昨日封切りの『インディ・ジョーンズ』シリーズ最終作を観てきました。
主演のハリソン・フォードも 80 歳。そろそろ俳優人生も終わりに差し掛かっていますが、まだインディアナ・ジョーンズとしてアクションを演るとはね。どうも『インディ・ジョーンズ』シリーズはもともと 5 作品の契約がパラマウントとの間であったらしいですが。
前作『クリスタル・スカルの王国』はもう 15 年前。まあ『最後の聖戦』から『クリスタル・スカル』の間が 19 年空いていて、前作の時点で既に世代交代を意識させるような内容になっていたのに、前作に登場した息子のマット(シャイア・ラブーフ)は今作では「戦争で亡くなった」という設定で登場せず。最後までインディを中心に据えるのがこのシリーズだ、という王道に立ち返ったようにも見えました。『クリスタル・スカル』、まあ面白かったんだけどインディのアクションをマットに肩代わりさせたわりに美味しいところは全部インディが持って行く、という構成が微妙だったんですよね。探索するのが聖遺物じゃなくて宇宙人モノというのも異色感あったし。
本作はまず回想シーンから始まります。第二次世界大戦中、聖遺物である聖槍(ロンギヌス)を奪還するためにナチスの輸送列車に乗り込んだインディ。そこで聖槍が偽物であることに気づいた代わりに、同じ列車の中でアルキメデスが開発したといわれるオーパーツ「アンティキティラのダイヤル」の一部を発見します。以来インディの手元にあったそれが戦後(劇中の設定ではアポロ 11 号が月面に到達した 1969 年)に改めて旧ナチス一派の標的となり、インディは旧友の娘ヘレナとともにアンティキティラ争奪戦とその謎解きに挑む…という物語。
冒頭の回想シーンでインディは走行する列車の屋根の上を走り回る定番のアクションで魅せてくれます。もちろんスタントによるアクションでしょうが、そこに出てくるインディの若々しさに驚き。ディズニー傘下以降のルーカスフィルムは俳優の若い頃の顔を CG で貼り込む手法をちょっと乱用しすぎだとも思うけど、銀幕に現れた瞬間はさすがに感激しますね。その後に登場するインディ老人は衰えて見えるけど、それが渋みを増した良さに繋がっています。
今回の悪役は元ナチスの物理学者・フォラー(マッツ・ミケルセン)。オーパーツの力を使ってナチス復活を目論むマッドサイエンティスト的な役どころですが、歳を取ったハリソン・フォードの代わりに「イケオジの色気枠」と担っているように見えました。スーツ姿あり、軍服あり、アクションあり、というマッツ・ミケルセンのショーケースみたいな映像に仕上がっていてマッツファン大歓喜なのでは。ただ劇中では目的のためには手段を選ばない冷血漢として描かれているはずなのに、最近のマッツ・ミケルセンが演じているとそこまで怖くは見えない…というのが人気の出すぎた最近のマッツの弱点かもしれません(笑。『カジノ・ロワイヤル』のマッツ、本当に怖かったのになあ。
アンティキティラの謎を追ってモロッコ、シチリア、ギリシャと旅を続けたインディ一行が辿り着いた先は…宇宙人が出てきた『クリスタル・スカル』よりもさらに荒唐無稽感がありましたが、その意外性も含めて面白かったし映像的にも迫力がありました。そして最後には考古学者としての究極の出会いに導かれる。インディ・ジョーンズシリーズって冒険そのものが主役というところがあるからインディ自身の行動の源泉が曖昧に見えがちなのですが、最後にそこにフォーカスして、そのセリフを持ってきますかあ…という感動がありました。そしてそれを描くということは、改めて今作がシリーズの最後になるんだなあ、という。なんか『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part III』のラストを観たときに近い感慨がありましたね。
正直なところ、シリーズの全盛期からもう 30 年以上経って 80 歳のハリソンにアクションをさせる映画が本当に面白いのか?という不安は観る前にはありました。だからあえて安く観れるファーストデーを選んだところもあり(笑。いろいろとツッコミどころはありつつも、最後は懐かしさとインディらしさで締めてくれる良いエンタテインメント大作だったのではないでしょうか。私としては事前の期待値よりもずっと面白かったです。
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