『Twitter 社会論』読了。
津田 大介 / Twitter 社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流
Twitter のスピード感的には少し旬を逃したかなと思いつつも、一応読んでみました。
内容や感想については Twitter 上で津田氏本人に RT されてしまったので今更多くを語るものではないですが、Twitter の成り立ちから現状、社会に及ぼしつつある影響までを解説しつつ、いわゆる「tsudaる」テクニックや勝間和代氏との対談までを網羅した、現時点での(主に日本での)Twitter の現状をうまく輪切りにした書物だと思います。逆に tsuda 氏をフォローして氏のつぶやきを毎日目にしている読者の視点では、やや発言がおとなしすぎて物足りない側面はありますが(笑。
でも、読んでいる間ずっと感じていたのは、Twitter の歴史はインターネットが十数年の時間をかけて辿ってきた歴史の縮図であり、そしてこれからその先に向かおうとしているのでは?ということ。Twitter が築いてきたコミュニケーションのあり方は、CGM の観点から見た Web コミュニケーションのそれを凝縮したようなもので、違いといえば Twitter のほうがまだオープン性とボトムアップ性を強く保っていて、かつ時間の尺度がずっと短い(リアルタイム性が高い)ということくらい。
インターネット上のリアルタイムコミュニケーションが今後 Twitter に集約されるとは必ずしも言えず、Twitter を補完/代替するサービスが出てくる可能性も十分に考えられますが、Twitter が Web のリアルタイム性という点で新たなパラダイムをもたらしたと言っても過言ではないでしょう。1990 年代が ARPANET から Yahoo! に至るスタティック Web の時代、2000 年代が Google を中心としたダイナミック Web の時代、2010 年代は Twitter をはじめとするリアルタイム Web の時代、というのは大げさかもしれませんが、そういう観点で本著の『新たなリアルタイム・ウェブの潮流』というサブタイトルは、実によくつけたものだなと感心させられます。
そういう意味で、今までインターネットが辿ってきた歴史になぞらえて Twitter の歴史を振り返ってみると本著の内容はそれほど目新しいものばかりでもないような気はします。が、そこから先に期待される未来、という意味では、この本を読んで Twitter に限らずリアルタイム Web の可能性をもう少し探ってみたい、と思わせてくれるだけのものはありました。個人的にはその点、「あとがき」が一番面白かったかもしれません。
Twitter のヘビーユーザーで、ネット上のコミュニケーションの可能性だったりそこから発生するビジネスチャンスを(流行りとしてでなく)探りたいと考えている人なら、一読の価値ありかと思います。
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