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ザ・レンズマニアックス

澤村 徹 / ザ・レンズマニアックス ~ミラーレスと一眼レフで陶酔するオールドレンズの世界~

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デジタル一眼カメラにおけるオールドレンズ使用の第一人者・澤村徹さんの最新の著作が発売されたので、すかさず買ってきました。ここ数年、1 年に 1 冊以上のペースでオールドレンズ本を刊行し続けるペースの高さには脱帽します。

この書籍は、「日本カメラ」誌に掲載されていた同名の連載を単行本としてまとめたもの。そのため、今までのムック系の冊子とは少し毛色の違う書籍に仕上がっています。今までのムックは、ほとんどが入門書としての役割も兼ねていて、レンズマウントやマウントアダプタの解説、オールドレンズをデジタルボディにつけて撮影する手順から書かれていたので、そういうページは「うん知ってる」と思いながら読み飛ばしていました。むしろ「そういうのはいいからレンズ紹介や作例掲載にもっとページを割いてよ」と思っていたのも事実です。それに対して、今回の書籍は初心者向けの解説は最小限に留め、レンズと作例に最大限のページを割く構成になっています。
そういう意味では、今までのムックは「オールドレンズの間口を広げるために企画から練られた本」だったのに対して、この書籍はその名の通り「レンズマニアに向けて作られた本」ですね。なんたって、いきなり冒頭から CONTAX G 用 Hologon を掲載するというマニアックさなわけですから(笑。

オリジナルの連載が掲載されていたのが 2011/1~2013/12 のちょうど 3 年間。ミラーレスカメラの台頭によるオールドレンズ人気の高まりから、α7 シリーズの登場によるオールドレンズフルサイズ時代の到来まで、まさにひとつの時代をまとめた格好になります。掲載されているレンズも、メーカー・マウントともにバリエーション豊富で、ミラーレスに限らず DSLR 向きのレンズも含め実に豊富な 39 本。「なぜイエナ三兄弟(東独 Zeiss Jena の Flektogon 20mm、同 35mm、Sonnar 135mm の 3 本)を集めてしまうのか?」など、オールドレンズ好きならばニヤリとしてしまう切り口で紹介されていて、実に楽しい。でも、Jena はオールドレンズ沼でいえばまだまだ淵のほうにすぎず、Jena とか CONTAX G あたりで踏みとどまっている私はまだまだ甘いと言わざるを得ません。まあ、だってコシナ製フォクトレンダーみたいな、新品で買えて味もあるのに描写にハズレがないレンズが普通に買えてしまうと、そこだけで十分楽しかったりもしますからね。

レンズの解説としては、「昭和初期の日本文学に登場するような、深窓の令嬢がイメージだ」とか「さながら、真実だけを刻む速記者のようだ」とか、まるでワインの味や高級オーディオの音を評価するような表現で、思わず笑ってしまいますが、最近の解像度一辺倒、MTF 曲線やらチャート実写やらでレンズ性能を評価する業界やユーザーの傾向もどうかな、と思っていたので、逆に新鮮(笑。まあ、解像性能が至上であればわざわざオールドレンズに手を出す必要はないわけで、レンズのクセまで含めて愉しむ本道に鑑みれば、こういう情緒的な表現のほうが合っているのかもしれません。それぞれのレンズに対する澤村さんご本人の出会いや思い入れを絡めて書かれているので、共感も持てますね。

買ったばかりでまだあまり読み込めていませんが、じっくり読む価値のあるレンズ本だと思います。私はとりあえずイエナ三兄弟でまだ持っていない Flektogon の 2 本から物色していきますかね…。

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