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Pixel 4 と iPhone 11 Pro のカメラ性能を比べる (2)

Pixel 4 / iPhone 11 Pro

先日のエントリーに引き続き、Google Pixel 4 と iPhone 11 Pro のカメラ性能を比較していきます。前回の比較結果も非常に興味深いものでしたが、今回は個人的にはさらに気になっていた部分。AWB と AE(自動露出)、それに夜景モードの画質をみていきましょう。

3. オートホワイトバランスと自動露出の比較

スマホのカメラで何を撮るかと言われたら、私はなんだかんだ食べ物を撮る機会が多い。この blog の飲食系エントリーに掲載している写真の多くは RX100 III で撮影していますが、時々スマホで撮影したものも混ざっています。撮り方や後加工次第だけどどれがスマホで撮った写真かは案外判らないのではないでしょうか。
今回は、オートモードで撮った食べ物写真でオートホワイトバランスと自動露出の傾向を比較してみました。

モード オート
Pixel 4 Pixel 4 Pixel 4
iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro

おお、これはけっこうキャラクターが違いますね。被写体や照明によっても変わるでしょうが、Pixel 4 は色温度低め(撮影結果が青みがかる)・弱マゼンタ寄り、露出はややアンダー。iPhone 11 Pro は色温度高め(被写体が赤みがかる)・弱グリーン寄り、露出は適正な印象。ちなみにいずれも ISO100~400 の間で撮影されているので高感度というわけではないものの、iPhone 11 Pro のほうがややノイジーに見えます。

食べ物写真は飲食店らしい白熱灯の雰囲気が残っていた方がおいしそうに見えるので、個人的な好みは色温度高め・弱マゼンタ寄りのバランスが好きです。そういう点ではどちらも私の好みとは微妙にずれていますが、食器の白に引きずられずに露出が決まっていて、かつ温かみを感じる iPhone 11 Pro のほうがスマホの画面上で見たときの印象は良い。でも PC の画面上でじっくり見比べると Pixel 4 のほうが米粒や麺の質感がしっかり出ていておいしそうに感じます。個人的には Pixel 4 でチョイ露出補正(と必要に応じてホワイトバランス補正)をかけて撮るのがベストですかね。皿の白さに引っ張られてアンダーにならなければオートの絵作りで十分なんだけどな。

4. 夜景撮影時の比較

Pixel 4 のカメラ最大の特長と言われているのが夜景モード。いわゆる連写合成で暗所でも低ノイズな写真が撮れるやつです。最近の中華系スマホにも同様の機能が普通に入るようになってきましたが、Google の画像処理技術を駆使してどこまでの画質が得られるのか。オートモード時の画質も含め比較してみました。なお iPhone 11 Pro のカメラには特に夜景に特化したモードはないため(※2020/4/7 追記:iPhone 11 Pro のカメラにはナイトモードが搭載されています)、オートモードのみで撮影しています。

モード オート 夜景
Pixel 4 Pixel 4 Pixel 4
iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro N/A

一見して分かるのは、Pixel 4 はオートモードでも十分キレイじゃね???ということ。iPhone 11 Pro のオートモードもスマホにしては十分以上によく撮れていると思いますが、Pixel 4 のほうが露出・彩度ともに高めで印象的な画になっています。このへんはさっきの料理写真とは逆の方向性ですね。
連写合成で撮影する夜景モードでは、基本的な絵作りはオートモードと同じ方向性ながら、ホワイトバランスが少し青みがかり、全体的に暗部がグッと持ち上がってくる感じ。暗闇に溶けかかっていたビルの陰の部分が立ち上がってきて、ディテールも潰れずに残っています。ちょっと HDR 合成で作り込んだ感が強い雰囲気にはなるけど、まあ映えますね…。

こういう写真はレンズ交換式カメラでもただ撮っただけでは出てこず RAW 現像やレタッチを経てようやく得られることが多いので、それがスマホカメラ一発で撮れるというのは、解ってはいたけど改めて自分で試すと驚きます。

モード オート 夜景
Pixel 4 Pixel 4 Pixel 4
iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro N/A

