先日購入した LinkBuds、一般的な TWS イヤホンとしての使い勝手はだいたい解ったので、続いて気になっていたサウンド AR 的な機能について試してみました。
位置情報との連携については現在は Microsoft が提供する「Soundscape」というアプリに対応しているようです。これを使えば目的地の方向をビーコン音で知らせてくれ、スマホの地図を見なくても徒歩ナビができるというもの。そういえばつい先日パイオニアからもディスプレイがついていない音声だけのカーナビナビが発表されていましたが、なんか音声ナビって最近流行ってきているんですかね。
3D オーディオマップ Microsoft Soundscape
Soundscape は現状 iOS 向け App Store での提供のみで、Android 版の配布はありません。近年の Microsoft は Android との連携を強めている印象があったから iOS 版だけというのは意外。でも Google は自前の位置情報サービスが強かったりするし、いろいろと難しい関係性があるのでしょう。というわけで iOS 版をダウンロードしてみました。
Soundscape 自体は LinkBuds 以外のイヤホンでも使用できますが、LinkBuds のようなヘッドトラッキング機能付きイヤホンであれば頭の向きを検出してその方向に聞こえるようにビーコンを出してくれます。ヘッドトラッキングは LinkBuds 以外にも Apple AirPods Pro/Max などが対応しているようですね。
このアプリでのナビゲーションは、目的地をテキスト検索して行き先を選び、↑の画面から「音声ビーコンを開始」するだけ。そうすると LinkBuds からビーコンが鳴り、「ビーコンまであと○メートル」という音声ガイドが流れ始めます。ビーコンは自分が向いている方角が目的地に近いほど大きく/高く/音数が多く鳴り、かつ目的地のある方角から聞こえてきて解りやすい。ただし Soundscape 自体で地図を見ながら歩くような作りになっておらず、地図を見たい場合は別途 Apple マップか Google マップを併用する必要があります(↑の地図上の分かれ道のようなアイコンをタップするとどちらかのマップアプリを起動可能)。自分の普段の使い方からすると、Soundscape から各マップを起動するんじゃなくて Google マップから Soundscape の機能を呼び出したいんだけどなあ。
ビーコンガイド中は特に何もしなくても歩いているだけで周辺の情報は知らせてくれるほか、任意で画面下部のアイコンをタップすることで現在地/周辺/前方などの情報を音声で聞くことができます。確かに便利なのですが、繁華街だと数メートルおきに店舗やビルなどの情報を教えてくれるのに住宅街だとほぼ曲がり角くらいでしかガイドがないというのは極端。また交差点に来るとそれぞれの道路の情報を教えてくれるのですが、「左へ行くと道路、正面に道路、右へ行くと道路」みたいな案内がやたら多くて「ふざけてんのかコラ!!」と突っ込みたくなります。これ、欧米のようにそれぞれの道に名前がついていれば分かりやすいのでしょうが、区画ベースで住所が決まっていてほとんどの道に名前がない日本だとどの道も単に「道路」となって無意味なガイドになってしまいます(一応、名前つきの道路を歩いてみたら「正面に山手道路」と言うのは確認した)。
繁華街で教えてくれる情報の取捨選択もなんかイマイチで、いくらなんでも逐一教えてくれすぎでうるさい気も。でも横断歩道の存在は全て、正面にあるだけでなく左右に見えるのも含めて教えてくれるので、視覚にハンディキャップがある人であれば助かるかもとは感じました。逆に言えば、現状では誰にどう使ってほしいのか不明瞭でどっちつかずなアプリという印象。音で知らせてくれるのはいいけど音楽アプリとはオーディオレベル(音量)が違いすぎて音楽を聴いているとガイドが聞こえないのもちょっと致命的。Soundscape 使用中は音楽は聴けないと思った方が良いです。
発想は面白いアプリなんですけどね。現時点ではあまりにも粗削りすぎて実用にはならないかなあ…近年の MS ってこういう新プラットフォームを立ち上げるのはいいけど未完成なままローンチしてほったらかしにする案件が多すぎるので、これもそうなりそうな匂いがプンプンします。Google あたりがサクッと類似の技術を作って自前マップに組み込んでくれたほうがまだ良いものになりそう。
まあいきなり素晴らしい使い勝手のサービスに仕上がっているとは思っていませんでしたが、MS にはもう少しがんばってほしいところです。
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