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天気の子 [IMAX] @T・ジョイ PRINCE 品川

公開初日の夜に早速観てきました。

天気の子

天気の子

新海誠作品って基本的には自分に合わないと思いつつ、初めてそこから逸脱した『君の名は。』のフォーメーションで作った新作ならば今回も期待して良いに違いない、と。いつも観てるような映画と明らかに客層が違うのが、三年前に社会現象になった監督の新作だけのことはあるなあ、という感じ。

上映が始まってみると、冒頭どころか直前の CM から始まるタイアップやプレイスメント(劇中にスポンサーの商品を登場させること)の嵐。これが商業的に成功するということか…と思い知らされます。
ただし見ようによってはプレイスメントは最初の 20 分できっちり終わり、それ以降は(要所要所では出てくるけど)基本的には物語に集中させる作りになっているのは「スポンサーのための時間はここまでで終わりですよ」と線引きしているようで、その点では好感が持てます(笑。しかしあまりにも金の匂いがしすぎたせいで、この 6~7 月に関東で異常なほど雨が続いたのもこの映画のプロモーションの一環だったのでは?などと訳の分からないことを考えてしまう始末(ぉ

ストーリーについては、私は『君の名は。』よりはこちらのほうが好きかな。空が晴れているだけで気分が明るくなるというのは本当にその通りだと思うし、その感覚を説得力のある映像で伝えてくるところは新海誠の真骨頂という感じ。前作のようなシナリオ上の仕掛けはありませんが、その分二人のラブストーリーにフォーカスしたシンプルな構造が逆に良かったです。
正直に言えば主人公・帆高と陽菜の家族に関する描写が(本編に登場する陽菜の弟の凪を除いて)希薄で、彼らの行動の動機がちょっと弱いのは気になりました。でもそこは物語をシンプルに二人の恋の物語にするためにあえて省略したのだろうな、と解釈することにしました。


後になって改めて考えるとシナリオはけっこう雑で、拳銃のくだりとか空の魚とか重要そうに見えて投げっぱなしな伏線は少なくないし、逆に陽菜が何を思って雨を終わらせようとし、帆高が何を考えて「晴れのほうがいい」と答えたのかなど先述の家族描写も含め心理的な伏線の配置が薄い。クライマックスに物語的なカタルシスがなく、終盤は映像と音楽の力で強引に感動させに来ている感があったのは事実です。
まあ、新海誠に丁寧な心理描写をさせるといつものグジグジした感じになってしまうだろうから、作品の構造としてはこれで良かったのかもしれませんが。

「この人と一緒にいられるなら、世界がどうなろうと知ったことじゃない」的な一途なラブストーリーはしばらく観ていなかったように思うので、終映後にこういう爽やかな気分に浸れたのは久しぶり。単に私がそういう作品を観る年代じゃなくなっただけかもしれませんが。
でも、近年は若い世代でも全体のために我慢することが求められがちで、それが社会としての閉塞感や諦観に繋がっているとも思うのです。それでも若いうちくらいは向こう見ずでもいいからもっと自分たち自身の幸せに対して我儘になっていいんじゃない?そういう個々の幸せの総和が社会としての充足に繋がっていくんじゃない?と背中を押すメッセージが込められた映画だと感じました。小さな世界でもいい、家族だろうと恋人だろうと仕事だろうと、自分の目に見える誰かに必要とされる実感こそ尊い。

前作が売れすぎたために賛否両論あるでしょうが、私は好きですよ、この作品。

コメント

  1. EDF_45 より:

    「君の名は。」のときと同じ、ほぼ満席の劇場にて見てきました。前作の成功により監督に無限の予算と裁量が与えられた作品見たさで、というのは冗談ですが。

    気に入った作家(ミュージシャン)の、次の新作を読んだ(聞いた)感じ。感想は前作と同じですが。小説と同じで、結局内容と自分の経験をどれだけ突き合せられるかで面白さが決まるところがあります。個人的には前作ほどのインパクトはないものの、好きです。

    小学3年生の娘は「たいくつでつまらない映画だった」と言っていましたが、まあ、無理ないですね(笑)。

  2. B より:

    さっそくご覧になりましたか。本当に「国民的クリエイターとして無限の裁量が与えられた新海誠(と川村元気)が何をするか」を見たくて行ったというのは私もです(笑
    仰るとおりこれが面白いと思えるか否かはどれだけ悩み、成功したり失敗したり後悔したりした経験があるかどうかによる部分が大きいと思うので、最低でも中学生以上推奨という感じですね。中二のウチの長女でギリギリかもしれません。

    映像的にはいろいろ細かいところで遊びを入れたりスター・システム的な旧キャラの出演もあったので、もう一回くらい観に行って細部チェックしてみてもいいかな、と思っています。

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