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スマホで光学シミュレーションができる「Pocket Optics」

毎週楽しみに読んでいるデジカメ Watch の連載『カメラバカにつける薬 in デジカメ Watch』に、今週はとても興味深い話が掲載されていました。

【カメラバカにつける薬 in デジカメ Watch】スマホで光学遊びをしよう! – デジカメ Watch

スマホで光学シミュレーションができるアプリ、そういうのもあるのか!
私はカメラ好きだけど光学は高校物理レベルの知識しかないので、「このレンズは○○だから良いんだ」という話を聞いてもなんとなく想像しつつ説明を鵜呑みにすることしかできません。でもこれで実際のレンズ構成の仕組みを理解すればカメラがもっと面白くなるに違いない、と思い早速試してみました。

ただしこのアプリ、残念ながら iOS 用はなく Android 専用なんですね。

Pocket Optics – Google Play のアプリ

↑アプリを起動したところ。平面上に光源とレンズやスリットなどを配置して、光の進み方をシミュレートすることができます。あくまで簡易的なアプリなのでレンズ径を変えたりメニスカスレンズ・非球面レンズなどを配置することはできません。基本的には中高生レベルの物理を学ぶのに使えそうなレベルという感じですが、これを使えば確かに写真用レンズの基本的な構造は理解できそう。

というわけで、このアプリを使って代表的なレンズ構成を再現してみました。まずは王道の Planar タイプ。とはいえメニスカスレンズが使えないのでそれぞれ普通の凸レンズ・凹レンズに読み替えて模してみたものです。各レンズ群の距離もまあ適当(笑。
こうして見ると、なぜ大口径レンズを作るのが難しいか(途中の経路で光束の一部がレンズ外に逃げていく)、レンズ構成によってバックフォーカスの長さやイメージセンサへの入射角が変わってくることが視覚的に理解できます。これは面白い。

難点を言えば、単にレンズの曲率から光の屈折率を計算しているようで、光の屈折がレンズの表面ではなく厚みの中央で発生しているため、実際のレンズとは誤差がありそうに思えます。またレンズの材質によって屈折率が変わることも再現できませんが、まあ無料アプリですから。

続いて Tessar タイプ。3 群 4 枚というカメラ用レンズとしては最もシンプルな構成のひとつです。
これは非常に解りやすい。光の進み方がシンプルで光束もあまり拡散しないため、小口径で薄型のレンズ設計に向いているわけですね。F2.8 のパンケーキレンズが作りやすいわけだ。

次はグッと複雑になって Sonnar タイプ。実際は前後で曲率の違うレンズが多用されているからもっと複雑ですが。
これは Tessar とは対照的に、何度も光を屈折させて収差を抑えていることが解ります。またレンズの枚数が多く後群が長くなりがちで、一眼レフでは構造上望遠レンズでしか採用できなかった理由も理解しやすい。

乏しい知識で適当にいじってみただけなのでどこまで正しいかは分かりませんが、今までなんとなく雰囲気で分かったつもりになっていたことが一目で理解できるからとても面白い。これで光とレンズの関係性についての理解が深まれば、レンズ構成図を見ただけでレンズのだいたいの性格は掴めるんじゃないか、という気さえします。
それにしてもこういう指先ひとつで光学シミュレーションができるアプリを使ってみると、逆にこういうのが一切ない時代に紙上の計算でレンズ設計していたパウル・ルドルフやルートヴィッヒ・ベルテレ(いずれもかつてのツァイスのレンズ設計者)半端ないな…とも思うわけです。偉大なる先達の発明に感謝と感銘をおぼえつつ、改めてカメラが楽しくなりました。

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