1周目が勝利の鍵! 直線重視フェルスタッペン、ピアストリ抜き去り優勝。角田裕毅11位|F1ベルギーGP F1スプリント
大雨赤旗中断、ちょい濡れ路面も何のその。ピアストリ今季6勝目! 角田裕毅はスリックタイヤ交換遅れが13位|F1ベルギーGP決勝
今年はスプリントあり、そして恒例のスパ・ウェザーあり…とポイントの多かったベルギー GP。ですが、スプリントもレースもあまり大きな動きはなく淡々と進んだ週末でした。
■スプリント
スプリントは予選・レースともに完全ドライ。予選こそマシン性能に勝るマクラーレンのピアストリが大差をつけて PP を獲得しましたが、2 位発進のフェルスタッペンがローダウンフォースセッティングを武器にケメルストレートでピアストリに仕掛けて奪首。そこからは直線スピードを活かしてピアストリに付け入る隙を与えずそのままフィニッシュ。レッドブルは前戦シルバーストンでうまくいかなかったローダウンフォース仕様を今回は的中させました。ピアストリは単に抜けなかったというよりはその後の予選~決勝に向けてあえてリスクを取らなかったように見えました。チャンピオンシップ上はノリスの前に居続けることが大事で、マックスに勝つことはそれほど重要ではありませんからね。
そしてレッドブルはスプリントレース後に本戦向けの予選が行われるという現在のレースフォーマットを最大限に活用し、スプリントをドライ向けのローダウンフォース仕様、予選~決勝をウエット想定のハイダウンフォース仕様という全く異なるセットアップで週末を戦います。
■決勝レース
予選こそドライコンディションだったものの、決勝はレーススタート前から雨が降り、フォーメーションラップ中に水飛沫による視界不良で赤旗中断。そこから約 80 分のインターバルを置いてセーフティーカー先導によるローリングスタートでレースが始まります。インターバル中に雨はほぼ上がり、そこからは路面が乾いていくだけ。この時点でウエット重視のセットアップにしていたチームはそれが無駄になってしまいました。大事故のリスクが高いスパだから安全性重視なのは解るけど、ある程度は天候に翻弄されるレースもスパの良さだと思うんだけどなあ。去年のブラジルといい雨が降るとそもそもレースできなくなる、というのは現行のグラウンドエフェクトカー規定(路面の水分を巻き上げて視界不良を起こしやすい)そのものが間違っているのではないでしょうか。
ともあれ、決勝はノリスがピアストリを抑えて PP スタート。しかしピアストリはスプリントでフェルスタッペンにやられたことを決勝ではノリスに対して実行し、同じようにケメルストレートでオーバーテイク。その後両車はタイヤ戦略の違いでもしかするとノリスに逆転の目があるかも、と思わせる瞬間もありましたが終わってみればそのままピアストリ優勝。やはりピアストリは強い、勝負所を押さえていますね。まるでチャンピオン経験者かのような落ち着いたレース運びです。
4 番手スタートだったフェルスタッペンは最後までルクレールを攻略できずそのまま 4 位フィニッシュ。スプリントとは真逆のハイダウンフォース仕様で、ウエットスタートなら表彰台の可能性はあったかもしれませんが実質的なドライレースになったことでオーバーテイクに必要なトップスピードが足りませんでした。
全体的にドライ寄りのセッティングを選んだドライバーが成功した中で、唯一の例外はハミルトン。ウエットセッティングかつ後方スタートだったにも関わらず、路面が乾いていく中いち早くドライタイヤに交換する選択が功を奏して一気にポジションを上げて 7 位。移籍以来担当エンジニアとの意思疎通がまともにできないことが問題と言われていましたが、今回担当エンジニアが交代になったことも好材料だったのかもしれません。
■角田裕毅
角田も浮き沈みの大きい週末でした。スプリントまでは旧いフロア(マイアミ時点での仕様と言われる)で走っていて相変わらずトップ 10 には食い込むこともできなかったのが、スプリントから予選の間に新型のフロア(フェルスタッペン車とほぼ同じらしい)に交換したことで一気にタイムを上げ、フェルスタッペンから 0.3 秒差の 7 番グリッドを獲得。ぶっつけ本番でろくな慣熟走行もなしにいきなりこの結果を出せるのがさすが角田ですね。セットアップと慣熟が煮詰まってきたらマックスとの差をもっと縮められるに違いありません。
しかし決勝では他車がドライタイヤに交換し始めたタイミングでピットインせず、一周遅れでタイヤ交換したことで大きくポジションを落としてしまいました。フェルスタッペンとのダブルピットストップでタイムロスすることを嫌ったのか?でも一周が長いスパで一周見送るとダブルピットストップ以上に時間を無駄にするけど?と思ったら、角田自身は一周前にタイヤ交換を要求し、ピットも準備ができていたのに担当エンジニアのコールが送れたのが原因とか…エンジニアを代えたハミルトンが好成績を残したのを横目で見ているだけに、角田もそろそろ担当エンジニア(ウッディ)を代えた方がいいんじゃないですかね。これまでも似たようなポカは何度もあったし。
フェルスタッペン同様にはいダウンフォース仕様だった角田はその後ローダウンフォース仕様のガスリーにずっと引っかかり続け、ポジションを上げられないままポイント圏外でゴール。あと一周早くタイヤ交換ができていれば入賞は確実だっただけに悔しい。
でも今回の最大の収穫は角田車に遂にアップデートが適用されたことでしょう。マシン差が小さくなればフェルスタッペンとのギャップも小さくなることが確認できたのは幸い。しかもそれが今回からチームに合流したメキース代表の判断というのもポジティブな話。今回のレースの結果は忘れて(ダメだった部分の検証は忘れずに)、次のハンガリーこそ結果に繋がることを期待しましょう。


コメント
ホーナー解任は、どうやらオーストリア側の株主が、ホーナーとタイ側株主の支配権拡大を嫌っての動きだったようですね。
フェルスタッペン自身は26年もレッドブルで走るつもりのようです。まぁ、26年の勢力図によっては早々に離脱を決めるかもしれませんが。
メキース氏には、今後のフェルスタッペン離脱を見据えたチームの建て直しと、勝手知ったる角田のコントロール及びハジャー昇格に向けての受け入れ体制の構築が求められているのではないでしょうか。
そうなると、角田には残留に向けてレースで結果を出すことに加えて、チーム内でスタッフを引っ張っていく能力も評価対象になっていくと思うので、
怒りに任せた暴言や態度を見せている場合ではないと思います。
ホーナー更迭から一気にフェルスタッペン残留が確定的になってきましたね。
メキース代表は VCARB 時代から角田贔屓ですが、それでも政治に巻き込まれるだろうしホンダの動向もあるから来季はどうなるでしょうね。
角田は二年目くらいまでに比べれば発言や態度についてはグッと抑制的になったと思っているのですが(走行中に時折攻めすぎるのは変わってない)、まだダメですかね。
チーム側の間違った判断に対してはちゃんと言わないとルクレールみたいになってしまいますし、クルマや戦略のせいで何もできなかったレース後に虚無の表情になるのはむしろ同情してしまいます。