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ヘッドハンターに会ってみた話

過日、人材コンサルティング会社のエージェントに会ってきました。

今の仕事に就いてから、年に何度かこういうリクルーターからの電話やメールが届くんですが、今までは転職するつもりはないし興味もないので断り続けてきました。でも今年はいろいろと人生の節目の年になっているので、転職する気はないけど現時点での自分の、会社の外から見たときの価値ってどのくらいなんだろう?というのを一度知っておくのも悪くないと思い、とりあえず話だけ聞いてみようと思いました。
この手のお誘いは、私が仕事上で渡した名刺を誰かが横流ししたか、あるいは関わった仕事関係で媒体に名前が出たか、みたいなきっかけと思われるものも稀にあるんですが、最近はほとんどの場合 LinkedIn 経由で、今回もそうでした。LinkedIn は以前、ソーシャルメディアの研究をしようといろんな SNS に登録していたときに登録したものの一つで、LinkedIn 内のソーシャルグラフを眺めてみてこれは「現在の状況やリアルの人間関係を次の糧にしたい人たちのためのサービス」なんだろうな、と思っていました。どんどん転職してポジションと収入を上げていきたい人にはいいけど、このソーシャルグラフから現在の仕事の役に立つものを得ることはないだろうな、という印象。私自身ほとんどログインさえしないのですが、数ヶ月に一度はどこかのリクルーターからオファーがある、という。

オファーの詳細は伏せておきますが、今の仕事とは無関係ではないけれど、今の仕事とはちょっと毛色の違う、ネット系で最近有名な企業のオファーでした(クライアントから名指しで来ているわけではなく、条件に一致する候補者のリストの一人)。現在の収入の約 20% 増し+さらに成果報酬、という金銭面だけ見れば破格のオファーでしたが、そもそも利益率の全然違う業種なので、そっち業界では現時点ではそれが普通の水準なのかもしれません。何年経っても若手の実務担当者的な扱いの現状と違って、シニアマネージャー待遇での採用だったり、若い業界なので上が詰まっていないぶん意見が直接通りやすいとかキャリアアップへの道が開けているとか、業界が違えばこうも状況は違うものなのね、という印象でした。
あるいは、同じ業界でも外資系企業の日本法人ならばマネージャークラスでの採用があったり、雇用条件だけ見れば今より良くなりそうな雰囲気でした(もちろん、ヘッドハンター経由での採用は、それに見合う人材を好条件で紹介しなければ意味がないので、当然と言えますが)。まあ、外資の場合は本国の言いなりにならざるを得ない部分が多いので、やり甲斐があるかと言われれば難しい、というのが、そっち方面に転職した知人関係から聞いた話では多いのが事実ではあります。


ともあれ、オファーに関しては私はもともと転職するつもりがさほどなく話を聞きに行ってみたこと、そしてそもそもその企業のサービス内容自体にそれほど興味がなかったことから、予定通りお断りをしてきました。リクルーターに基本プロファイルは登録してきたので、また別のオファーがあるかもしれませんが。でも、自分の年齢と経験値が世の中的にどの程度の価値で評価されるのか、が何となく把握できただけでも、話を聞きに行った意味はあったと思います。7 年前に一度転職を経験して、そのときの自分の価値は何となく理解したつもりでいましたが、一つの組織に長くいると、相対的な価値観に引きずられてしまいがちなので。
もう一つの収穫は、自分がいる組織の価値を再確認できたことでしょうか。まあ株価だったり新聞での書かれ方だったりネット上の評価だったり、会社の世間的な評価を知ることそのものは難しいことではないんですが、業種まで異なる他の企業との比較や、自分が実現したいこととのフィット/ギャップ度合を認識できたのは良かったかと。今やっているのは、複合企業体の複合企業体たる価値を最大限に活用して、顧客体験を最大化することで、それにやり甲斐を感じてもいるので、単純な Web サービスや製造業、コンサルティングではなくそういう仕事があれば興味がある・・・と言ってみたところ、「残念ながら、そういう種類の企業は滅多にない」という回答でした。そういう点では、自分がやりたいと思っていることをある程度好きなようにやらせてもらっている現状は、自分にとっては幸せなのかもしれないなあ、と。勢いのある業界に比べれば給料は 20% 以上安いようですが(笑。

「定年まで勤め上げる」みたいな考えもないですが、かといってキャリアアップするためにどんどん転職するつもりもない。でも、少なくとも「自分の人生にこんな扉が開いている。そして、自分の現在地には実はこんな価値がある」と客観的に認識することで、日々の自信になることは確かだと思います。1~2 年に一度くらいは、転職する気がなくてもこういう話を聞いてみるのは悪いことではないな、と思いました。

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