「日本蕎麦の頭が、沖縄色に染められた」
先週の『孤独のグルメ Season10』第 7 話に登場した笹塚のお店に行ってきました。
笹塚って住みやすいエリアという話はよく聞くけど今まで降り立ったことがありませんでした。駅前から所狭しといろんな建物がひしめき合っている生活感のある駅なんですね。
そんな笹塚駅の北口を出て線路沿いすぐのところにあるのが今回のお店「山横沢」。なんかもう店名からしてイイじゃないですか。
この看板の削ぎ落としたシンプルさ、山横沢…ただの手打ち蕎麦屋ではない。よし。
蕎麦屋に入ったはずなのに、中は完全に沖縄。うーん、不思議な蕎麦屋。
てっきり BGM は三線なんだろうと思っていたら意外にも音楽はかかっておらず、マスターが黙々と調理をする音が響き渡っています。でもこういう音を聴きながらお酒を飲み、料理が出てくるのを待つ感じってなんか好き。
私は放送前に一度来たら満員で入れなかったので、予約して改めて放送後に来ました。現在は基本的に夜のみ営業、かつ予約しないと入れない状況のようです。
ちなみに劇中のマスター(演:おかやまはじめ氏)はすごく人当たりの良さそうな雰囲気でしたが、ご本人はさらにもう二段くらい腰が低くて柔らかい感じの方でした。
壁メニュー、ちょっとすごいことになっていて目が追いついていかない。
読み解いていくと沖縄料理を軸としながらも地方・方向性ともにバリエーションがあまりにも広い。でも、どれも酒のつまみとして絶妙にうまそうなものばかり。まるで酒飲みの底なし沼のような黒板だ。
と思っていたら、カウンターにドラマで登場したメニューリストがありました。
五郎’s セレクションが「井之頭五郎メニュー」としてまとめて頼めるだけでなく、他のお客さんが頼んでいた料理やふらっと QUSUMI メニューまで至れり尽くせり。
劇中では蕎麦が売り切れになりそうで五郎が慌てて注文する場面がありましたが、最初に井之頭五郎メニューとしてセットで頼んでおければ安心です。
注文後まず出てくるのがさんぴん茶。
私は沖縄料理店に行っても基本的にオリオンビール→泡盛みたいなルートで頼んでしまうから、さんぴん茶は初めて。
でも口にしてみるとなんかこれ知ってる味だぞ!?…と思ったら、オリオンビールのサイトによるとさんぴん茶って緑茶にジャスミンの香りをつけたもの、つまりジャスミン茶なんですね。そりゃあ飲んだことがあるわけだ。
そのさんぴん茶をチェイサーにしつつビールをいただくわけです。
オリオンビールにしようかと思ったけど「笹塚ビール」という地ビールを発見したら頼まざるを得ません。
いかにもクラフトビールらしい香りの良さ、なかなかにおいしい。
これをいただきながら料理の登場を待ちます。マスターが一人で作っているから料理の提供はちょっとゆっくりめ。
なおカウンターの上には甕やら瓶やら、たくさんの泡盛が目白押し。
この「山横沢店主仕込」というのはマスターが特注したやつでしょうか。確か久住さんがこれ飲んでましたよね。
よし、笹塚ビールがなくなったら私も泡盛を何か飲んでみるとしよう。
まず最初に出てきた料理は自家製スーチカ。
スーチカとは沖縄流豚バラの塩漬けのことらしい。
でも「スーチカ」って耳で聞くと「数値化」に変換されて仕事を思い出す(汗
豚バラと言えば孤独のグルメ、孤独のグルメと言えば豚バラ、っていうくらいに定番の食材だけど、沖縄流にするとこんな感じなのか。
ゴーヤで一気に沖縄感、そこにかいわれとのタッグでいい苦味。これはビールが進む味。
俺、完全に好き。スーチカ。
スーチカのうまさにちゃんぷるの登場を待たずしてビールが空いてしまったから、泡盛へと駒を進めよう。
何をどう飲むか迷ったけど、石垣島の泡盛「八重泉」の前割を選択。
