久しぶりにビジネス書。
アレックス・オスターワルダー、イヴ・ピニュール / ビジネスモデル・ジェネレーション
最近の私の仕事は、純粋なマーケティングよりも戦略系とかビジネスモデル企画とかそっち寄りのものが中心になってきています。そのあたりは専門ではなかったのでいろいろと勉強ながらやっているところですが、この本に書かれている内容はその根幹とも言える部分。ビジネスモデル構築に必要な要素を分解し、客観的に評価できるフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」に表現した上で、そのビジネスモデルがどういった類のモデルなのか、その強みと弱みは何なのか、を把握しよう、というものです。
この手法は現代の新規ビジネス開拓においてはスタンダードになっているもので、この本で紹介されているビジネスモデルキャンバスは、多くのビジネスモデル研修等でも使用されています。聞くところによると、このフレームワークは専門領域が違ってもそのビジネスモデルの強みと弱み、リソースやお金の流れが一目瞭然に把握できるので、シリコンバレーのベンチャーキャピタルでは標準的に使われているとか。実際に私も書いてみましたが、確かに専門領域が違う人とフレームワークを見せ合っても、それのどこが強くてどこが弱点なのかが理解できます。また、自分の考えたビジネスモデルが自分では「ここがハードルだろうな」と思っていたのが、他の人からはむしろ違うところに弱点があると指摘されるなど、パワポで絵にしていただけでは分からなかった部分まで見えてきます。パワポだとどうしても自分に都合が良い前提条件で描いてしまうため、弱点が覆い隠されてしまいがちですからね。
ビジネス書とはいっても、一般的なビジネス書とはだいぶ体裁が違って、デザインや装丁が非常に凝ったものになっています。第一印象としては「広告業界系のコンサルが好きそうな体裁の本だな」という感じだったのですが(笑、ビジネス書なのに横長だしカラフルだし、内容を書かずにあくまでイメージのためのページまであるし、ビジネスにこそクリエイティビティと柔軟な発想が必要、と言われているように感じました。まあ、正直ビジネス書としては読みにくくて、独習のための本というよりはむしろセミナー用のテキストとして使うのがいいんじゃないかな、という雰囲気。フォーマットが自由すぎて、読んでて疲れます(笑。
さまざまな業界のビジネスモデルも事例として紹介されていて、近い業界でもビジネスモデルはずいぶん違うんだなとか、逆に違う業界なのにビジネスモデルとしては同じなんだなとか、そういう意味でもいろいろな発見があります。実務をやっていると、ついつい技術や商品、サービス単体の強さに依存したビジネスをやってしまいがちですが、そういうのは市場の成熟や長期戦、消耗戦に弱いもの。ビジネスモデルを周到に構築して利益をしっかり確保できる者が最終的に勝つのが現代のビジネスなわけで、私もそこをもっと磨いていきたいと思います。
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