F1イギリスGP決勝:母国GPでハミルトンが圧巻の4連覇。フェラーリ2台はパンクに泣く
チャンピオン候補が二人揃って二連敗した状況で迎えた伝統のイギリス GP。ハミルトンの母国であり、メルセデスチームのホーム(チーム国籍はドイツだけど元々がワークス・ホンダのファクトリーだったブラックレーを本拠地としているため)でもあるシルバーストンでもあるという、メルセデスにとって地の利のあるグランプリ。だからというわけではありませんが、メルセデス勢に大きく風が吹いたレースでした。
予選はハミルトンの圧勝。で、決勝もそのまま好スタートを決め、最後までポジションを脅かされることなくゴール。付け入る隙のない週末で、まさにハミルトンのための母国レースだったと言っても過言ではありません。
チームメイトのボッタスは予選 4 番手のところギヤボックス交換ペナルティが課せられて 9 番グリッドからのスタート。しかし決勝では序盤のうちに 5 位までポジションを上げてフェラーリを追撃。結果的にボッタスの追い上げがフェラーリ二台のタイヤにダメージを与え、終盤の波乱を呼び込んだと言えます。9 番手からの 2 位フィニッシュはマシンの戦闘力を差し引いてもボッタスの功績と言え、見事にハミルトンをアシストできたことになります。対するフェラーリのライコネンがあまりチームに貢献できていないことを考えると、ドライバーズ・コンストラクターズともに今季のチャンピオンシップの鍵を握っているのはこのボッタスかもしれません。
対するフェラーリは散々でしたね。ヴェッテルはスタートに失敗し、ハミルトンと争うどころか序盤はフェルスタッペンに抑え込まれてしまい、最後までハミルトンに迫る機会は与えられませんでした。終盤にはボッタスの猛攻に圧されてタイヤを傷めて抜かれた挙げ句、残り 2 周で左フロントタイヤがバースト。ライコネンも残り 4 周で左前輪のラバーが剥がれて緊急ピットイン、最終的にライコネン 3 位・ヴェッテル 7 位でのゴールがやっとでした。
シーズン序盤はタイヤの使いこなしに苦しんだメルセデスでしたが、当時予想したとおりカナダ GP を契機にパフォーマンスが安定してきた印象があります。一方でフェラーリはここにきて完全にパフォーマンスが伸び悩み、メルセデスとまともに勝負ができていません。そこにきてチャンピオンシップはヴェッテルとハミルトンが 1 点差で振り出しに戻り、コンストラクターズは 55pt 差という大差でメルセデス。次戦ハンガリーでも状況は大きく変わらないでしょうし、夏休み中にフェラーリが体勢を立て直せるか否かで後半戦の勢力図が大きく変わるに違いありません。今のままだと、チャンピオン争いはメルセデス勢の同門対決になる可能性だって十分にあると思います。
マクラーレン・ホンダはバンドーンが Q3 に進出して 9 番グリッドを獲得するなど、「スペック 3」パワーユニットの性能という点でもポジティブな部分はありました。アロンソが Q2 敗退し、さらに PU 交換で最後尾からのスタートとなったのは、イギリスを捨ててよりポイント獲得の高いハンガリー GP に賭けるための戦略的措置。しかし燃料系の問題(PU 本体ではない模様)でアロンソはリタイア、バンドーンも純粋なスピード不足で 11 位フィニッシュがやっとというのは何とも寂しい結果。シーズンの半分を終えてアロンソが獲得した 9 位 2 ポイントのみ、コンストラクターズ最下位という状況はさすがに受け入れがたいものです。次回ハンガリーでは何としてもポイントを持ち帰り、ザウバーを上回って夏休みを迎えてほしいところ。
それにしても今回のレースはチームメイトバトルが熱かったですね。特にトロロッソやザウバー、フォースインディアといった中団グループの争いが激しい。夏休みを前にしてストーブリーグを意識した戦いに移ってきたということなのでしょうが、チームメイト同士でさえ接触してしまうようなバトルは見応えがありますし(大事故に繋がるようなのは勘弁してほしいですが)、フェラーリ二台のタイヤトラブルにしても「これぞレース」という感じ。去年までは予想外のアクシデントが起きるレースが少なかっただけに、やはり久々に熱いバトルが観れるレースというのは燃え上がります。シーズン終盤までこの炎を消さないよう、各チームがんばっていただきたいです。
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