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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン @T・ジョイ PRINCE 品川

一年前から楽しみにしていた映画を観に行ってきました。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

二度の延期を経てようやく公開された本作。この連休は映画業界的には感染対策のためにいろいろ縮小していたものを元に戻す解禁タイミングだったようで、いくつかの話題作の公開に合わせて一部映画館では座席制限が撤廃されました。私が行った T・ジョイ PRINCE 品川でも先週まで一席飛ばしだった座席が全席解禁になりました(ただしシアター内は食事禁止、飲み物のみ OK)。少しずつでも世の中が元に戻っていくのは嬉しいものですね。

劇場に入ってまず驚いたのは客層が若いこと。私が観た回ではお客の中で私が最年長クラスでは?というくらい若いお客さんが多くて、本作が深夜アニメの枠を超えて幅広い人の心を打ったことが窺えました。あの事件があったからとかそういうのは関係なく、今や名作は Netflix などの VOD によって伝播していく時代なのだろうと改めて思いました。

まだ公開直後のためネタバレは避けますが、本作は TV シリーズのラストシーンで示唆されていたとおり、また劇場版のキービジュアルが匂わせていたとおり、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが恩人であるギルベルトとの再会を改めて目指す物語です。TV 版の物語の直接の続編にあたるわけですが、TV 版とは異なり後世の別の人物の視点からヴァイオレットの生きた足跡をたどる形でストーリーテリングされます。TV 版では大半のエピソードでヴァイオレットは狂言回し役であり、ヴァイオレット視点で各ゲストキャラクターの心情の変化が描かれていくのとは対照的。そういう構成だからこそ、他のエピソードとは異なり本作の主人公がまぎれもなくヴァイオレットであることが強く伝わってきます。

TV 版の続編であり完結編ということで、過去のエピソードにまつわる展開が随所に散りばめられています。あのエピソードのその後がどうなったのかが判るのが嬉しく、またその度に涙が出てきそうになります。でも序盤はわりに淡々とした展開で、構成は異なるけど TV シリーズみたいにじんわり感動するタイプのストーリーなのかな…と思っていたら、前半はあくまで終盤に思いっきり盛り上げるための「溜め」の時間でした。TV 版では感情の起伏に乏しく淡々とした口調が印象的だったヴァイオレットが、ここにきて感情を爆発させる終盤の展開は心に刺さります。TV 版のヴァイオレットはあくまで狂言回しだと思っていたけど、TV 版と外伝は全てこの劇場版で彼女の想いを結実させるための壮大な伏線だったと言って良いくらい。
ただ、ここまでの「溜め」によってラストの感動がもたらされている側面が大きいため、単体のエピソードとしてのカタルシスはごく個人的には外伝のほうが強かったかな…という気もします。外伝、すごく好きだったんですよ。

ともあれ、劇場版として、かつ完結編としてとても良い映画でした。終盤の盛り上がりから余韻あるラストに繋がるくだりがまた良い。フィクションでありながら、何か壮大な史実の物語を読み終えた後のような感覚です。

シリーズを通して、これまでに観たアニメーションの中でも特に心に残る作品でした。また折に触れて繰り返し観たくなるだろうと思います。
京都アニメーションの皆さん、名作をありがとうございました。

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