もう一つ低照度のサンプルとして、ほとんど街灯に照らされていない夜桜も撮ってみました。
Pixel 4 のオートと夜景モードの違いはちょっと分かりづらいですが、オートモードだと手前のほうの花は明るく写っているものの奥の方のは闇に紛れてしまっていました。それが夜景モードだと暗部の花も持ち上がってきて、全体がやや華やかになった印象を受けます。多少風がある日だったので連写合成だとブレて写らないんじゃないかと思ったけど、案外撮れるものですね。対する iPhone 11 Pro は私の撮り方が悪かったのか、シャッタースピードが落ちて花がブレてしまう結果に。

ちなみに Exif データによると撮影時の設定は以下のとおり。カメラはいずれも望遠側を使用しています。

ISO 感度 絞り値 シャッタースピード
Pixel 4 オートモード 2819 2.4 1/25sec.
Pixel 4 夜景モード 988 2.4 1/10sec.
iPhone 11 Pro オートモード 640 2.0 1/14sec.

Pixel 4 の夜景モードではスローシャッターではなく高速シャッターの連写合成なので、ここで記録されているシャッタースピードは実時間ではなくおそらく連写の合計時間だと思われます。
ここで分かるのは、iPhone 11 Pro ができるだけ ISO 感度を上げず(画質を犠牲にせず)にシャッタースピードを落として粘ろうとして失敗しているのに対して、Pixel 4 はオートモードだと遠慮なく ISO 感度を上げてブレを押さえにかかっています。Pixel 4 のオート ISO 感度は露出ステップの刻みを気にせずダイナミックに設定されているのも面白い。ISO2819 でもさほどノイズが気にならないのは、センサの素性に加えてソフトウェア的なノイズ処理の巧さも感じさせます。
Pixel 4 の夜景モードはこのサンプルだと見た目の違いが分かりにくいですが、細部を見ていくとオートモードよりも明らかにノイズが減り、ディテールが再現できていることが分かります。しかし撮影モードの名称からも分かるとおり、こういうサンプルよりもちゃんと夜景で使った方が分かりやすいでしょうね。

Pixel 4 にはさらに天体撮影モードも搭載されていて、三脚さえあれば星空まで撮れてしまうというのだから驚きます。都心に住んでいるとカメラがあってもそうそう撮れないのが残念ではありますが。

最後に

というわけで、今までは iPhone のカメラでもかなり十分では…と思っていましたが、Pixel 4 のカメラをじっくり使ってみるとそのすごさが分かりますね。ただし UI の見せ方のわかりやすさ・楽しさもあって iPhone 11 Pro のカメラのほうが万人受けはしそう。あえて例えるならば Pixel 4 はソフトウェア(画像処理)エンジニアが作ったカメラ、iPhone 11 Pro は企画屋が作ったカメラ、という印象を受けます。

個人的に期待しているのは、Pixel 4 そのものよりもこのカメラアプリが今後の Android の標準になっていくこと。もちろんソフトウェアだけでなくセンサやレンズまで含めた作り込みが重要だし、大手メーカーのスマホは Android 標準ではなく独自のカメラアプリを搭載しがちですが、そのあたりにコストがかけられない格安スマホ系にもこのカメラアプリが入っていくとしたら、ちょっと嬉しいような、恐ろしいような気分です。

コメント

  1. 通りすがり より:

    11Proって、ナイトモードありませんでした??

    • B より:

      そうでした!完全に忘れてました。

      今度機会を見つけて追試してみます。夜出歩くのが憚られる状況になってしまいましたが…。

  2. 通行人 より:

    色温度の記述高いと白っぽくなり低いと赤くなるのではないでしょうか

    • B より:

      わかりにくい書き方ですみません。純粋に光の色温度でいうとそうなのですが、カメラ設定の観点でいうと色温度を下げる(色温度の低い光源にホワイトバランスを合わせる)=青くなる、上げる(色温度の高い光源に合わせる)=赤くなる、という意味です。カメラのホワイトバランスをマニュアル設定(ケルビン指定)してみればお分かりになるかと。

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