サラウンドでないオーバーヘッドホンを買ったのはなんと 8 年ぶり。ポータブルのカナル型イヤホンは 1~2 年周期で買い換え/買い増ししてきましたが、自宅用で最後に買ったのは MDR-SA5000 だったという。この 10 年で音楽を聴く環境の比重が圧倒的に外ばかりになってしまったので、まあそうなりますよね。
でも自宅用に持っているヘッドホンがオープンエア型ばかりで、密閉型というと MDR-CD900ST くらい。分析的に音を聴くにはいいけど、聴き疲れするのでリスニング用としては全く向いていません。自宅でゆったりしっかり聴ける密閉型ヘッドホンがひとつ欲しいなと思っていて、先代 MDR-1R から気になっていたシリーズでしたが、1A にモデルチェンジしてさらに自分好みの音に進化したので、思い切って購入。
発売後 10 日ほど経って、レビューの類も出尽くした感があるので多くは語りませんが、オーソドックスながら飽きの来ないデザインで、各パーツの仕上げに品位もあって、見た目からして気に入りました。MDR-1R から大きく変えていないのがいい。
このヘッドホンの音質を司る液晶ポリマー振動板はさらに進化して、アルミニウムコートが施されました。MDR-1R は「確かによくまとまったいい音だけど、これくらいのヘッドホンなら割とふつうにあるよね」という感じだったのが、1A では一皮むけた印象。フラットな傾向は変わりませんが、音の明瞭度が全体的に上がっていて、生音をダイレクトに聴いている、という気分にさせてくれます。
ハウジング部はフラットに折りたたむことができ、やってみると想像していた以上に薄くまとまります。バリスティックナイロン系のキャリングポーチも付属していて、これなら持ち運ぼうかなという気になりますね。完全に自宅用に買ったつもりだったけど、この音を知ってしまうと外でも使いたくなるなあ。
付属のケーブルは 2 種類で、通常のステレオミニプラグと、スマートフォン用の簡易リモコンがついたタイプのケーブルが付属しています。どちらも 1.2m なので、基本的にはウォークマンやスマートフォン、あるいは PC オーディオ等のデスクトップ環境での使用を想定している模様。この音質ならちゃんとしたオーディオ環境に繋いで聴きたいのに、ロングケーブルは別売。一昔前までならオーバーヘッドホンの標準ケーブルはロングタイプかカールコードと相場が決まっていたものですが、時代が変わったようですね…。
これはちょっと値が張るけど、別売の 3m ステレオ標準プラグのケーブル
改めて、音に関して。リビングの AV アンプ(古いけどヤマハ DSP-AZ2)に繋いで CD、SACD を使って MDR-SA5000 と比較してみました。
MDR-SA5000 は現代のスペックに照らし合わせると「ハイレゾ対応」と言えるスペック(再生周波数帯域が 5Hz~110kHz。20kHz 以上であればハイレゾ対応)で、その名の通り特に SACD の再生能力に特化したヘッドホンです。高域の解像力には目を(耳を?)見張るものがありますが、オープンエア型ということもあって低域のボリュームが物足りない。しかも、高音質ソースの音の良さも、低音質ソースの粗さも克明に再生してしまうので、「SACD、特にクラシック系を聴くには最高だけど、CD 音質で特にポップ/ロック系を聴くには全然合わない」ヘッドホンだと思います。それに対して MDR-1A は音のバランスが良く、高音の伸びも低音の響きもちゃんと兼ね備えながら、それでいて全体的な解像力がとても高い。ハイレゾ音源はジャンルを問わず楽しめ、CD クラスの音源でもソツなく鳴らしてくれるオールラウンダーだと感じました。これは今まで以上に SA5000 を使わなくなっちゃいそうだなあ…。
しばらくあまりやっていなかった「自宅でじっくり音楽を聴く」という行為が改めて楽しくなってきました。これを契機に、この秋冬はもう少し音に投資する予定。
コメント
手元のライブラリを全部聴き直したくなる、Sony MDR-1A
Bさんが8年ぶりなら、私は推定16年ぶり。評判の良いヘッドホン、MDR-1Aを買ってみました。
ソニーのヘッドホンと言えば過去に「MDR-R10」と…