劇団四季の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観劇してきました!
私にとってBTTFは『スター・ウォーズ』に並ぶ映画のオールタイムベスト。何十遍観ても毎回楽しいと思える作品です。二年前にニューヨークのブロードウェイを歩いたときにミュージカル化されていることを知り、この春に劇団四季が国内で上演するニュースを聞いてからいずれ観に行こうと思っていたのでした。そしてついにチケットが確保でき、満を持して浜松町の四季劇場・秋へ。
あまりにも楽しみすぎてカシオの電卓ウォッチを軸にワインレッドのTシャツの上にチェックシャツ、デニム、白のナイキというマーティ・マクフライ概念コーデ(コスプレまでいかないレベル)で参戦。お客さんの中に一人ガッツリマーティコスの女性を見かけてちょっと嬉しくなりました。
劇場内に入ったところから既に世界観が確立されていてテンション高まります。四季劇場って初めて入ったのですが、二階席ありの1,200席というのは演者の表情までよく見える「ちょうど良い」キャパですね。もっと広くて遠いものだと思っていたから意外でした。
私は1階席中央ブロック後方の座席で鑑賞。
ちなみに開演前の時間帯だけ場内の写真撮影やSNSシェアが許可されています。舞台上のスクリーンにシステムのエラーメッセージというテイで観劇上の注意が表示されるのが面白い。
場内の環境音としてストップウォッチ的な音と典型的なコンピューターの作動音が流れていて雰囲気出ています。でもBTTFってそんなにコンピューターの存在感ある世界じゃなかったような…と思ったのですが、本ミュージカルに登場するデロリアンには作劇の都合上AIエージェント的な要素が追加されていて、後から考えるとこの演出も確かにアリか…という感じ。
スクリーンに表示されるいくつかの注意事項はいずれも洒落が効いていて、上演前からBTTFの世界に入れている感覚が楽しい。
本編はさすがに撮影不可だったので、せめて雰囲気だけでも伝わればと思い四季公式のメイキング動画を貼っておきます。
結論から言うとめちゃくちゃ楽しかったです!
ストーリーラインは基本的に映画の内容を踏襲。ミュージカル化によって尺が伸びてしまう部分や舞台上での演出が難しい部分を補うためにいくつかの場面はカットされたり改変されたりしていますが、それほど違和感はありません。また「ドクがプルトニウムを手に入れるためにテロリストと取引をする」くだりと「パーティーで演奏していたバンドが休憩中にマリファナを吸っている」くだりがおそらくコンプライアンス的な理由でカット(笑)。これは仕方ないですね。それぞれのシーンをカットすると後の場面に繋がらなくなってしまうのですが、それもうまく処理されていました。
四十年来の作品のファンとしては原作とどのように演出が変わったかはある程度気にしながら観ていたのですが、でもそんなことはどうでもよく思えるほど演出や歌、演奏、ダンス、芝居、舞台美術どれも素晴らしかった。四季だから歌やダンスが良いことは解っていても実物を見るのは格別です。個人的にはドクとジョージ(マーティの父)の演技が良かった。ジョージは映画版のあの気持ち悪い動作や話しぶり(笑)の再現度が最高だったし、ドクは映画版のクリストファー・ロイドと青野武(吹き替え)のイメージは踏襲しつつもそれに留まらないキャラが発揮されていて楽しかった。そして二人とも、歌が単にうまいだけでなくちゃんとそのキャラクターを演じながら見事に歌い上げ、踊りきっているのがすごい。
そしてキャスト陣の活躍に負けないレベルで舞台美術に圧倒されました。背景に加えて舞台前方にも半透過のスクリーンが用意され、その二枚を使うことで奥行き感のある映像が表現されています。こう書くと映像表現に頼った演出と誤解されそうですが、大半のシーンでは映像演出なしでストレートに表現しつつ、冒頭やクライマックス等の重要なシーンで映像演出を重ねることで没入感を高めるような使い方をしているのが良い。
その舞台美術で圧巻だったのがデロリアン。本作においてある意味マーティとドクと並ぶ「主役」がデロリアンなわけです。場面転換にも利用される舞台上の回転台でデロリアンを回転させつつ、それに合わせて前後スクリーンの映像をスクロールさせることで、まるで舞台上をデロリアンがギュリンギュリン走り回っているように見える。これは単なる演劇やミュージカルの枠を超え、ある意味テーマパークのアトラクション的な楽しさと没入感がありました。この部分に関しては映画を超えていたと言って良いかもしれません。
上演時間は途中25分間の休憩を含め約3時間。でも全然長さを感じるどころかあっという間に終わってしまった感覚でした。それくらい楽しかった。
劇団四季のミュージカルってもっと真面目に観るべきものというイメージを持っていたのですが、本作に関しては最初から最後までずっと笑いっぱなしだったし、終演後のお客さんの顔がみんな本当に楽しそうだったのが印象的でした。
機会があればもう一度観劇したいくらいです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。







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