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オールドレンズ・ライフ Vol.4

澤村 徹 / オールドレンズ・ライフ Vol.4

1 年ぶりの発刊となる、澤村 徹さんの『オールドレンズ・ライフ』最新号が発売されました。年に 1 冊ペースでの刊行が続いていて、澤村さんのオールドレンズにかける情熱に感心するとともに、こういうムックが定期的に発売できる市場の熱も実感しますね。

前号のテーマは「オールドレンズ・フルサイズ宣言」でしたが、当時はフルサイズでオールドレンズを堪能できるレンズは実質的に EOS フルサイズ機かライカ M くらいしかなく、Speed Booster のような特殊マウントアダプタを用いて APS-C 機でフルサイズ相当の画角を得る、というほうが現実的だったように思います。それが今は α7 シリーズの登場により、オールドレンズを本来の画角で使える環境がぐっと身近になりました。そういう意味では、時代がこのムック創刊の志にようやく追いついた、と言えるのかもしれません。

今号は大口径オールドレンズ、特に各社のフラッグシップである F1.4 以下のものを中心に取り上げています。とはいえいずれもそうそう手が出る価格帯のレンズではありませんが、別特集として廉価な大口径オールドレンズもまとめられています。特に国産オールドレンズや望遠系レンズでは大口径であっても比較的入手しやすいものが多く、現実的にはこちらのほうが狙い目かも。1980 年のタムロン 300mm F2.8 なんかも取り上げられていて驚きましたが(笑)、超望遠系レンズの被写体は MF だと辛いことが多いので、個人的には 135mm~200mm 級の大口径レンズのほうが良さそうだなと思います。


ボディ側で取り上げられているのは α7 シリーズとニコン Df。α7 シリーズは α7S の登場によってついに Hologon が実用レベルになりました。35mm カメラ用のほぼ全てのレンズが装着できると言って良く、去年の夏までに α7 シリーズが発売されていれば、前号の内容はもっと違ったものになっていたかも。
ニコン F マウントはフランジバックの関係でレンズの選択肢が少なく、ニコンのオールドレンズか M42 マウント、あるいは Y/C やライカ R のマウント改造くらいしかありません。EOS よりも選択肢が限られるわけですが、非 Ai ニッコールレンズが自動絞り/Exif 連動で使えるのがメリットなので、実質的にはニコンのオールドレンズをデジタルで愉しむためのボディ、ということになります。

また、巻末には主要なカメラアクセサリメーカーとマウントアダプタメーカーの特集記事が掲載されています。これがまた、ちゃんとそれぞれのメーカーに取材を実施しての記事という気合いの入りよう。工房の取材や代表へのインタビューなど、それぞれを別途数ページの記事に独立して掘り下げてほしいほどの充実度です。また、マウントアダプタに関しては、各メーカーごとに発売済みのアダプタ一覧表が掲載されているのも実用度高し。

最新のカメラやレンズと違って、オールドレンズはどんどん新しいものが出てくる世界ではありませんが、技術の進歩によって次々に新しい愉しみ方が開発されていく、という状況は非常に興味深いものです。今号は同シリーズの中でも、集大成的な内容の濃さと言って良いでしょう。
私は、MF の単焦点レンズは純粋なオールドレンズよりもむしろコシナの現行フォクトレンダーのコストパフォーマンスの高さに気を取られがちでしたが、これを読んで、久しぶりに中古カメラ屋巡りをしてみたくなりました。

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