Adobe Creative Cloud に含まれるアプリ群のうちデスクトップ版 Photoshop が更新され、Photoshop 2024(Ver.25)となりました。それに伴い、数ヶ月前からベータ版として提供されていた生成 AI 機能「Firefly」が正式リリースされました。
Adobe Firefly「商用利用」に対応 Photoshopやイラレの生成AIも正式版に – Impress Watch
機能自体は今までもベータ版を試用することはできたのですが、そのためには Photoshop を正式版の他にベータ版もインストールする必要があり、私は余計なストレージを使いたくなかったから正式版を待っていました。生成 AI 自体は他のサービスでいじってみたことがあったから Firefly を慌てて試すこともないかなと思い。
Firefly に含まれる機能はいくつかありますが、目玉は「生成塗りつぶし」機能。選択範囲に対して何を生成したいかテキストで指示し、Firefly がそれに応じた画像を生成してくれる機能です。
使い方は簡単。選択ツールを使って画像の範囲選択を行うと、選択エリアの下部にコンテキストメニューが表示されます。このメニューの一等地にいるのが生成塗りつぶし機能で、これをクリックしてテキスト入力すると選択範囲がそれに応じた画像に置き換わります。
今回は試しにフォーミュラカーを一台消して代わりにバイクを配置してみます。テキストは日本語も認識可能なはずですが、今回は英語で「motorcycle」と入力してみました。
するとものの数秒の待ち時間でバイクが生成されました。一度の入力で三つの候補が提示され、最もイメージに近いものを選んで確定するという手順になっています。気に入らない場合は再度入力して再生成も可能。
このときに生成されたバイクはパッと見では悪くはないですが、現実には存在しないバイクだしよく見ると細部がいろいろと破綻しています。ちゃんと撮影した写真の補完に具体的なオブジェクトを描かせるのはちょっと厳しいでしょうが、イメージ画像やポスターのような多少の嘘があっても問題にならない用途向けにはお手軽で良さそう。
続いて、生成だけでなく削除にも AI を使用可能になりました。修復ブラシツール群の中に追加された「削除ツール」がそれ。
修復ブラシと同様に消したい箇所をブラシでなぞると、そこにあるオブジェクトが消去されて自動的に背景と馴染むように調整してくれます。
削除ツール一発(あるいは二、三発)でキレイに消去完了。消した跡の路面に若干の違和感があるけどここから手作業でレタッチするための下処理としては十分です。
このような作業は今までなら修復ブラシツールの「コンテンツに応じる」機能を使って消していましたが、消去が目的ならば修復ブラシよりも削除ツールのほうが早く自然に仕上がる印象。
あとちょっとすごいと思ったのが「拡張生成」機能。切り抜きツールを使ってカンバスを逆に拡大すると、コンテキストメニューに「拡張生成」が出現します。
ここで生成塗りつぶし機能と同じようにテキストを入力すると、それに応じて拡大された部分を塗りつぶしてくれます。もちろんテキスト入力せずに実行すると素直に背景を拡張してくれるようなので、今回はテキストなしで拡張してみました。
切れてしまっていたリヤウイング/タイヤはちょっと不自然に補完されてしまいましたが、背景の補完はかなり自然。細かく粗探ししなければ AI で拡張したとは気づかないレベルです。
マシンラーニング AI の Adobe Sensei も便利だったし今やもう Sensei なしの Photoshop は考えられないくらいに定着した機能ですが、生成 AI で生み出されるものの精度は Sensei よりも明らかに上ですね。クラウドベースだからか処理も高速で、他の生成 AI をローカル PC の少し古い GPU(GeForce GTX 1070)でぶん回すよりも全然快適。
私はあまり大きな嘘のある写真編集は(少なくとも写真作品に対しては)やらないので生成塗りつぶし機能は微妙ですが、削除ツールと拡張生成は使いようによってはかなり便利そうです。11 月からはクレジット制が導入されて無料で使い放題とはならないようですが、それでも Creative Cloud の契約プランに応じたクレジットが毎月付与されるとのことで、とりあえずその範囲内で有効活用してみようと思います。
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