「前割」って焼酎を飲むときじゃなくて前もって水割りにして寝かせたもので、普通の水割りよりもまろやかなのが特長らしい。
普段焼酎や泡盛を飲むときはロックかストレートが多いけど、前割は飲みやすくて料理との相性がとても良い。そういえば「ふらっと QUSUMI」でもマスターが水割りおすすめと仰ってたような。今度から泡盛を飲むときは水割りか前割を積極的に飲みたい。
せっかく聖地巡礼に来たなら五郎メニューをトレースするだけではちょっと寂しいし、どうせならおつまみ的なのも試してみたくて「はんぺんのしそ・みょうがはさみ焼」を追加注文。
はんぺんって軽く焼いて醤油かけるだけでも十分つまみになるのに、しそとみょうがを挟んでかいわれと大根おろしを添えるとさらに破壊力が増す。これは泡盛の前割に合いすぎる。
そしてふうちゃんぷる(ライス・野沢菜つき)。
うわあ、なんだかこれだけでふうちゃんぷる定食感。
私はアルコールがあれば白米要らない派だから沖縄料理をつまみに飲んだら締めのつけそば、のつもりで来たけどセットメニューにライスが込みならそれはそれでアリ。
これがふうちゃんぷる。「ふう」ってお麩のことか。
今までちゃんぷるっていうとゴーヤーくらいしか食べたことがなかったけど、他の食材が主役になるとこんな感じなのか。でも当然のようにゴーヤは入ってくるのね。
それではいってみよう。
ふうちゃん、めんそーれ。
おお…ふうちゃん、ぷるぷる。もやし、シャッキシャキ。ゴーヤのダブりも問題なし。
これはしまんちゅにしか思いつかない飯だ。
「ふう」がいろんな味や出汁を吸い込んでめちゃくちゃうまくなってる。
まさかお麩がこんなにご飯と合うなんて。
ここでとまとカレーつけそばがご登壇。
放送後なこともあってかお客さんのほとんどがこれを頼んでいて、お店に入った瞬間からとまとカレーつけ汁の香りが店内に漂ってて、ずっと食べたくてしょうがなかった。
近くの席に座ってた常連さんが「この匂いだけで飲める」と言っていたのに激しく同意。
蕎麦は微妙に太さが揃ってないのがいかにも手打ち。
今回はとまとカレー味だけど、普通に日本蕎麦としても食べてみたくなるうまそうな見た目。
このつけ汁がもうね…凶暴なほどにうまそう。
汁を軽くすすってみると、カレーはあくまで風味付けで出汁とトマトのうまみが主役。確かにこれは蕎麦と合うに違いない。
おお…この蕎麦、うまい!!
カレーに蕎麦が負けるんじゃないかと思ったけど、程良い太さと噛み応えで蕎麦の主張もちゃんとある。出汁、トマト、カレーが三位一体となった汁、それに具と、蕎麦のあんばいがたまらん。
初めて食べるのに、これは俺の食べたかったものだ。
そして五郎のマル秘トッピング、ソーキが追加でやってきました。
ほっほー、ソーキ、そうきたか。
煮込みトマトと青梗菜がついてくるのが嬉しすぎる。
では、残ってたライスと一緒につけ汁に投入して、華麗なる二次会といこうじゃないか。
とまとカレーつけ汁にソーキが加わることでうまみマシマシ。
蕎麦屋の出汁カレーで作ったカレーおじや、これは素晴らしい。
カレーって、なんで最後の最後まで食欲をそそってくるんだろう。
ああ…大満足。もう蕎麦の一本も入らないくらいに腹パンパン。
これが久住先生の別作品『食の軍師』だったら力石に「蕎麦屋で満腹セットかい」とツッコミを受けそうなものだけど、この店ならむしろいろんなつまみで日本全国寄り道飲酒した後に、蕎麦で締めるのが王道と思える。でも一人飲みよりは二人くらいで来ていろいろつまむのが正解なんだろう。
今度は誰か誘って、酒の肴をもっと楽しみたい。締めは日本蕎麦もいってみたいけど、沖縄そばも気になるんだよなあ…。
ドラマの人気が落ち着いたら改めて来てみようと思います。
ごちそうさまでした。
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