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コンテイジョン [Netflix]

今日は日曜日だというのにあいにくの雨。外出自粛要請のさなかでも気分転換に近所の散歩くらい、と思っていたのが駄目になってしまいました。暇になったからといって不安をあおる報道ばかりのテレビはつけておく気になれないし、不確かな情報や怒りが渦巻く SNS とも距離を置いていたい。というわけで、少し前から話題になっていたこの映画を鑑賞しました。

コンテイジョン

2011 年に公開されたパンデミックものの映画です。COVID-19 の感染が社会問題になっている今の現実を言い当てるような作品だ、と評価されていますね。

ある米国人女性が香港からの出張帰りに原因不明の病気が発症し、急死します。時をほぼ同じくして東京のバス車内で男性が発作的に倒れ、急死。世界各地で同様の症状が同時多発的に顕れ、米国疾病対策センター(CDC)はこれを新型の感染症と認定します。この新型ウィルスは世界中に蔓延し一千万人規模の犠牲者を出す惨禍へと発展、社会はパニックに陥っていく…という話。致死率などの設定は COVID-19 とは異なるものの、当初は風邪によく似た症状であること、接触や飛沫などを介して感染すること、感染すると急速に悪化するケースがあること、そしてその後の拡大の仕方や世の中への影響などといった点で現在の世界が置かれた状況と確かによく似ている。予言的な映画と言われるのも納得です。

物語は CDC のトップであるチーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)、米国における第一感染者の夫ミッチ(マット・デイモン)、この感染症の第一報を報じ、特効薬に関する未確認情報や陰謀論などを振りまくインフルエンサーとなるジャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)の三名を軸としつつ、この感染症をとりまく社会を様々な角度から切り取った群像劇のスタイルをとっています。実力派俳優を要所に配することで、群像劇でありながらも散漫な印象になっていないのは秀逸。
感染拡大に伴って市民の行動が制限され、物資が枯渇し、ワクチンの開発に時間がかかることで社会不安が増大。半ばパニックとなった世の中は民間療法の蔓延、強盗・略奪等を含む治安の低下など、社会として末期的な状況が近づいてきます。ウィルスの研究に関してもスピードより安全を優先するのか、リスクを取ってでも一日も早い解決策の確立を目指すのか、なかなか足並みは揃わない。そうするうちに WHO と CDC は自分たちの利益を優先して情報を隠匿しているという陰謀論が生まれて…と、まさにこれから現実世界が迎える状況を一足先に見ているかのような感覚に陥ります。

最終的には複数の研究者たちの献身もあり、ワクチンは完成。さまざまな悲劇を生みながらも事態は収束に向かっていくわけですが、大団円という感じでもなくいろいろと考えさせられる、余韻を残した幕引き。
登場人物には「絶対的に正しい」人は存在せず、多くが自分の身近な人々を守ることと公益とのバランスに苦しみます。もし自分がこの当事者だったら自分の家族だけは優先的に助けたいと思うだろうし、他の誰かが同じように思ってしまうことを誰が責められるでしょうか。保健期間のトップであっても一人の人間である、というリアル。そして真に恐ろしいのはウィルスそのものよりも社会不安が募ってパニックに陥ってしまう状況である、ということを本作はありありと描いています。また「ウィルス」である以上は化学的に対処できる問題ではあるがそれには時間がかかり、解決策が確立できるまではできるだけ集団感染を抑えてを稼ぐ必要がある、ということも。

正直なところ、COVID-19 問題がこれだけ拡大してしまった今この映画を観ることは却って自分のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしてしまうのではないか、という不安がありました。しかし実際に観てみると、「現実とは似ているもののあくまで虚構の中の物語である」と脳が理解した状態で状況を客観的に眺められることで、却って現実を冷静に見ることができるようになったように思います。本作はある意味、現在の状況に対して自分の精神に抵抗力を作るための「ワクチン」であると言って良いのかもしれません(人によっては逆にこれで不安が増大することもあるかもしれませんが)。少なくとも私は、今この時点でこの映画を観ておいて良かった、と思います。

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