Blu-ray/DVD の発売に先立って Amazon Prime Video で公開された『シン・エヴァ』を改めて視聴しました。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| [Prime Video]
お盆休み中にホームシアターで一度通しで鑑賞、その後いくつかのシーンについてディテールを再確認するために PC で再度視聴。解像度は 1080p 止まりだしストリーミングだから精細感が足りないシーンもあるけど、途中休憩を挟んだりしながら自分のペースで観られるのはいいですね。細かい部分を見直すために行ったり戻ったりするのも自由自在だし。映像や音響は映画館が至高だと思いますが、配信はそれとは違った良さがあります。
配信が始まったら絶対チェックしようと思っていたシーンは複数ありました。
まずは本編開始前に流される『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』。
劇場公開前にスタジオカラーが公開していたバージョンでは、『Q』のダイジェストパートでピアノ連弾シーンとエヴァ第 13 号機起動シーンの間に碇ユイがエヴァのコアにダイレクトエントリーを試みるシーンが挟み込まれていました。これが劇場公開版では、
アヤナミレイ(仮称)が LCL 水槽内で調整を受けるシーンから
エントリープラグ内でうずくまるアスカのシーンに差し替えられていました。劇場で観たときにはあまりに違和感がなかったせいでスルーしていたのですが、事後に考察サイトを読んで初めて気がつきました。
ここでアスカが着ているプラグスーツが『Q』のバージョンとは異なるので、もしかして『シン』の終盤に登場する「式波タイプのオリジナル」の伏線として差し替えられたのか?と勘繰ってみたのですが、過去作をチェックしてみたところこれは『破』で第 8 の使徒戦後にアスカが「私一人じゃ、何もできなかった」といじけるシーンですね。『Q』のダイジェストに『破』のカットを差し込むのはちょっとミスリードっぽくもありますが、これは単純にこの場面で流れている「君と同じ、運命を仕組まれた子どもさ」というカヲルのセリフに呼応させて分かりやすくしたということでしょう。『シン』本編では四人のエヴァパイロット全員がゲンドウの計画の上で動かされていたことが明らかになりますが、事前の予告編ではレイとアスカについては伏せておきたい意図があったのかもしれません。
続いて「第 3 村」の電車図書館のシーン。エンドロールでジブリが『となりのトトロ』で画面協力を行っているという記載があったのですが、私は映画館で計 3 回観たのに見つけられず(汗。今回配信で改めて繰り返しチェックしてようやく発見しました。
このカットでは中央にある安野モヨコの『シュガシュガルーン』に視線を奪われがちですが、よーく見ると画面左端の剥がれかかったポスターが『トトロ』。さらに、もっとさりげないけど「乗務員」の「員」の文字の隙間にはネコバスの姿も見えます。
あまりにもさりげなさすぎて、これなら別に全然関係ない絵でも誰も気に留めないのに…と正直思いましたが、庵野総監督が舞台挨拶で「僕自身の人生においてかかわりのあるものと、あとスタッフの好みが描かれている」と言っていたとおり、庵野総監督に大きく影響を与えたものの一つとしてジブリ作品を作中に配置しておきたかったということなのでしょう。
あとこれも劇場で 3 回観ても見逃したカット。終盤でアスカが「式波タイプのオリジナル」と邂逅するシーンで、オリジナルの後方に小さく渚カヲルらしき人影が見えています。実は配信で観ても一回目は見つけられなかったという(汗
このカットは直前の「シングルエントリーじゃなかったの…?」というセリフに対する種明かしなわけです。『Q』で爆死したはずのカヲルがなぜ第 13 号機にいるかは、エヴァのメカデザイナーである山下いくと氏が以下のツイートで説明されています。
シリーズ完結編である『シン』は『Q』とは対照的に種明かし的なシーンや説明台詞が多いため、シリーズを追いかけてきたファンであれば(過去のシリーズに比べれば)十分に理解可能な作りになっていると思います。が、こうやって細かく見ていくことでさらに解像度が上がって見えるのが、『エヴァンゲリオン』という作品の奥行きの深さなのでしょう。新劇場版以前までは「制作サイドは実はけっこう雰囲気で作っているけど、考察勢が勝手にディテールを付け足しているせいで深い物語に見えているだけなんじゃないか?」と思っていたのですが(笑)、完結した今振り返ることでその設定や構成の緻密さが改めて解ります。
最後に、現時点で最も詳細かつ真相に迫れていると思える考察記事を紹介がてら貼っておきます。これを読んだ後に配信版をもう一度見直すと、さらに理解が深まるのではないでしょうか。
Blu-ray/DVD の発売についてはまだアナウンスされていませんが、早くリリースしてほしいですね。配信ではアクションシーンで少しブロックノイズが気になったシーンもあったので、改めて UHD BD でじっくり鑑賞したい。
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