BenQ HT3050 のレビュー、画質編をお届けします。
プロジェクタの画質は表示パネルやランプのスペックによるところが大きいですが、それに勝るとも劣らないのがレンズ性能と言えます。高性能な一眼レフでも粗悪なレンズだと性能を発揮できないのと同じで、いい表示パネルを積んでいてもレンズがダメなら残念な画質になってしまうもの。以前レビューした W1080ST+ はそこが惜しかったので(まあこれは画質よりも設置性を優先した製品なので、求めている製品バランスが違った例にすぎませんが)、今回はまずレンズ周りから確認していきます。
前回のとおり 80inch が表示可能な最長距離から、少しだけ下向きに投写して縦方向のキーストーン補正をかけた状態でグリッドライン表示してみると、四隅まで歪みなく均整のとれた表示であることが確認できます。
中央部。まあここはたいていのプロジェクタで問題なく表示できて当然な部分。
右上はこんな感じ。レンズの周縁部まで像が流れることもなく、ちゃんと解像できています。
よーく見ると全体的に微妙な樽形歪みがあるようにも見えます。まあ Photoshop のレンズ補正フィルタで例えると -1 程度の歪曲であり、実際に映像を表示させるとまず気にならないレベルではあります。
映像を表示してみても、中央だけ明るくて周辺は暗いというようなことも特になく、均一に良好な画質。
あまりに問題がなさすぎてレビュー的にはつまらない(笑
スクリーンの生地が見えるくらいまで近づいても、ドットの格子はほぼ見えません。DLP 方式だから当然と言えば当然ながら、このドット感のなさがパッキリとした濃厚な画質に結びついていると言えます。
続いて、環境光の明るさに対する見え方をチェックしていきます。
まずは完全な暗室にした状態。光源はプロジェクタのみなので、理想的な状態です。もちろん画質は良好。
遮光カーテンを閉めてリビングの照明をオフにしたまま、ダイニング(写真では右側にあたる)の照明だけ点けた状態。黒が浮き始め、画面右端のコントラストは落ちてしまいますが、まあ十分に楽しめる画質です。夜に独りで映画を観るなら完全暗室にしてしまいますが、昼間に家族で使う際はこれくらいがちょうど良い。
画質調整でガンマやコントラストを追い込んでやれば、この状態でももう少し見え方は改善すると思います。
ここでさらにリビングの照明を点けると、暗部のディテールが完全に死んでしまうだけでなく、スクリーンが照明の電球色に引っ張られて黄色みを帯びてしまうので、さすがに鑑賞に堪えるものではなくなります。これなら画面が小さくなっても普通にテレビで観たほうが良いですね。
DLP の弱点であるカラーブレーキングに関しては、普通に視聴している分には動きが速いシーンであってもまず気になることはありません。視聴中に画面の端から端へと素早く視点移動すると、映像のコントラストの高い部分で虹色の残像を感じることがありますが、それもほぼ気にならないレベル。
気になるとすれば、DLP では液晶のようなコマ補間技術がないので、画面が大きくパンするようなシーンではすこしカクつきが気になる、といったところでしょうか。逆に言えば画質面での不満はそれくらいで、全体的にソツなくまとまった画質であると言えます。
■関連リンク
BenQ HT3050 レビュー (1):Rec.709 に対応したフル HD プロジェクタ
BenQ HT3050 レビュー (2):設置・設定について
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