関東人にとって、京都は京料理、おばんざい、湯豆腐、湯葉と生麩、にしん蕎麦、棒鱈などとにかく和食の街というイメージ。これまで京都では和食以外食べたことありませんでした。でも、地元の人は普通にいろいろな料理を食べているわけで、これだけ大きな街ですから、確かにおいしい西洋料理店があってもおかしくないわけで。(以上コピペ(ぉ。
そんなわけで、京都に来たからには押さえておかなければ、と思っていたお店にやって来ました。ここは私のタイムラインで一、二を争う美食家のお二方が口を揃えて勧めるフレンチレストラン。それは美味しくないはずがない、と来る前から楽しみにしていました。
エリア的には京都の繁華街近く、だけどメインストリートから一本入ったような場所にあるお店。しかも、古民家を改造したような建物の二階…というか、ほぼ屋根裏に近い階層を利用したレストラン。知らなければまず入ろうとは思わないだろう、マニアックな店構えです。
勇気を出して、階段を上ってお店に入ります。
店内は、本当に屋根裏部屋。天井も低く、身長 180cm ある私は気をつけないと梁に頭をぶつけてしまいそうな低さです。でも、広々としすぎていないのが、逆に小ぢんまりとしたこの店の空気感に合っていて、なんだかいい。
和装の女性が当たり前のようにフレンチレストランにいるのが、いかにも京都らしい。たまたまかもしれませんが(笑。
私はおひとりさまだったので(いい年した男が独りで昼にフレンチ、というのも痛い話だけど)、カウンター席に。”La Table” なのにカウンター席かよ、と心の中でツッコミを入れましたが(笑、ここはここで、カウンター越しにシェフが独り寡黙に料理を作り続けている様子が眺められて、なかなか愉しい。
飲み物は…とりあえず、スパークリングワインから。
昼から飲むビールというのも格別だけど、昼から飲むワイン、というのも違った種の背徳感があって、よけいに美味しく感じます(笑。
ランチは 2 種類のコース。2,100 円のコースと 3,780 円のコースがあって、高い方がメニューの選べる幅が広く、より美味しそう。せっかく京都まで来たんだからここでケチったってしょうがないというわけで、3,780 円のコースをオーダー。
まずは前菜、フォアグラとプーレ・バスケーズのテリーヌ。フレンチといったらシンプルに焼いたり炒めたりしたものよりも、こういう手の込んだ料理ですよね。パテとかテリーヌとか好き。
フォアグラの濃厚な味でスパークリングワインがクイクイ進みます。ピクルスやマスタードの酸味が、まったりしそうなフォアグラを適度に引き締めてくれて、付け合わせの生ハムサラダとのローテーションで何度も新鮮な感動に浸れます。
一皿ですっかり気分が良くなってしまったので、グラスワインの赤(コード・デュ・ヴァントゥーとのこと)に進みます。昼から赤ワイン、この贅沢。旅先だからこそ、なおのこと高揚します。
続いてはスープ(コース外なので別料金)、春キャベツのクリームスープ。これまた手が込んでいます。
中央に浮かんでいるベーコンがアクセント…かと思いきや、スープの中にチーズが溶かしてあって、この濃厚なとろけ感がたまらない。これは幸福なスープだ…。
そしてメイン。牛ホホ肉の赤ワイン煮込み(コース料金+840 円)。ブッフブルギニヨン大好きなんですよ。ほかのメインも美味しそうだったけど、もう私にはこれ以外に選択肢はありません。皿の上で、牛肉がキラキラと光り輝いて見えます←。
ナイフに力を入れるまでもなく解けていく牛肉には、芯までワインが浸みていて、どこをとっても濃厚に美味。下に敷かれたじゃがいものピューレで、余ったソースも残さず堪能します。素材も良いけど、かけている手間が違うんだろうなあ。そんな深い味わいです。
デザートには八角風味のクレームブリュレ、キャラメルアイスクリーム添えをチョイス。
これがまた濃厚で…クレームブリュレだけでさえ濃いのに、キャラメルアイスクリームの味まで濃厚。濃いもの同士で喧嘩するんじゃないかと思ったけど、カリッと焼き目をつけられたクレームブリュレの表面がキャラメル化して、両者の調停を図ってくれます。この濃厚なコースを締めるのに相応しい、濃密なデザート。
食後はエスプレッソで、本当に締め。
フレンチって、手が込んでいるぶん味が複雑に、一つ間違えば中途半端な味にもなりかねないものですが、この店は「こういう味にしたい」というシェフの強い意志と、細部まで手を抜かない繊細な仕事ぶりが料理そのものから伝わってくる、とてもインパクトの強いフレンチでした。
これはリピートしたくなる気持ちも解ります。いやあ、おいしかった。
店を出るときには、シェフ自ら階段の下までお見送りをしてくださって、「京都にいらっしゃる機会があればまたぜひお越しください」という丁寧なご挨拶までいただきました。料理と、お客さんに対して真摯な姿勢。だからこそ美味しいし、愉しい。
ワイン代まで含めるとランチに 6,000 円以上払ったのもそうとう久しぶりですが、その価値はあるお店だと思いました。今度京都に来るときは、きっとまた訪れたいです。
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