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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 @チネチッタ

長く引っ張った『踊る大捜査線』シリーズも、いよいよ今回が最後。ここまで 15 年付き合ったからには最後まで見届けるよ!と、劇場に足を運んできました。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

『踊る大捜査線』は、ある意味サラリーマンのバイブルだと今でも思ってます。「ゲンバ至上主義」みたいなものは一つ間違えると目先の戦術論に陥り、戦略を立てる役回りを否定することにもなりかねない(つまり、小事は救えても大事に敗れる)ので、自分に都合の良い解釈をするのは危険だと思いますが、室井と青島両方のバランス感覚を身につければ、組織を良き方向に導くこともできるのでは、と思ったり。私も個別最適の積み上げが全体最適になるわけではないことを実感するようになってからは、はむしろ室井視点で観ることのほうが多くなったかなあ。そういう意味で、このシリーズは基本的にサラリーマン論なのだろうと理解しています。

前作『ヤツらを解放せよ!』は、劇場で観ている間は楽しかったんですが、後から反芻すると結局犯人像がそれまでの劇場版と大差なかったり、脚本的にイマイチだな…と感じる部分も多く、BD 買うほどじゃないなあ、という感想になっていました。それに青島俊作ももう 45 歳(!)だし、そろそろアツく走り回る役どころも厳しかろう、そして今回も劇場版パターンの犯人像だったら萎えるなあ、と過大な期待を抱かずに観に行きました。


そしたら今回は今までとはずいぶんストーリーが違うじゃないですか。まあ本庁と所轄の力関係だったり、組織のルールだったり、腐敗した上層部だったり、そういう構造は同じなんですが、犯人像とその動機がずいぶん違う。最後だからこそ今までのエピソードの多くで障壁となっていた上層部の腐敗にメスを入れられたということでしょうが、今までのシリーズを見続けてきた者にとっては溜飲の下がる思いでした。

突っ込みどころを言えば、SW リスペクト的なサブタイトルが蛇足っぽく見えたり、実行犯の配役はちょっとあり得ないと思ったり、クライマックスでのあのオチの付け方にはさすがに引くわ、という感じだったり、そもそも和久さん(いかりや長介)が出ないと締まらないよなあ、だったり、まあいろいろとあるんですが、最終的には「これで本当に終わり」という大団円が描かれていて、15 年の締めとしてはこれで良かったんじゃないかと。

そして和久さんの代わりに今回の作品を締めてくれた室井の言葉が、グッと胸に響きました。

「組織の中に生きる人間にこそ、信念が必要だ」

やっぱり、『踊る大捜査線』はサラリーマン讃歌なんだなあ。

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