『オールドレンズ パラダイス』『オールドレンズ パラダイス 2』の澤村 徹氏の新刊。『パラダイス』はほぼ EOS ユーザーのための本、『パラダイス 2』はマイクロフォーサーズの本だったのに対して、今回の『オールドレンズ・ライフ』は NEX とマイクロフォーサーズをターゲットに書かれています。今まで、他の企画本の中で NEX+マウントアダプタも扱った本、というのはありましたが、もしかしてオールドレンズのための本で NEX をメインに扱っているのは本書が初めてではないでしょうか?というか、最近オールドレンズ本で新刊を出してくれるのは澤村氏くらいしかいないわけですが(笑。
本書を読むと現時点でこんなにあったのか!と驚くほど幅広いバリエーションのマウントアダプタが E マウント、マイクロフォーサーズマウント向けにリリースされていることが分かります。以前、CP+ で KIPON の Ivan Zhang CEO にお話を伺ったときにはマウントアダプタのメイン市場は米中欧とのことだったので、ミラーレス機の登場により世界的にマウントアダプタ遊びが流行しているのでしょう。
なお、これまでのオールドレンズ本はどちらかというと「このレンズをデジタルで使いたい!」というモノ寄りのアプローチで書かれていて、写真よりもカメラをガジェットとして楽しむカメラ好き向けの本という印象が強かったと思います。が、本書は A4 判ということもあり作例中心の作りになっていて、「このレンズを使いたいから」ではなく「こんな写真を撮りたいから、オールドレンズを使う」というレンズ選びの一助となっているところが、従来のオールドレンズ本とは一線を画しています。私はメカからでも入れますが(笑)やっぱりこれが本来のレンズ選びの順序ですよね。仮にオールドレンズに手を出さないまでも、クッキリカッチリしたデジタル向けレンズの画作りとは違う、こんな世界もあるんだーということを眺めて知るだけでも、読んでみる価値はあるんじゃないでしょうか。
という感じで、オールドレンズ初心者にもお勧めな間口の広い本だとは思いますが、既にミラーレス機でマウントアダプタ遊びをしているユーザーもなかなか侮れない深さも本書は併せ持っています(笑。ミラーレスがなかった頃は、マウントアダプタ遊びといっても EOS に Y/C マウントのツァイスレンズをつけるか、あるいは広大な M42 星雲に足を踏み入れるか、の事実上二択に近い状況でしたが、フランジバックの極端に短いミラーレス機の登場によって、私も愛する CONTAX G、あるいはキヤノン FD、ミノルタ MD という名だたる死蔵レンズ、誰もがあこがれるライカ L・M マウントレンズ、そしてマニアックなシネレンズの世界・・・など、沼の広さも深さも格段に大きくなっています(笑。そんな世界へと誘ってくれる、恐ろしい一冊でもあったりします。
友人関係を誘ってもなかなかこっちの世界に来てくれる人がいないんですが(ぉ)、ミラーレスを買って純正レンズに飽き足らなくなったら、この本をパラパラとめくってみるだけでも面白いかもしれませんよ・・・!
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