Jagged Edge / J.E. Heartbreak II
男声ヴォーカルグループ Jagged Edge の最新作。前作から三年ぶりのリリース、昨秋に発売されていたのを今さら捕獲しました。
タイトルが示すとおり、本作は大ヒットしたセカンドアルバム “J.E. Heartbreak” の続編に位置づけられています。かつ、彼らがデビューした So So Def レーベルとジャーメイン・デュプリのプロデュースに復帰してのアルバムとあれば、期待するなというほうが間違っています。まあ、いったんレーベルを離れても彼らの音楽性に変化は見られなかったので、そういう意味ではデビュー当時から強い一貫性を持ち続けているのは確か。
彼らの持ち味は厚みのあるコーラスとその上に被せる力強い、けどどこかナイーブさを感じさせるリードが効いたミディアム~スローバラード。#2 “Future”、#6 “Love Come Down”、#9 “Getting Over You” あたりに特にその本領を発揮しています。往年のチキチキ・サウンドを今でも使い続けているのも、いい意味で変わらない。相変わらず金太郎飴のような、安心感のある作品に仕上がっています。
捨て曲がない、とても完成度の高いアルバムですが、オリジナルの “J.E. Heartbreak” にあった #3 “He Can’t Love U”、#7 “Let’s Get Married” のように胸の底を抉ってくるほど「せつな系」の楽曲はさすがにないかなあ。まあ、あの切なさは歌い手も聴き手もせいぜい二十代まででしか発露できない「若気の至り」に違いない。Jagged Edge も私も、お互いに成熟したということで。
個人的なお気に入りは、あまり多くの音を使わずに歌声で勝負した #7 “It’s Been You”。ベテラン・ヴォーカルグループの本領発揮とも言える一曲で、アルバムの中でも特に浸れる一曲です。
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