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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ [Dolby Cinema] @丸の内ピカデリー

再三の延期を経てようやく公開されたガンダム最新作、私も午前休を取って封切り初回を観てきました。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

ガンダムの最新作は松竹系の旗艦たる新宿ピカデリーで鑑賞することが多かったのですが、今回は画音質的に最高の環境で観たいと思いドルビーシネマが入っている丸の内ピカデリーへ。ドルビービジョンの高いコントラスト(特に締まる黒)とドルビーアトモスによる音響はこういう SF アクションに最適ですね。閃ハサは残念ながら宇宙戦闘がほぼないけど。また音響的にはガンダムシリーズで初めてドルビーアトモス用に音作りされた作品なので、そういう意味でもドルビーシネマ館で観る意味があります。

ホワイトベースやラー・カイラムの艦長を務めたブライトの息子、ハサウェイ・ノア。シャアの反乱を経てシャア・アズナブルとアムロ・レイの薫陶を受け、またその動乱のさなかでクェス・パラヤを喪ったことがその後のハサウェイの人生に大きな影響を与えています。クェスを殺したのがチェーン(映画版)なのかハサウェイ自身(小説版)なのかは明確な描写がありませんが、状況的には小説の文脈を踏まえているように思われます。
そのハサウェイが反地球連邦組織「マフティー」の首領として連邦地球軍のオーストラリア方面部隊と戦っていく物語。原作小説どおりならば舞台はほぼオーストラリアに限定され、ファーストガンダムや『UC』に比べると小さい話になります。

三巻構成の原作小説をベースにどのように映像化するのかと思ったら、この一作目に関しては基本的なプロットも話の流れもほぼ原作をなぞっていました。物語の始まりからハサウェイとヒロインのギギ、ライバルのケネスとの出会い、Ξ(クスィー)ガンダムの受領、そして Ξ ガンダムとペーネロペーの最初の対決まで。もっと大胆に脚本をいじってくると予想していたので驚きましたが、各種プロモーションでの言葉遣いから想像するに少なくともあの救いのない結末は変えるつもりで序盤のプロットはあえて原作通りにまとめたのではないかと思っています。
しかしマフティーがやっている「ポリティカルには正しいけど、過激になりすぎると最終的には支持されない」というのは今の時代に見ると何とも示唆的で、この構造の話を三十年以上前に書いていた富野由悠季ってやっぱり先見の明あったんだな…と思いますね。

戦闘シーンはガンダム作品にしては少なめだけど、キャラクター同士の会話劇による駆け引きもあって終始緊張感に満ちています。まあ主人公がテロリストですしね。
また他作品と比べてモビルスーツに対する人の小ささ・無力さが実感できる場面や描写が多いのも印象的でした。実際この時代の MS は重厚長大の極致でもあるのですが、逃げ惑う民間人の視点で MS をここまで生々しく描いたのはファーストガンダム以来の感覚。続編も含め、MS 戦そのものよりも人にフォーカスが当たる作品になっていく予感があります。

映像的にはキャラクターの頭身が上がり、背景もリアル志向が強まったことで従来のガンダム作品とは一線を画しています。戦闘シーンのカット割りは今まで見たことがない手法でスピード感があったし、ミノフスキー・フライトで浮遊する MS の感覚も面白い。またドラマパートも広角カメラを思わせるカットを多用した斬新なカメラワークでしたが、パンフレットによると 3DCG を使ってプリヴィズ的に各シーンをモデリングし、それをガイドとして原画を描いたそうですね。『シン・エヴァ』でもプリヴィズによる制作手法に注目が集まっていましたが、本作でもアニメの新しい映像表現をたっぷり感じることができます。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

物販は豪華版パンフレットと劇場限定版 Blu-ray を買ってきました。私は限定ガンプラにはあまり興味がないのですが、少なくとも HGUC ペーネロペーは瞬殺で、初回上映終了時には売り切れてしまっていました。

上映中は特に戦闘シーンが速すぎてちょっとついていけない部分があったので、BD でじっくり堪能しよう。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

劇場で販売されている BD には通常版(劇場先行発売)と限定版があり、限定版のほうには特典映像ディスクとサントラ CD、それに原作小説の上巻(カバーデザインが特別バージョン)とその小説の朗読 CD が付属します。限定版 BD は通常版の倍以上の値段ですが、私はどうせサントラは買うつもりだったからそれ以外の特典も含めるとまあ順当な価格ではあるかな。
ちなみに小説を朗読しているのは『逆シャア』でハサウェイ役を務めていた佐々木望氏。『閃ハサ』で配役が変更(小野賢章氏)されたことに賛否両論ありましたが、これは佐々木ハサウェイ派へのせめてもの罪滅ぼしでしょうか。あるいはこれが「小説と映画はパラレルワールドであり、結末が異なる」ことを示唆しているようにも思えます。

私が『閃ハサ』の小説を読んだのはもう 7 年前なのでディテールを忘れてしまっているんですよね。この朗読 CD は合計 7 時間近い大作(それも上巻だけで)ですが、移動時間等に少しずつ聴けばアニメ側の理解の解像度がさらに高まりそう。しばらくは原作とアニメを行ったり来たりしながら楽しもうと思います。

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