前回に続いて BenQ のデジタルプロジェクタ「W1080ST+」のレビューになります。今回は、やっぱり気になる超短焦点レンズの画質を見ていきます。
これは調整用のグリッドを表示させてみたところ。本来は投写サイズとフォーカス、キーストーン補正のための機能ですが、こうやって格子模様を表示させてやるのが最もレンズの歪みを確認できます。
こうやって見ると、平置き設置した場合は下辺と左右の直線はキッチリ出ているものの、上辺がカマボコ状に膨らんでいるのが分かります。これはグリッド表示にしなくても、通常の映像を表示していても上が少し膨らんで見えるレベル。16:9 の映像を写すとスクリーンの黒帯にはみ出すので、ちょっと気になります。シネスコサイズの洋画だと、画面の上下が切れるため、あまり気にならなくなります。
レビューする前は、レンズの端まで使うという点で画面左右のほうが歪みは気になりそうだな、と思っていたんですが、歪みが上辺に出るとは。でも確かに、プロジェクタは平置きした際に斜め上向きに投写するように光源がオフセットしており、上辺が最もレンズに対して斜めに光が入ることになるわけで、こうなるのは仕方がないと言えます。プロジェクタをできるだけ仰角をつけないように設置すれば緩和されると思いますが、試聴位置とスクリーンの間にあまり高い台を置くわけにもいかないのが難しいところ。
じゃあレンズの解像度はどうか、というわけで、グッと絞り込んで撮った風景写真を投写してみました。
パッと見、画面全体にわたってよく解像しているように見えます。
画面中央付近。1,920×1,080 ドットを 80inch に引き伸ばしているのでさすがにドットが見えてしまっていますが、レンズ自体はよく解像しています。
画面右下。中央部に比べるとさすがに少し甘くなるものの、超広角レンズであることを考えれば健闘していると言えるレベル。
右上。若干ながら、ピントが甘い感じがするというか、像が流れている印象。
ただ、写真用レンズも中央部より周縁部のほうが画質的には厳しくなるので、原因がプロジェクタなのか元画像にあるのかの判別は難しいです。(元画像を見るとここまで流れていないことは分かるのですが)
というわけで、もう少し厳密に見てみることにしました。
PC 画面を投写して、そこに Excel の画面を表示させてみました(笑。ビデオプロジェクタの画質評価としては妥当な方法ではありませんが、手許にある機材で手っ取り早く、分かりやすくチェックするのにちょうど良かったので。
均一な白画面で見ると、画面中央と周縁部で明るさが違うことが見て取れます。
画面中央。歪みもなく、特に問題なく表示されています。
右下。こちらも十分に解像しています。
右上。あー、これは明らかに像が流れちゃってますね。
まあ、これはビデオプロジェクタに対してはちょっと意地の悪いテストではあります。ピクセルがはっきり見える PC 画面を表示させたから顕著なだけで、実際の映像(特に動画)を観ている分にはここまで気になりません。動画の場合、画面端に被写体を置くことはまずないですからね。
ただ、16:9 ソースで画面が縦方向に流れるような映像だと、画面の上の端のほうだけ明らかに流れが不自然。これもレンズの歪曲に起因していることだと思われます。まあこれもそういうシーンで気になるだけなので限定的ですが。
写真用のレンズでも、超広角になると周縁部の解像が悪かったり周辺光量落ちがあったりするので、これはある程度は仕方ないかと。むしろエントリークラスのフル HD プロジェクタであることを考えれば、超広角レンズで 80inch まで引き伸ばした画としてはそれなりにがんばっていると言えるのではないでしょうか。
同型で標準焦点レンズを搭載した W1070+ という製品もあるので、設置場所があるならそちらを選べばいいだけです。環境に応じて選べるという意味では、選択肢があることは良いことでしょう。
■関連リンク
BenQ W1080ST+ レビュー (1):コンパクトな超短焦点プロジェクタ
BenQ W1080ST+ レビュー (2):設置のしやすさが魅力
BenQ W1080ST+ レビュー (3):画質をチェック
コメント
1枚目のグリッドの写真は、調整後でこれ、ということですか?
左上ひどくないですか?
はい。調整後でこれ、です。
調整といっても歪曲補正ができるわけでもなく、単純な台形補正しかできないので…。
まあ、お借りしたスクリーンが構造上、上辺に若干の糸巻き歪みがあるので、それとあいまって複合的な歪曲になっている部分はありますが。