幸運ノリスが優勝。角田裕毅はギャンブル戦略で大幅ポジションアップ。入賞の可能性も?|F1マイアミGP F1スプリント
ピアストリの勢いは止まらない! 破竹の4勝目。レッドブル角田裕毅は5秒加算も10位踏みとどまる|F1マイアミGP決勝
マイアミ GP。ただでさえ時差が厳しいのにスプリントもあるからリアタイ観戦が辛い…けど連休のおかげで何とかなりました。ここはコース特性的にマクラーレンだろうなあ、と予想していたらまあその通りの結果に。
■スプリント
スプリント予選はまさかのアントネッリが PP。3 月のデビューからここまで着実に成果を出し続けてきましたが、マクラーレンを抑えて PP とはね。大器の片鱗を見た思いです。
レースではピアストリが抜群の蹴り出しで首位を奪い、アントネッリはターン 1 でのブレーキング合戦の結果コースオフ。いきなりアントネッリの優勝もあるかと思いましたが、そう簡単にはいきませんでした。代わって首位に立ったピアストリがそのまま独走かと思ったら、今度はセーフティーカー導入タイミングのアヤでノリスが首位に立ちトップチェッカー。展開はノリスに味方しましたが、内容的にはピアストリのレースだったなあ。
レッドブル角田はスプリント予選 SQ1 で二回のアタックタイミングでのピットアウトのタイミングが悪くあえなく SQ1 敗退。ピットレーンスタートを選んだスプリントレースではウエットからドライへとコンディションが代わるタイミングで早々にスリックタイヤに履き替えるギャンブルが的中してチェッカー時点では 9 位に。その後、フェルスタッペンを筆頭に複数のドライバーにペナルティーが出たことでなんと 6 位入賞。サウジからあまり良い流れで来ていなかった角田、これで一息つけたでしょうか。
■マクラーレン
スプリントではノリス-ピアストリ、決勝ではピアストリ-ノリスという形でともに 1-2 フィニッシュを飾り完勝で終えたマクラーレン。でも勢いは完全にピアストリにあることが明らかになったマイアミ GP でした。特に決勝でのフェルスタッペンとの戦い方に明暗が分かれ、マックスのややダーティーなブロッキングを先読みして交わしたピアストリに対してノリスはこれまでにもあったように抜きあぐねる…という状況。今季のように僅差のチャンピオン争いが予想されるシーズンではバトルでの強さが物を言うだけに、この差は大きいと感じます。昨年までは予選一発の速さとタイヤマネジメントでノリスにやや劣る印象のあったピアストリでしたが今年はどちらもノリスと同等以上に成長したように見えるし、何よりバトルに強い。速いだけでなく強い、と感じる走りはまるで既にチャンピオン経験者かのようです(笑)。ここまで 6 レースやって 4 勝、これはもう今シーズンのチャンピオンはこのままピアストリだろうなあ。
■メルセデス
スプリントで PP を獲得したアントネッリが土曜の予選でも 3 番グリッドを獲得。少なくとも一発の速さでは僚友ラッセルを凌ぎ始めたというのはすごいことです。とはいえレースクラフトはさすがにラッセルに一日の長があり、アントネッリがスプリント/決勝ともにレースで順位を落としたのに対してラッセルは決勝で 3 位表彰台。今シーズンのラッセルはレースで表彰台の残り一席の常連になっています。マクラーレンには届かないけど安定して二番手チームのポジションを築いている。おそらくチャンピオン争いに絡むことはないでしょうが、二人のどちらが先に今シーズンの初優勝を飾るかに注目しています。
■フェラーリ
相変わらずグダグダですねこのチーム…。決勝でハードタイヤを履いて先行するルクレールをミディアムタイヤに換えたハミルトンが追い上げ、ポジションスワップを要求するハミルトンにすぐには対応せず、少し経ってから入れ替え。その後タイヤがタレてきたハミルトンに対してルクレールが再度スワップを要求するもチームは態度を保留し、これまた少し時間を置いてから入れ替え。結局ハミルトンはタイヤの一番おいしいところを使えず、二人のドライバーがそれぞれにフラストレーションを抱えただけでした。その後、ウィリアムズのサインツが追い上げてきているというピットからの無線に対してハミルトンが「サインツにも譲ってあげればいいってことかい?」と皮肉で返す始末。ハミルトンはきっと遠からずチームに対して不満を抱くだろうと予想していましたが、案の定でしたね。もし今後もこういう状況が続くようならばハミルトンはモチベーションを失って今季限りで引退、もあり得るんじゃないでしょうか。
■レッドブル
鈴鹿に続いてフェルスタッペンがまさかの予選トップ。またしても鬼気迫る走りを見せてくれました。が、決勝では序盤こそピアストリを抑えて走っていましたが、最後まで耐える力は RB21 にはありませんでした。ピアストリに抜かれ、ノリスにも攻防の末オーバーテイクされ、さらにはタイヤ交換と VSC の導入タイミングの関係でラッセルにも先行されて 4 位が精一杯。今回から RB21(のマックス車)にはフロア周りのアップデートが導入されたようですが、少なくともマクラーレンと伍する速さは身につけられていないようです。それよりもスプリントレースでペナルティーを受ける原因となったアンセーフリリースといい、前回のサウジでのタイヤ交換トラブルといい、チーム側のレースオペレーションがボロボロなのが気になる。やはり昨シーズン以降チームの上級スタッフが多数流出した影響がこういう形で出てきているのでしょう。
角田は鈴鹿同様に雨が降ることに賭けたセットアップだったのか、ストレートスピードが物を言う S2/S3 が壊滅的に遅く予選 10 番手がやっと。決勝はスタートでポジションを上げたもののこちらも VSC 導入の割を食う形で 10 番手に逆戻り。しかもピットイン時の速度超過で 5 秒ペナルティーを受け、追い上げてくる元同僚ハジャーに対して 5 秒のギャップを守れるかどうかヒヤヒヤもののレースでした。何とか 10 位 1pt を獲得できたとはいえ、トップ 5 チーム中最下位という結果は期待に届かなかったと言わざるを得ません。クルマが遅いのは仕方ないとして、角田はときどき今回のようなしょうもないミスをしてしまうのを何とかしないと…。まあそんなことは本人が一番よく分かっているでしょうが。
二週間後のイモラでは角田車にもフロアアップデートが適用されるのでしょうが、せめてそれがメルセデスと戦えるくらい効果あってくれるといいんだけどなあ…。でも今回フェルスタッペンでさえレースペースに苦労していたのを見ると、そこまで期待はできないのかもしれません。
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