四年ぶりに『シティーハンター』の新作劇場アニメが公開されたということで、聖地新宿まで観に行ってきました。
新宿が主な舞台となっている作品だから新宿で観てこそでしょう。再開発である程度クリーンになったとはいえまだちょっと抵抗ある歌舞伎町ですが、今回はがんばって TOHO シネマズ新宿で鑑賞。通り沿いが完全にシティーハンター一色になっていて、原作が完結して三十年以上たっていることを考えると驚きます。
シアターに入ると赤 T シャツに水色ジャケット(袖は当然まくってある)というコスプレで来ているお客さんを複数人見かけました。さすが聖地…。
サブタイトルが示すとおり、物語は原作終盤に登場した麻薬「エンジェルダスト」を巡る話。しかし本作は原作にはないオリジナルストーリーとなっています。映画のキャッチコピー「最強の敵と、最後の戦いへ――」はミスリードで、本作は原作にあった海原神(かいばらしん)編に至るプロローグ的な位置づけ。でもあくまで単発作品だった前作とは違い、メインストーリーにガッツリ絡んでくる話だから見応えはあります。
声優陣は前作同様に 1980 年代のオリジナルキャストを踏襲。正直なところどの声優さんも年齢なりの声になっていてちょっと厳しいのですが(ただし海坊主薬の玄田哲章だけは全然変わってないのがすごい)、かといって配役を変えるかというとそれもちょっと違う、それぞれ余人をもって代えがたい貴重なキャスティング。冴羽獠を演じる神谷明はシリアスな声はだいぶ衰えを感じるけど、ギャグパートの声が全盛期とそう変わりなく聞こえることに驚きます。
映像や演出はオリジナルアニメ同様に ’80 年代ノリをそのまま持ってきていてこっちが気恥ずかしくなるものも多いのですが、TM NETWORK の新曲で始まる OP を観た時点でこちらの心構えも完全に ’80 年代に戻っていたから大丈夫でした(笑)。完全新作なのに妙に懐かしい…そういう作りになっています。
舞台は現代の新宿に始まり、お台場や海ほたるなど 30 年前にはなかった東京の風景の中を獠や香が駆け巡る…という状況自体がエモいでしょ?というのを見せつけてきます。また他作品とのコラボ的な演出も随所に見られ、制作スタッフの「この時代にシティーハンターの新作を作れるんだからとことんお祭りムービーにしよう」という意図が感じられます。テレビシリーズ版から引き続き制作を務めるのがサンライズ系のスタジオということで、ダイバーシティ東京をああやって使ってくるとは予想していませんでしたが(笑。
ただ、そういう意図でロケーション変更やコラボレーションを多用しすぎたせいでストーリー本編への没入を削がれ、個人的にはちょっと冷めてしまった部分はありました。お祭り要素はあって良いけど、もう少し控えめにしてほしかった。
ラストはもちろん止め絵からの『Get Wild』。もはやこのイントロを聴くために映画館に行っている気さえします。続編を作る気満々なエンディングで、おそらく少なくともあと一本は劇場版を用意しているのではないでしょうか。海原神編はテレビシリーズでも映像化はされていませんからね。
本作はオリジナルが三十年以上前の作品とは思えないくらい、封切り前後のプロモーションに力が入っているのが印象的でした。特に公開初日に行われた三十人の冴羽獠による「歌舞伎町のダストを残らず始末(スイープ)!イベント」は言葉遊び的にも公益的にもよくできています。
今週末は他にも新宿周辺でいろんなイベントが行われていたのですが、これ↓は見ずには帰れないでしょう。
東改札と中央東改札の中間地点に復活した「伝言板」。ここには人だかりができていました。スタッフとキャスト陣による「XYZ」はリアルタイム世代としては胸熱です。帰路はスマホで『Get Wild』を無限ループしながら帰りました。
ここまで来たからには海原神編まで付き合うつもり。続編の映画化も楽しみにしています。
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