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F1 エミリア・ロマーニャ GP 2021

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F1 第 2 戦エミリア・ロマーニャ GP。昨年は三連戦が当たり前の過密スケジュールだったのと、今年はレッドブル&アルファタウリへの期待値が高いことも相まって開幕戦から三週空くのがものすごく長く感じられました。

開幕戦はフェルスタッペンがハミルトンに惜敗しましたが、今回はその雪辱を晴らす形でフェルスタッペンが優勝。イモラでのホンダエンジン勝利は 1991 年のセナ以来 30 年ぶりです。
メルセデスはこの三週間でクルマを修正し、開幕戦に比べるとレッドブルとの差は縮まっているように感じました。このあたりはさすがのチーム力と言えます。しかしボッタスが(特にレースで)ハミルトンほどの速さを見せられていないのはまだ根本的に乗りやすいクルマにはなっていないということでしょう。一方でハミルトンはレッドブルの二台が予選でミスしたこともあって PP 獲得、決勝でもフェルスタッペンの逃げを許さないレース運びでしたが、バックマーカーを追い抜く際にウェット路面での操作を誤ってウォールにヒット。あわやリタイヤかと思われましたが何とかコースに復帰、順位を下げながらもその後の赤旗中断にも救われて最終的に 2 位に戻ってきた運の強さも含めさすが現役最強ドライバーですね。マシンの速さでは引き続きレッドブル・ホンダに分があると言えますが、そう簡単に勝たせてはくれません。

というわけで今回もホンダ系ドライバー 4 人に関する雑感を。

■マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

予選 Q3 でミスをして PP を獲り損ねたり、決勝でも SC ラン中に軽くスピンするなど細かいミスはあったものの、今回は文句なく優勝に値するパフォーマンスを見せてくれました。過去にはスタートで順位を下げることも少なくありませんでしたが、レッドブル/ホンダがスタート時の挙動を改善させたことが奏功して三番手スタートから一気にハミルトンを抜き去ります。その後はインターミディエイトタイヤのグリップを互いに絞り出し合いながらハミルトンとファステストラップ更新合戦を繰り広げ、見応えのあるレースを演出してくれました。赤旗中断後はハミルトンが一旦後方に下がったこともあって危なげない展開。
おそらく今シーズンはメルセデスに圧勝するレースよりも今回のようなガチのぶつかり合いが毎レース見られるようになるのではないでしょうか。それでも去年まではフェルスタッペンが一人でメルセデスの二台を相手にしなくてはならなかったところ、今季は逆にフェルスタッペン&ペレスの二人でハミルトンと戦い、ボッタスがそこにはあまり参戦できない構図が増えることが(期待も込めて)予想されます。

■セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

今回の予選には驚かされました。開幕戦では RB16B にまだ慣れていなかったのか Q2 突破ならなかったところ、今回はフェルスタッペンのミスもありハミルトンに続く 2 番グリッドを獲得。2 レース目でいきなりフェルスタッペンと遜色ない予選を見せてくれるとまでは予想していなかったので本当に驚きました。
しかし決勝ではスタートで出遅れ、途中ウェット路面で単独スピンを喫して一時はほぼ最後尾まで落ちるなど散々なレース。最終的に 11 位無得点に終わり、まだ全てが噛み合うところまでは至っていないようです。決勝に関しては一度たりともスピンしなかったドライバーのほうが少ないわけで(ハミルトンやマックスでさえ滑っていた)あまり責める気はありません。それよりも予選結果で「今年は二台でハミルトンと戦える」という確信を持たせてくれたことが最大の収穫ではないでしょうか。

■角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

予選 Q1 で攻めすぎてまさかのクラッシュ。PU を交換して(これ自体は PU のストックを作っておくための戦略的交換の意図もあったのではと思われます)グリッド最後尾からのスタート。それでもオープニングラップでいきなり 5 台抜き、赤旗再スタートの時点では 10 位につけていたオーバーテイク力とレース運びの巧さは見事でした。レース再開直後、前方を走っていたハミルトンにオーバーテイクを仕掛けて単独スピンしたことで入賞争いからは実質的に脱落してしまいましたが、それでも最終的には 12 位まで上がってきていたのはさすが。個人的には、リスタート後はしばらくハミルトンの後ろについて走り、現役最強ドライバーの運転から学ぶという姿勢でも良かったのではと思いますが、あそこで果敢に攻めるのが角田なんですよね。開幕戦でヴェッテル/ライコネン/アロンソを抜いたらあとはハミルトンを抜くしかないでしょうというのはまあ解る(笑

予選でのクラッシュも含め、今回のグランプリは「無理しなくていいところで無理して失敗した」レースだったと思います。昨年の F2 終盤戦ではしっかりレースを俯瞰し、行くべき場所を見極めてアタックしていたように見えましたが、今回は年齢なりの若さが出た印象。ただ角田本人もシーズン前に「前半戦は失敗を恐れずにチャレンジしてそこから学ぶ。そして後半戦に結果を残したい」と言っていたので、夏休みまでの間に 2~3 回のクラッシュは覚悟していました。予選と決勝でのミスがなければ 5~6 位は狙えてたんじゃないかとは思いますが、今回の失敗から学習して後半戦により大きな成果に結びつけていってほしいところ。プレシーズンテストから開幕戦までが良かっただけに期待値が爆上がりしてしまっていますが、私もしばらくは落ち着いて見守ろうと思います。

■ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

予選 5 番手ということで決勝にも期待がかかりましたが、スタートタイヤにフルウェットを選んだことが裏目に出て早々にポジションを落としていきました。アルファタウリってトロロッソ時代からこういうタイヤ戦略のギャンブルが裏目に出ることが多かった印象ですが、今回はガスリーがその犠牲になった格好です。雨天レースでのタイヤギャンブルは例えば十年前のトロロッソのように失うものがないチームには「アリ」な選択肢ですが、今のアルファタウリのマシン性能があればオーソドックスな戦略でマクラーレンやフェラーリと正面から当たれると思うんですけどね。
しかし一度はポイントは絶望的かと思われたガスリーも、気がつけばいつの間にか入賞圏。終盤はアストンのストロールを追いまくる展開で、最終的にストロールのペナルティもあり 7 位フィニッシュ。スターティンググリッドから考えると物足りない結果ですが、ほぼ最後尾からここまで戻ってきたのは立派。やはり今年のアルファタウリには準トップチームと言って良い速さがあると思います。

今回のレースはホンダ系のドライバーが表彰台を少なくとも二つ埋めてくれると期待していたので、それに比べるとやや寂しい結果でした。が、開幕戦以上に「今シーズンこそやれる」という確信を深めてくれたレースでもありました。ハミルトンとフェルスタッペンのポイント差はわずか 1、今季はこのまま終盤戦まで二人のデッドヒートが続いてくれることを期待します。

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