先日、二十歳になる長女のお祝いにフレンチレストランで食事してきました。
五反田から目黒方面に少し歩いた線路沿いのお店。この裏手は高級住宅街として知られる池田山エリアです。
さほど人通りも多くない場所に静かにたたずむ創作フレンチ。私は以前五反田勤務時代に一度だけ食べに来たことがあり、何かの記念日にまた利用したいと思っていたのでした。
フレンチだからランチタイムでも基本的にはコースになります。メニューはそれぞれの食材の名前は分かっても、料理としてどう仕上がるのかちょっと想像を超えている組み合わせのものが多い。この時点でもう楽しみ。
店内は明るくシンプル/カジュアルな雰囲気で、フレンチといっても肩肘張らずに楽しめます。「リストランテ」ではなく「食堂」と名乗っているのがこのお店のスタンスをよく表していると思う。
ランチタイムの客層は大半が女性で女子会率高し。でもそれほど騒がしくなく落ち着いて過ごせるのはやはりコース料理前提のフレンチレストランだから、でしょうか。
まずはスパークリングワインで乾杯。
ついに自分の子とお酒を交わせる歳になったかあ…という感慨があります。まあそれほど頻繁に付き合ってくれるわけではないだろうけど。
料理の方はあらかじめおまかせコース(食材の好き嫌いは聞いてもらえる)で予約してあるからどんな料理が出てくるか楽しみに待ちます。
前菜一品目は魚のカルパッチョ。ヨコシマサワラとツムブリに、三杯酢と生海苔のジュレがかけられています。
やや淡泊だけど旨味のあるヨコシマサワラ、寒ブリほどではないけど脂乗りの良いツムブリの対比が面白い。酸味よりもほんのり甘味主体の三杯酢ジュレに海苔が潮の香りを感じさせる。一品目からしてもう満足度が高い。
二皿目は鴨胸肉のローストと豆腐とクリームチーズの白和え。
ローストすることで香り高くなった鴨肉に、「豆腐とクリームチーズ」とは思えないクリーミーな白和えがよく合う!それをピンクペッパーや春菊の香りが軽く引き締める。
しかも白和えの中に何かあると思ったらクルミ。このクリーミーさの中に歯ごたえと香ばしさのサプライズ。なんというか重層的な味わいの料理で、食べていて楽しい。
魚料理は創作フレンチらしい手の込んだ一品。「ウスバハギのソテー ラタトゥイユとバジルのソース」とのこと。カワハギの一種ですね。
ウスバハギがなんか白いモニョモニョしたものに包まれてると思ったら、これは「カダイフ」と呼ばれる中東やギリシャでよく使われる小麦粉ベースの極細麺的なものだとか。パン粉のように揚げ物の衣に使われることが多いようですね。
カダイフはパン粉とは違う繊細で独特なサクサク食感が面白く、さらにソースやラタトゥイユの吸着も良くておいしい!創作料理ならではを感じる感動的な一皿でした。
肉料理の前の口直しは「ぶどうのグラニテ」。
ソルベ(シャーベット)的な感じを想像して口に入れたら、グラニテの中にパチパチ弾ける飴(駄菓子でよくあるやつ)が混ぜられていて口の中がパチパチに!これには驚きました。でもこのパチパチの刺激が単なるシャーベット以上に味覚を目覚めさせる効果があって、確かにこれは口直しだと深く納得。
この店、本当にどんなものが出てくるか想像を超えてくる楽しさがある。それも何か斜め上の提案というわけじゃなく、しっかりした信念の上にひと工夫、ふた工夫加えてお客を喜ばせよう…という思いが感じられます。
ということで改めてグラスワイン(赤)で肉料理を出迎えるわけです。
この日のメインは「岩中豚のソテー レンズ豆のソース」。
オーソドックスな肉料理で、岩中豚のソテーはもちろん期待通り柔らかくておいしい。でもこれに添えてある白くてもちもちしたものは…餅のようであり麩のようでもある不思議なフワフワ食感。後でメニューを見たら「大根のステーキ」とあったけど私が知ってる大根ステーキとは状態が違いすぎる。もしかして大根餅的なものを作ってそれをステーキ状にしたものだったのでしょうか?さらに、その餅状のものにかかるとレンズ豆がなんだか小豆のように感じられる不思議。なんか微妙にぜんざいを食べてるような感覚すらある。
デザートはお店からの計らいでバースデープレートを用意いただきました。こういうの本当に嬉しい。
ガトーショコラと二種のアイスクリーム、左側の緑色っぽいのは「抹茶とホワイトチョコのティラミス」。これがティラミス!?
で、祝われる人以外に提供されるのはそのティラミスと、何らかのソルベ。
ティラミスは、抹茶は苦味が全然なくてあくまで香り付け。で、ティラミスというと白い部分はマスカルポーネチーズが一般的だと思うのですが、ここのはなんか濃厚でカスタードっぽさを感じる。よくあるティラミスと全然違うけどこれはこれですごくおいしい。
食後はホットコーヒー。いやーおいしかったなー。
…と思っていたら、コーヒー用としてさらにお茶請けが出てきました。
ドライアプリコット(干しアンズ)のチョコレート掛け!
こういうスイーツって好き嫌い分かれるところだと思うのですが、私はこういうドライフルーツとチョコレートの組み合わせ(レーズンチョコとか)すごく好きだから嬉しい。
リラックスできる空間で、ゆったりとした時間を過ごさせていただきました。最初から最後まで全部おいしかった。
予約必須だし決して安い店ではないけれど、また何かの記念日とか大事なときに使わせていただこうと思います。
ごちそうさまでした。

















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