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劔岳 点の記 @シネマメディアージュ

まさに地元の映画を東京に戻ってきてから観るのもどうよ、と思いつつ。

劔岳 点の記

富山は今、この映画のちょっとしたフィーバー状態になっていて、映画館だけでなく空港にもグッズが並べられている始末。まあ、地元が映画化されたり県出身者の監督作品だったりするといつも盛り上がる土地柄なので、、いつものことですが。

剣岳を含む立山連峰は富山県民に愛され、劇中にもあるとおりある種信仰の対象にもなっている山々で、私も幼い頃から(小中学校くらいまでですが)何度も登った山なので、強い思い入れがあります。あの山並みや岩肌などの自然を目にすると、特に信仰心がない私でも自然と敬虔な気持ちになるのだから、不思議なものです。剣岳はその連峰の中でも最も険しい山として有名で、一般人は雄山は登るけど剣には登れないもの、ということは県民の常識だったりします。
そんな立山連峰が主役の映画とあっては、邦画は普段滅多に観ない私でも、一度観ておかなくてはならぬというもの。

明治時代に測量士たちが日本地図を作るために立ち向かった困難を描いた作品、というととても地味な内容と思いそうなものですが、その通り話自体はシンプルで、かなり地味です。ただ、シンプルなストーリーだけに、それに賭けた登場人物たちの熱い想いと、立山連峰の壮絶なまでの美しさが強く印象に残る名作だと思いました。私を含め観客が 17 人という状況が残念でなりません(´д`)。まあ、お台場という土地柄、この映画を好みそうな客層がいないだけかもしれませんが・・・。

この映画の主役はそのもの剣岳ではありますが、登場人物の主役でいうと台本上は浅野忠信となっているものの、むしろその次に重要な人物である宇治長次郎を演じた香川照之が素晴らしかった。個人的に以前から好きな俳優さんでしたが、やっぱりこういう素朴で実直だけど熱い役はハマりますねー。富山弁も、全国区で通じるように多少アレンジされていましたが、かなりよく勉強されているようで、馴染んだ訛りで深い言葉を投げかけられると、ついジーンと来てしまいました。聞くところによると、登山シーンの撮影はあまりに厳しく、途中荷物を減らさなくては登山・撮影を続行できない状況になり、やむなく台本(撮影そのものに使わない物の中で、最も重い)を棄てて撮影したそうで、台詞回しは(大まかな話の流れだけ頭に入れた上で)役者から自然に出てきた言葉だとすると、それも納得です。

富山に縁がない人にはここまで響かない作品かもしれませんが、個人的には近年観た邦画の中で最も素晴らしい作品だったと言っても過言ではありません。富山県外の映画館ならたぶん空いてますし(笑)、興味があればぜひ。

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