35mmフィルムカメラでデジタル写真が撮れる「I’m Back Film」 – PC Watch
デジカメ Watch じゃなくて PC Watch で記事化されるんだ!?と少し驚いたのですが(笑)、Kickstarter にてフィルムカメラ用の 35mm フィルム型デジタルバックのクラウドファンディングが実施されているようです。
I’m Back Film by Samuel Mello Medeiros — Kickstarter
なんか見覚えのあるコンセプトだなぁと思ったら、2016 年頃から同コンセプトで開発を続けているベンチャーの新モデルなんですね。三年前にリリースされた「I’m Back 35」がこれまでの最新でした。
従来機種はカメラのフィルム部分にすりガラス状のスクリーンを取り付けて、そこに映った映像をイメージセンサーでキャプチャする仕組みでした。言ってみれば一眼レフカメラの光学ファインダーに別のデジタルカメラをつけて接写するようなものですね。だから解像度は落ちるし周辺減光は大きいし、仰々しいセンサーユニットを外付けしなくてはならないし…発想は面白いけどちょっと使い物にならないと思っていたのでした。が、今回は 35mm フィルムを模したユニットにイメージセンサーが直接取り付けられています。モータードライブのようなユニットを外付けする必要があるのは変わりませんが(それでも随分小型化されている)、今回の I’m Back Film ではレンズを通した映像をイメージセンサーが直接受光するという点が大きな違い。これならば画質劣化なく撮影できるはずです。
↑この画像だけ見るとほぼデジタル一眼レフですよね。
ただ残念なのは、イメージセンサーがフォーサーズサイズである点。つまり撮影画角が焦点距離二倍換算になる(例えば 50mm のレンズを使っても 100mm 相当の画角になる)ということです。まあフィルムの面積内にセンサーだけでなく基板や配線も実装しなくてはならないからフルサイズセンサーを搭載するのはそもそも無理な話ではあります。センサーユニットを作っているメーカーが開発・製造までやればフルサイズは無理でも APS-C センサーくらいは搭載できたかもしれませんが、汎用のセンサーを採用するならフォーサーズでギリギリではないでしょうか。
画角の問題を解決するため I’m Back Film には 0.45 倍のワイドコンバージョンレンズが同梱されるとのことですが、それはそれでレンズ本来の描写をそのまま活かせるわけではなくなってしまうので、あまり解決になっていないような…。あくまで「懐かしのフィルムカメラボディで撮りたい(画角または画質は妥協する)」というニーズを満たすものでしかないかなあ、という印象。
この手のニーズってどちらかというと「往年の名レンズを使ってデジタルで撮りたい、できればレンズ本来の画角で」というのが主流で、それは現代ではフルサイズミラーレスカメラとマウントアダプターによって実現されています。それにより現存する一眼レフ用のほぼ全てのレンズがデジタルでも撮れるようになった一方で、フィルム時代のボディは取り残されているのが現状。私もたまーに CONTAX S2 とか Aria とか欲しいなあ、でも買ってもちょっとしか使わないんだろうなあ…と思うことがあるので、フィルムボディを活用する手段が開発されること自体は喜ばしいことだと思っています。でもスペック的にもう一声…せめてセンサーが APS-C だったらなあ、と思います。
コメント