。真冬日だけど、こういう店での一杯めはやっぱりビールでしょう。巨大な大ジョッキ(写真右)、飲み応えあります。
お通し。玉子焼き、おくらと筍の煮物、肉団子、ゲソのキムチ和え。
肉団子、うんうん、よそんちの肉団子って感じ。どれも生ビールに合うなぁ~。
料理はまずはみずこぶのしんこ、それからとんぶりしらす。
みずこぶのしんこは「ふらっと QUSUMI」に登場したメニュー。みずこぶという東北地方の山菜を漬け込んで、ごま油であえたもの。初めて食べたけど、これはうまい。コリッとした食感とよく漬かった風味が、お酒のつまみに最適。ごはんのおかずにもなりそうだぞ。
よしよし、とんぶりもすばらしい。畑のキャビア…貧乏くさいうたい文句、そろそろやめてあげようよ。とんぶりはとんぶりだ。しらすがまたいい。
お刺身。久住さんが食べていた水だこの刺身と、店員さんオススメというぶり、かんぱちの刺身。私は富山の生まれだからぶりにはうるさいけど、この刺身は当たりだった。今の時期に北陸で食べるものにはちょっと負けるけど、旬だけに脂が乗っていてうまい。
水だこの刺身もいい。このとろっとした食感と、甘みがたまらない。これはビール飲んでる場合じゃない。
どーん、と栃尾あげ。肉厚のあぶら揚げをただ焼いて、鰹節・生姜・刻み葱を散らしただけのシンプルな料理だけど、いかにも酒のつまみって感じで、これがいい。揚げと薬味の風味に醤油が絡んで、これがいいんですよ。
ももハムのサラダ。普通の野菜サラダに肉厚のももハムが乗っかるだけで、どうしてこんなにインパクトが出るんだろう。飲みの席のサラダって後回しにしがちだけど、これはつい手が出ちゃうなあ。
さて、本命。鯖のくんせいが来ましたよっと。
この色といい、照りといい、そそるなぁ~っ。
おー、くんせいだくんせいくんせい。感動的に、鯖くん。
くんせいというからには、もっと締まっててパサッとしているかと思ったけど、鯖そのものの脂が乗ってほろっとした食感は残したまま、くんせいで風味だけを増した感じ。これは近年まれに見るヒットかも。
塩焼きよりも、味噌煮よりも、ご飯に合うんじゃないか、これ。
いかの丸煮。最近、ダイオウイカやら空飛ぶイカやら、イカに注目が集まっているので、こういうどどーんとしたイカが食べたくなるというもの。
シンプルに丸ごと煮ただけのイカに、生姜醤油をつけて食べる。おっさんくさい酒のつまみだけど、こういうのでいいんだよ。
お酒はそろそろハイボールに移行。こういう店で、サントリーのジョッキに入って出てくるハイボールって、なんでこんなにうまいんだろう。
出てきましたよ、カキフライ。
カリッ!サクッ!ジュワーッ!こいつはおかずの常連さん。やっぱり安定感があるなあ。どっしり落ち着いている。
今じゃ一年中食べられるんだけど、やっぱりこの季節のカキフライがいいんだよなあ…しみじみとうまい。
お昼、食堂でカキフライにしようかと思ったけど、ガマンして良かった(笑
ももハムとキムチ。常連さんとのやりとりの中で生まれてきたというメニュー。いかんいかん、ももハムサラダとキムチで、ももハムがかぶってしまった(笑
ももハムを、キムチで巻いていただきます。サラダについてるマヨネーズを絡めると、これがまたうまい。
これ、ぶっといももハムってのが、キモなんだろうなあ。薄いハムじゃ、キムチに負けちゃうよ。
だんだん勢いに乗ってきたので、日本酒に移行するわけです。
「一人娘さやか」を、冷酒でいただきます。
やっぱりこういうところでは日本酒だよなあ。むしろ刺身と一緒にもらっておくべきだったなあ…私って、ほんとバカ(ぉ
どんどん行きます。次は水だこの唐揚げ。
これはドスンと来るパンチのある味で、刺身とはまた違ったインパクトがあって、うまい。むしろ序盤にビールと一緒にいただいておけば良かった。私って(ry
秋田の濁り酒「ぬぐだ丸」が出てきました。もう、気分は完全に「ふらっと QUSUMI」で久住さんと斉藤清六さんがくだ巻いてるシーン(笑。
酔っ払ってきてからの濁り酒って、なぜだか妙に美味いんだよなあ。
たまらなくなって、鯖のくんせい、おかわり(ぉ
やっぱりこのくんせいは、最高の酒のつまみだ。このくんせいと日本酒で無限ループができそうなくらいだ(笑。
ここでもう一つの本命、玉子焼。もちろん「砂糖入り」で。
うん、黄色が加わって、しっくりきた。
うん、おろし醤油と、バッチリチリバツ。
確かに砂糖入りで甘いけど、思っていたほど甘ったるくはなくて、おかずにもつまみにもこれくらいでちょうど良い感じ。なんだかほっとするなあ。
さあて、そろそろ〆に入りましょうか。隣のテーブルの人が食べていたきりたんぽも気になるけど、
メニューに書いてあるとついカレーを頼んでしまうのが、カレー党というもの(ぉ。
豚の切り落とし肉と玉葱が入ったカレーで、これは親戚ん家に行ったときのカレーの味だ(笑。でも、飲んだ後はこういう気取らないカレーが妙にうまい。
これはドラマで他のお客さんが頼んでいた裏メニュー「稲庭バター」。一見さんなのに裏メニュー頼んでごめんなさい(笑
釜揚げうどんを、こうやってバターで絡めちゃう。誰が考えついたのか分かりませんが、なかなかすごい発想。でも、かき混ぜているうちにバターのえも言われぬ香りが鼻をついてきて、そろそろお腹いっぱいなのにまた食欲をかき立てられる。これはすごいうどんかもしれない。
いただきます。
おぉ~、これは濃厚。「ごはんにバターと醤油をかけて食べる」という身体に悪い食べ方があるけど、そんな背徳感と裏腹のおいしさ(ぉ。
いいじゃないか、いいじゃないか。
そして本当の〆、焼おにぎり。表面がカリッと焼かれていて、醤油の香りがいい。正しい飲み会の〆。
でも、「〆の三品」って、我ながらどうかと思う(ぉ
松重豊さんのサインは、厨房の前に。「おいしうございました。」シンプルなメッセージが、逆にいいじゃないですか。
出入口付近には、久住さんのサイン。みずのこぶ、私も気に入りました。
うまかったぁ~。こどグルツアーではいつもつい食べ過ぎてしまうけど、品数だけでいったら今までの記録を更新したかも。しかも美味しいだけじゃなく、愛想の良い、むしろおかあさんと呼びたくなる店員さんたちによって醸し出されるお店の空気がまたいい。こういう雰囲気が、メシをうまくするんですよ。
ちょっと私の生活圏からは遠すぎるのが残念になるくらい、美味しかったです。
ごちそうさまでした。
コメント