スペインGP決勝 マルドナドが初優勝を飾る!! – GPUpdate.net
ヨーロッパラウンドの開幕戦、スペイン GP は大番狂わせ。週末が始まった時点で、ウィリアムズの P. マルドナドが初優勝を飾るとは誰が予想したでしょうか。いや、ウィリアムズチームもマルドナド本人でさえもしていなかったに違いない(笑。
まず、このリザルトは予選の段階から始まっていたと言っても過言ではありません。予選 Q2 でライバルのタイムの伸びを読み誤ったウェバーとバトンがなんと脱落。Q3 ではヴェッテルとミハエルがタイムを出さず、トップ 3 はハミルトン-マルドナド-アロンソの順。2・3 位は予想外の顔ぶれではありましたが、これならば現時点での最速マシンを駆るハミルトンが先行逃げ切りか・・・と思いきや、ハミルトンは燃料不足で失格、予選タイム剥奪。マルドナドが PP からスタートという形になりました。
しかしうまくホールショットを決めたのはアロンソ。そのまま中盤までトップを堅守しますが、マシンに引き離せるだけのスピードがなく、レースをコントロールできているとは言いがたい状況。そして最後のピットストップでマルドナドが先にピットイン、アンダーカットに成功してトップを奪取。フェラーリはピットタイミングをウィリアムズに合わせ込みに行けばマルドナドの頭を抑えられた可能性はありますが、ちょっとコンサバティブな戦略を採りすぎましたね。アロンソは終盤 20 周近くマルドナドを追い回したものの、王者のプレッシャーにも負けずに抑えきったマルドナドが今季初勝利。F1 のポディウムに初めてベネズエラ国歌が流す快挙を成し遂げました。
マルドナドは昨シーズンから速さを見せていましたが、今季はマシン性能が向上したこともあってトップ 10 争いの常連には顔を出していたものの、自身のミスやマシントラブルなどツキに恵まれてきませんでした。それが今回は全ての状況がパーフェクトに揃っての初勝利。嬉しそうな顔を見せてはいたものの、ウィニングラップでも FIA の会見でもはしゃぎすぎることなく、冷静そのもの。この冷静さが最後まで王者を封じ込めた走りに繋がったのだと思います。南米人だからって感情的なキャラだと勝手に思い込んでて本当にすみませんでした(笑。
ウィリアムズの今年のマシン・FW34 はなかなかよくまとまっていますね。最速ではないけれど、サーキットとの相性が良ければ安定して速い。昨年チームに加入したマイク・コフランやマーク・ギランのマシン開発がうまくいっているということでしょうが、昨年ウィリアムズを更迭されたサム・マイケル(現マクラーレン)が方向性を示した極小ギヤボックスによる空力アプローチが正しかったことの証左でしょう。このギヤボックスは昨年までのコスワースエンジンでは本領を発揮できていませんでしたが、ルノーエンジンを得てようやく日の目を見た印象があります。それでも、光るものを持っているマルドナドというドライバーと、刷新されたチームスタッフによる攻めたレースオペレーションの双方があってこそのリザルトだと思いますが。
一方で残念だったのはフェラーリとロータス。フェラーリはアロンソが鮮やかなスタートを見せてトップを奪い、地元スペインのファンの目の前で勝利を飾るか・・・と思いきや、ピット戦略で沈没。ロータスもライコネンが良い走りを見せていたものの、ライバルのピット戦略の読み違い(マルドナドとアロンソがあと 1 回ピットに入ると思っていたもよう)で優勝争いに絡むチャンスを失いました。最後のピットをあと 5~6 周早く済ませていれば、終盤に追いついて仕掛けられるところまで持って行けた可能性も高いだけに、残念です。この両チームはピット戦略で勝てるレースを落としたと言って良いでしょうね。
マクラーレンは、バトンのマシンバランスが良くなかったようで見せ場のないレース。ハミルトンは予選での失格がなければ十中八九勝てていただけに、こちらもチームの戦略ミスで負けたと言って良いと思います。
我らが可夢偉は・・・厳しい条件の中では健闘したと言えるのではないでしょうか。予選 Q2 突破が確定した直後にマシントラブルでストップ、Q3 に出走できずに 10 番手(ハミルトンの失格により 9 番グリッド)スタート。途中、ペースの上がらないバトンに長々と付き合わされ、さっさとアンダーカットしちゃえばいいのにいつまで経ってもピットに入らずに時間を無駄にしました。それでも素晴らしいブレーキングでバトンとロズベルグをコース上でパスし、自力でもぎ取った自己最高タイの 5 位。フリー走行までの内容が良かっただけに、Q3 で走れていれば、とか、もっと柔軟なピット戦略が組めていれば、とか、いろいろとタラレバを考えたくもなる内容でしたが、それでもこの抜けないカタロニアサーキットで、可夢偉自身の力でこのリザルトまで持ってこれたのは立派。というか、ストラテジストのダラーラを誰か一刻も早く解雇してください(´д`)。
それにしても、ウィリアムズとマクラーレン、フェラーリ、ロータスが優勝を争う F1 なんて、まるで 1987 年の F1 を見ているようじゃないですか。ロータスは当時のロータスとは直接関係ないとはいえ、古い F1 ファンとしては感無量の思いです。
それに加えて、今シーズンはさらにレッドブルとメルセデスがすでに 1 勝を挙げていて、ザウバーも勝利に肉薄したという。こんなに面白いシーズンは史上初めてかもしれません。何と言ってもここまで 5 レースを終えて、その全てのレースで違うチームとドライバーが勝利しているというのも、史上稀なことです。次あたりそろそろロータスかザウバーにお鉢が回ってきても良い頃じゃないかと勝手に期待しているのですが(笑)、その次戦は F1 随一のドライバーズサーキットたるモナコ。乱戦が続く今シーズンにおいて、真に強いドライバーが誰かが、いよいよ白日の下に晒されることになります。
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